RSウイルス感染症に対するワクチンは存在しますか?
現在、国内では、60歳以上の成人向けワクチンと、新生児・乳児・幼児の予防を目的とした妊婦向けのワクチンが販売されています。リスクの高い新生児・乳児・幼児には、抗体製剤が販売されています。
RSウイルス感染症に対するワクチン
RSウイルス感染症に対するワクチンは、以下の方々が対象となります。
①60歳以上の成人
特に、基礎疾患(喘息、COPD、心疾患、肝疾患、腎臓病、糖尿病、血液疾患、神経筋疾患など)がある場合は、重症化を防ぐために強く推奨されます。
現在、60歳以上の成人に対するワクチンとして、アレックスビーⓇとアブリスボⓇの2種類が国内で承認・販売されています。
②RSウイルス感染症の流行期に妊娠24~36週を迎える妊婦
母体で作られるRSウイルスに対する中和抗体が、胎盤を通じて母体から胎児へ移行することで、新生児や乳児のRSウイルスによる細気管支炎や肺炎を予防します。
妊婦に対するワクチンとして、アブリスボⓇが承認・販売されています。
新生児・乳児・幼児に対する抗体製剤
ワクチンではありませんが、新生児・乳児・幼児に対する抗体製剤があります。
- 抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体製剤パリピズマブ(シナジスⓇ)
- 抗RSウイルスヒトモノクローナル抗体製剤ニルセビマブ(ベイフォータスⓇ)
これらが健康保険適用となるのは、主に、早産児や先天性疾患を持つ子どもです。
詳細は以下に記します。以下の対象に当てはまらない新生児および乳児も、健康保険適用外(自費診療)で接種を受けられる場合がありますので、かかりつけ医に相談してください。
シナジスⓇが保険適用となる対象者
RSウイルス感染流行初期において、
- 在胎期間28週以下の早産で、12ヶ月齢以下の新生児および乳児
- 在胎期間29週~35週の早産で、6ヶ月齢以下の新生児および乳児
- 過去6ヶ月以内に気管支肺異形成症(BPD)の治療を受けた24ヶ月齢以下の新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患(CHD)の新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の肺低形成(発達が不十分であること)を伴う新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の気道狭窄を伴う新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の先天性食道閉鎖症の新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の先天代謝異常症の新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の神経筋疾患の新生児、乳児および幼児
ベイフォータスⓇが保険適用となる対象者
以下の①②のいずれかに該当する場合
①生後初回のRSウイルス感染流行期の、流行初期において、
- 在胎期間28週以下の早産で、12ヶ月齢以下の新生児および乳児
- 在胎期間29~35週の早産で、6ヶ月齢以下の新生児および乳児
②生後初回および生後2回目のRSウイルス感染流行期の、流行初期において、
- 過去6ヶ月以内に慢性肺疾患の治療を受けた24ヶ月齢以下の新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の血行動態に異常のある先天性心疾患の新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下の免疫不全を伴う新生児、乳児および幼児
- 24ヶ月齢以下のダウン症候群の新生児、乳児および幼児
公開日:
最終更新日:
東日本橋内科クリニック 一般内科
平松 由布季 監修
(参考文献)
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会.“日本におけるニルセビマブの使用に関するコンセンサスガイドライン ”.日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会.https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240522Beyfortus_GL.pdf,(参照 2024-05-28).
アストラゼネカ.“ベイフォータス筋注50mgシリンジ/ベイフォータス筋注100mgシリンジ添付文書”.医薬品医療機器情報提供ホームページ.https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250411G1022101/,(参照 2024-05-28).
アストラゼネカ.“シナジス筋注液50mg/シナジス筋注液100mg添付文書”.医薬品医療機器情報提供ホームページ.https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6250404A1020_3_03/,(参照 2024-05-28).
日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会.“RSウイルス母子免疫ワクチンに関する考え方”.日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会.https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=559,(参照 2024-05-28).
Centers for Disease Control and Prevention(CDC).“RSV Vaccination for Adults 60 Years and Older”.Centers for Disease Control and Prevention(CDC).https://www.cdc.gov/vaccines/vpd/rsv/downloads/provider-job-aid-for-older-adults-508.pdf,(参照 2024-05-28).
グラクソ・スミスクライン.“アレックスビー筋注用 添付文書”.医薬品医療機器情報提供ホームページ.https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/631341NE1021102/,(参照 2024-05-28).
ファイザー株式会社.“アブリスボ筋注用”.医薬品医療機器情報提供ホームページ.https://www.info.pmda.go.jp/go/pack/631350AE1028_1_03/?view=frame&style=XML&lang=ja,(参照 2024-07-05).
こちらは送信専用のフォームです。氏名やご自身の病気の詳細などの個人情報は入れないでください。
この記事をシェアする
治療が必要な患者様へのお願い
RSウイルス感染症
の方は説明を必ずお読みください
こちらのQRコードを
スマーフォンのカメラで読み取ってください
QRコードを読み取るだけ 非接触で安心
一問一答なので 読むのが簡単
どんな治療をするべきか 納得して取り組める
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラサービスの目的と位置付け
ユビー病気のQ&Aは、情報提供を目的としたサービスのため、医師・医療従事者等による情報提供は診療行為ではありません。
診療を必要とする場合は、医師・医療機関にご相談ください。
当サービスは、信頼性および正確な情報発信に努めますが、内容を完全に保証するものではありません。
情報に誤りがある場合は、こちらからご連絡をお願いいたします。