HER2陽性肺がんの新薬について教えてください。
トラスツズマブ デルクステカン(T-Dxd)が、すでに承認され、複数のHER2を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が開発中です。
HER2遺伝子に変異がある非小細胞肺がん(NSCLC)の治療法は大きく進歩しており、いくつかの新しいタイプの薬が登場しています。
現在、日本で承認され、二次治療以降の標準治療として推奨されているのは、トラスツズマブ デルクステカン(T-Dxd)という薬です。
- T-Dxd(抗体薬物複合体:ADC):HER2タンパク質に結合する抗体と、がん細胞を殺す薬(トポイソメラーゼⅠ阻害剤)を結合させた薬です。HER2を持つがん細胞に抗体が結合し、細胞内に取り込まれたあと、薬が放出されてがん細胞を攻撃します。臨床試験では、二次治療以降の使用にもかかわらず、高い抗腫瘍効果を示しています。しかし、間質性肺疾患や肺臓炎などの副作用には注意が必要です。
さらに、複数のHER2を標的とするチロシンキナーゼ阻害薬(HER2-TKI)が現在開発段階にあり、臨床試験が進められています。 これらのHER2-TKIは、それぞれ異なる特徴を持っています。
- pyrotinib:HER2だけでなく、HERタンパク質全体を阻害するタイプで、経口で服用します。
- BAY-2927088:HER2とEGFR遺伝子の活性化変異を阻害するタイプで、特にHER2のYVMA挿入変異がある患者さんで高い効果が報告されています。経口で服用します。
- zongertinib:HER2に特異的に結合するタイプの薬で、経口で服用します。EGFR関連の副作用が少ないことが期待されています。
- ELVN-002:HER2に選択的で不可逆的に作用するTKIで、経口で服用します。非臨床試験では、EGFRよりもHER2に対する選択性が高いことが示唆されています。
これらのHER2-TKIの一部では、T-Dxdよりも高い奏効率(がんが縮小する割合)が報告されており、より高い抗腫瘍効果が期待されています。また、経口薬であるため、点滴薬であるT-Dxdに比べて服用方法の利便性も異なります。ただし、TKIのPFS(無増悪生存期間)やOS(全生存期間)などのデータは、まだ十分ではないため、今後の評価が必要です。


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京都大学医学部附属病院 呼吸器内科
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(参考文献)
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