腰痛症
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2024/04/16
- 公開日
- 2022/02/15
その名のとおり腰に痛みを生じている状態を指します。様々な原因が腰痛を生じていることが知られています。
腰痛症とは
「腰痛症」とはどのような病気ですか?
腰部に痛みを感じる状態の総称で、原因は多岐にわたります。
腰痛症は、腰部に痛みや不快感が生じる症状の総称であり、特定の病名を指すものではありません。多くの場合は原因が特定できない「非特異的腰痛」ですが、中には椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、圧迫骨折など、原因が特定できる「特異的腰痛」も含まれます。
年齢、性別を問わず多くの人が経験する一般的な症状であり、日常生活に大きな影響を与えることがあります。痛みの程度や持続期間もさまざまで、急性の場合もあれば、慢性的に続く場合もあります。
腰痛症の症状
腰痛症ではどのような症状がありますか?
腰部の痛み、重だるさ、しびれなどが現れます。
腰痛症の主な症状は、腰部やその周辺の痛みです。痛みは鈍痛から鋭い痛みまでさまざまで、重だるさ、張り、こわばりなどを伴うこともあります。特定の動作(前屈、後屈、ひねりなど)で痛みが強くなることが多いです。
神経が圧迫されている場合は、お尻から足にかけてのしびれや痛み(坐骨神経痛)、筋力低下、感覚の異常などが現れることもあります。重症の場合には、排尿・排便障害を伴うこともあり、その際は緊急性が高くなります。
腰痛症には初期症状はありますか?
初期は軽度の腰の違和感や重だるさから始まることが多いです。
腰痛症の初期症状は、その発症の仕方によって異なります。急性の腰痛(ぎっくり腰など)の場合は、突然の激しい痛みが初期症状となります。
一方、慢性的な腰痛の場合は、最初は腰の軽い違和感や重だるさ、疲労感として現れることが多いです。こうした症状は、安静や服薬、サポーターの使用などにより一時的に改善することもありますが、放置すると徐々に痛みが強くなったり、持続時間が長くなったり、しびれなどの他の症状を伴うようになることがあります。
腰痛症にはどのような種類がありますか?
特異的腰痛(原因特定)と非特異的腰痛(原因不明)に大別されます。
腰痛症は大きく分けて、2つの種類があります。
特異的腰痛
画像診断や検査によって、痛みの原因が特定できる腰痛です。
- 脊椎疾患: 椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎分離すべり症、圧迫骨折、変形性脊椎症など
- 炎症性疾患: 脊椎関節炎など
- 腫瘍: 脊椎腫瘍、転移性脊椎腫瘍など
- 感染症: 化膿性脊椎炎など
- 内臓疾患: 腎臓結石、尿路結石、子宮内膜症、大動脈瘤など、腰痛として感じられる内臓の病気
非特異的腰痛
検査をしても痛みの原因となる特定の異常が見つからない腰痛です。腰痛全体の約85%を占めると言われています。姿勢の悪さ、運動不足、筋力低下、肥満、ストレス、冷えなどが複合的に関与していると考えられています。
腰痛症の原因
腰痛症の原因は何がありますか?
姿勢、運動不足、ストレス、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などさまざまです。
腰痛の原因は多岐にわたります。最も多いのは、特定の原因が特定できない「非特異的腰痛」で、長時間のデスクワークや立ち仕事、運動不足による筋力低下、肥満、姿勢の悪さ、精神的ストレスなどが複合的に関与すると考えられています。
一方、原因が特定できる「特異的腰痛」としては、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、脊椎分離すべり症、圧迫骨折などの整形外科的疾患のほか、腎臓結石や子宮内膜症などの内臓疾患、まれに腫瘍や感染症が原因となることもあります。
腰痛症の検査・診断
腰痛症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
腰痛のセルフチェックとして、いくつかの簡単な動作で痛みの有無や範囲を確認することはできます。
- 体を前後左右に曲げる、ひねる動作で痛みの有無や可動域を確認
- 片足立ち、つま先立ち、かかと立ちで足の筋力に左右差を確認
これらのセルフチェックはあくまで目安であり、正確な診断や適切な治療方針の決定は医師による診察が必要です。自己判断で重篤な疾患を見逃すことのないよう、症状が続く場合は医療機関を受診してください。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、腰痛症かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
腰痛症の治療・対処法
腰痛症への対処法は?
腰痛の多くは急を要するものではありませんが、重大な病気が隠れていることもあり、症状が続く場合は病院を受診して診察をうけましょう。
腰痛症の場合、主にどのような治療をしますか?
薬物療法、理学療法、運動療法、生活指導、場合により手術などです。
腰痛症の治療は、原因や症状の程度によって異なりますが、多くは保存療法が中心となります。
薬物療法では、非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs)、筋弛緩剤、神経障害性疼痛治療薬などが用いられます。理学療法では、温熱療法や電気療法、牽引療法などが行われ、運動療法では、腰部や体幹の筋力を強化し、柔軟性を高めるためのストレッチが行われます。前屈姿勢を避けるなど、日常生活での姿勢指導や動作改善も重要です。
これらの保存療法で改善しない場合や、神経症状が進行する場合は、神経ブロック注射や、ごく一部のケースで手術が検討されます。
受診の目安・何科を受診するべきか
腰痛症が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
痛みが強いやしびれがある、尿が出にくい、発熱を伴う場合は受診しましょう。
以下のような症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
- 安静にしていても痛みが強い、または悪化する
- お尻や足にしびれや痛みが広がる(坐骨神経痛の疑い)
- 足に力が入らない、感覚が鈍いなどの麻痺症状がある
- 排尿・排便がしにくい、または漏れてしまうなどの膀胱直腸障害がある
- 発熱、体重減少、食欲不振など、全身症状を伴う
- 転倒や外傷後に腰痛が発症した
- がんの既往がある
これらの症状は「レッドフラッグサイン」と呼ばれ、重篤な疾患が隠れている可能性があるため注意が必要です。
腰痛症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
整形外科を受診しましょう。
腰痛症が疑われる場合、まずは整形外科を受診するのが一般的です。整形外科では、骨、関節、筋肉、神経などの運動器の疾患を専門としており、腰痛の原因を特定し、適切な治療方針を立てることができます。
しかし、腰痛の原因が内臓疾患(泌尿器、婦人科疾患など)や、精神的ストレスによる心因性のものである可能性もまれにあります。その場合は、内科や泌尿器科、婦人科、心療内科など、それぞれの専門科の受診が必要となることもあります。
腰痛症の専門医がいる近くの病院はありますか?
腰痛症の専門医がいる病院を見る腰痛症の薬
腰痛症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
主に消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、神経障害性疼痛治療薬が使用され、副作用は胃腸障害、眠気などがあります。
腰痛症の薬物療法では、主に以下の薬剤が用いられます。
- 非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAIDs): 炎症を抑え痛みを和らげます。内服薬や湿布、塗り薬があります。副作用として胃腸障害(胃痛、吐き気、胃潰瘍など)、腎機能障害などがあります。
- アセトアミノフェン: 比較的副作用が少ない鎮痛剤です。
- 筋弛緩剤: 筋肉の緊張を和らげます。眠気やふらつきなどの副作用があります。
- 神経障害性疼痛治療薬: 神経の痛みに対して用いられます。眠気、めまい、口渇などの副作用があります。
- 抗うつ薬: 慢性的な痛みに伴う精神的な症状や、痛みの伝達経路に作用して効果を発揮することがあります。
これらの薬剤は医師の指示に従って適切に使用し、副作用が疑われる場合は速やかに相談してください。
対処法・セルフケア
腰痛症の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
正しい姿勢、適度な運動、体重管理、ストレス軽減、冷え対策が重要です。
腰痛の予防や悪化を防ぐためには、日常生活での注意が非常に重要です。
- 正しい姿勢: 長時間同じ姿勢を避け、座る際は深く腰掛け、背筋を伸ばす。立つ際も猫背にならないよう意識する。
- 適度な運動: ウォーキングやストレッチ、体幹を鍛える運動など、無理のない範囲で継続する。
- 体重管理: 肥満は腰への負担を増やすため、適正体重を維持する。
- 重いものを持つ際の注意: 腰をかがめず、膝を曲げて重心を低くし、荷物を体に近づけて持ち上げる。
- 冷え対策: 腰を冷やさないよう、カイロなどを活用する。
- ストレス軽減: ストレスは痛みを増強させることがあるため、リラックスする時間を作る。
- 禁煙: 喫煙は椎間板の変性を促進すると言われています。
腰痛症で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬の変更、注射、リハビリ、ペインクリニック受診、手術などを検討します。
薬物療法で腰痛が改善しない場合は、まず担当医に相談し、薬の種類や量の見直しを検討します。それでも効果が不十分な場合は、他の治療法への移行が検討されます。
具体的には、痛みの原因となっている神経に直接作用する「神経ブロック注射」や、専門家による「理学療法」(運動療法、物理療法など)が挙げられます。また、痛みが長期化し、整形外科での治療で効果が得られない場合にはペインクリニックの受診が有効なこともあります。
重度の神経症状や、保存療法で改善が見られない特定の疾患(椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症など)に対しては、最終的に「手術」が選択肢となることもあります。
腰痛症に関連するその他の質問
腰痛症とぎっくり腰の違いはなんですか?
ぎっくり腰は急性の腰痛症の一種で、突然発症する激しい痛みが特徴です。
「腰痛症」は、腰の痛みを主訴とする症状全体の総称です。これには、慢性的に続く腰の痛みや、特定の疾患(椎間板ヘルニアなど)による痛みも含まれます。
一方、「ぎっくり腰」は、正式には「急性腰痛症」と呼ばれ、腰痛症の中のひとつのタイプです。
重いものを持ち上げたり、急に体をひねったり、くしゃみをしたりといった些細な動作をきっかけに、突然腰に激しい痛みが走り、動けなくなるほどの状態を指します。多くの場合、筋肉や靭帯の損傷が原因と考えられていますが、椎間板の損傷が関与することもあります。
腰痛症について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「腰痛症」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 腰が痛みますか?
- 腰の痛みは椅子から立ち上がるときや起き上がるときに悪化しますか?
- 座っていると痛みが悪化しますか?
- 体勢・姿勢を変えたときに痛みが悪化したり、改善したりしますか?
- 物を持ち上げた、あるいは前かがみになった時に腰痛が発生しましたか?
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この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2024/04/16
- 公開日
- 2022/02/15
