何でも口に入れてしまうときはどうする?何でも口に入れてしまう
監修医師原瀬 翔平亀田総合病院 脳神経内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/04/15
概要
何でも口に入れてしまうとは、食べ物以外のものも含め口腔内に取り込む行動を繰り返す状態です。乳幼児期の正常な口腔探索行動とは異なり、年齢不相応に続く場合は異食症や自閉スペクトラム症、知的障害が背景にあることがあります。誤飲や窒息のリスクが高いため、頻繁にみられる場合は小児科や発達外来への相談を検討してもよいでしょう。
なんでも口に入れるとは
「なんでも口に入れる」とはどのような症状ですか?
乳児では正常発達の範疇ですが、持続する場合や非食品摂取の場合は評価が必要です。
「なんでも口に入れる」という行動は、年齢や発達段階に応じてさまざまな意味を持つ行動です。多くは発達の一過程ですが、病的な状態の可能性もあります。
乳幼児では、物を口に入れる行動は「探索行動(物を感覚で確かめる行動)」のひとつとして正常であり、「口腔探索行動」と呼ばれます。手に取った物を口に入れ、そのものの性質を学んでいる行動ですが、年齢相応を超えて持続する場合は、口腔感覚探索(口で刺激を求める行動)や自己調整行動(気持ちを落ち着かせる行動)としてみられ、特に自閉スペクトラム症やADHD(注意や行動の調整が苦手な状態)などの発達特性と関連することがあります。また、不安やストレスに伴う口唇習癖(指しゃぶりや爪かみなどの癖)として現れることもあります。
さらに、食べ物でない物を1ヶ月以上繰り返し摂取する場合は「異食症(非食品を食べる摂食障害)」とされ、鉄欠乏(体内の鉄不足)や発達障害、精神的問題が背景にあることがあります。
「なんでも口に入れる」行動を医学的に評価する場合は、年齢、頻度、発達、栄養状態、窒息リスクなどを総合的に確認します。
参考文献
Chaware SH, et al. The Systematic Review and Meta-analysis of Oral Sensory Challenges in Children and Adolescents with Autism Spectrum Disorder. J Int Soc Prev Community Dent. 2021, 11, 469-480.
Samsel CB, et al. Nelson Textbook of Pediatrics. 22nd ed. Philadelphia, PA: Elsevier. Nelson Textbook of Pediatrics. 2025, Chapter 36, 240-241.e1.
受診の目安・何科を受診するべきか
なんでも口に入れる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
まずは小児科を受診します。危険時は救急外来を受診し、必要に応じ専門科へ紹介されます。
「なんでも口に入れる」場合、まずは小児科を受診し、必要に応じて専門科へ紹介されるのが適切です。
「なんでも口に入れる」行動の多くは発達の一過程(探索行動)ですが、持続や内容により評価が必要です。初診では、小児科で異食症(食べ物でない物を食べる状態)や栄養欠乏(鉄や亜鉛不足)を確認します。
また、発達遅延(発達の進みがゆっくりであること)や自閉スペクトラム症、ADHD(注意や行動の調整が苦手な状態)が疑われれば、発達外来へ紹介されます。感覚面や口の動きの問題には作業療法士(リハビリ専門職)や言語聴覚士(ことばや飲み込みの専門職)が関与することもあります。心理的要因(不安や強いこだわり)があれば児童精神科の評価が有用です。
受診の目安は、2〜3歳以降も「なんでも口に入れる」行動が強く持続する、非食品を1ヶ月以上摂取する、貧血や腹痛などを伴う、発達の遅れがある場合です。また、ボタン電池や磁石など危険物の誤飲(誤って飲み込むこと)、呼吸困難、嘔吐や腹部膨満(お腹の張り)があれば、緊急受診が必要です。
参考文献
Chaware SH, et al. The Systematic Review and Meta-analysis of Oral Sensory Challenges in Children and Adolescents with Autism Spectrum Disorder. J Int Soc Prev Community Dent. 2021, 11, 469-480.
Samsel CB, et al. Nelson Textbook of Pediatrics. 22nd ed. Philadelphia, PA: Elsevier. Nelson Textbook of Pediatrics. 2025, Chapter 36, 240-241.e1.
検査・診断
なんでも口に入れる場合のセルフチェックはできますか?
解説欄をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
「なんでも口に入れる」行動は、セルフチェックはできますが、診断には病院での診察が必要です。
「なんでも口に入れる」行動では、年齢・頻度・内容・影響を確認し、複数該当する場合に受診を検討します。
まず、年齢を確認し、乳幼児期(おおむね2歳頃まで)の探索行動(物を口で確かめる行動)であれば通常範囲です。
次に頻度として、空腹や歯の生えかけ以外でも1日に何度も繰り返すか、数週間〜1ヶ月以上持続するかを確認します。
内容として、紙・土・髪・石などの非食品を繰り返し摂取する場合は、異食症(食べ物でない物を食べる状態)が疑われます。
さらに、腹痛・嘔吐・便秘・血便(便に血が混じる)などの消化器症状や、貧血(血が不足する状態)、発達の遅れ(言葉や対人関係の遅れ)、強いこだわりや不安行動の有無も重要です。
生活への影響(食事や遊びへの支障)や、危険物の誤飲(飲み込むこと)リスクも確認します。
以上の点に複数当てはまる場合は、小児科や発達外来への相談が推奨されます。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、受診が必要かどうかのセルフチェックができます。
参考文献
Chaware SH, et al. The Systematic Review and Meta-analysis of Oral Sensory Challenges in Children and Adolescents with Autism Spectrum Disorder. J Int Soc Prev Community Dent. 2021, 11, 469-480.
Samsel CB, et al. Nelson Textbook of Pediatrics. 22nd ed. Philadelphia, PA: Elsevier. Nelson Textbook of Pediatrics. 2025, Chapter 36, 240-241.e1.
なんでも口に入れるの治療
なんでも口に入れる場合の治療や予防方法には何がありますか?
原因に応じた治療と環境管理・行動療法を組み合わせた多面的対応が重要です。
「なんでも口に入れる」行動への対応は、探索行動、感覚欲求、異食症など原因に応じた対策と、環境調整、行動支援を組み合わせることが重要です。
- 「なんでも口に入れる」行動が、乳幼児の探索行動(物を感覚で確かめる行動)の範囲であれば、安全なおもちゃや食品で見守ります。
- 持続する場合には、口腔感覚欲求(口から刺激を求める状態)への対応として、チューイングトイ(安全に噛める道具)や硬い食感の食品(野菜やクラッカーなど)を用いることもあります。
- 作業療法(感覚に働きかけるリハビリ)では、「感覚統合(感覚の調整)」を目的に、体を使う活動や口の運動(ストローや吹く遊び)を取り入れます。
- 行動面では、応用行動分析(望ましい行動を強める方法)に基づき、代替行動への誘導と肯定的強化(褒める対応)を行います。
- 環境面では、誤飲(危険物を誤って飲み込むこと)の予防として、小物・電池・有害物質を適切に管理します。
- 異食症(非食品を摂取する状態)では、鉄欠乏(体内の鉄不足)などの補正が必要です。
重度例では心理支援や薬物療法が検討されることもあります。
参考文献
Chaware SH, et al. The Systematic Review and Meta-analysis of Oral Sensory Challenges in Children and Adolescents with Autism Spectrum Disorder. J Int Soc Prev Community Dent. 2021, 11, 469-480.
Samsel CB, et al. Nelson Textbook of Pediatrics. 22nd ed. Philadelphia, PA: Elsevier. Nelson Textbook of Pediatrics. 2025, Chapter 36, 240-241.e1.
なんでも口に入れるに関連するその他の質問
発達障害で口に物を入れてしまう場合の対策はありますか?
感覚対応・行動療法・環境調整を組み合わせることが重要です。
はい、いくつかの対策があります。発達障害で口に物を入れる場合は、感覚特性への対応、行動支援、環境調整を組み合わせることが重要です。
- 自閉スペクトラム症(感覚や行動に特性がある発達障害)などでは、感覚探索や自己刺激行動(感覚を満たす行動)として口からの刺激を求めるため、安全な代替手段が必要です。
- 具体的にはチューイングトイ(安全に噛める道具)や、硬い・噛みごたえのある食品を活用します。
- 作業療法では感覚統合(感覚の調整)を目的とした活動(体を使う運動や口の運動)を組み合わせ、口への過度な依存を減らします。
- 行動面では応用行動分析(行動の理由を分析し望ましい行動を増やす方法)により、代替行動の学習やコミュニケーション手段(「休みたい」などの表現)を教えることが有効です。
- 環境面では誤飲(危険物を飲み込むこと)防止のため小物・電池・有害物質を管理します。
- 異食症が疑われる場合は鉄欠乏(体内の鉄不足)などの評価や、歯や消化器の問題の確認も重要です。
安全確保と代替行動・感覚支援の組み合わせが重要であり、専門職による多職種支援が推奨されます。
参考文献
Chaware SH, et al. The Systematic Review and Meta-analysis of Oral Sensory Challenges in Children and Adolescents with Autism Spectrum Disorder. J Int Soc Prev Community Dent. 2021, 11, 469-480.
Samsel CB, et al. Nelson Textbook of Pediatrics. 22nd ed. Philadelphia, PA: Elsevier. Nelson Textbook of Pediatrics. 2025, Chapter 36, 240-241.e1.
自閉症の場合、口に手を入れるのはなぜですか?
感覚刺激の補充や不安軽減のために起こる自己調整行動であることが多いです。
自閉スペクトラム症の場合、口に手を入れるのは、感覚や気持ちを落ち着かせるための行動であると考えられます。
自閉スペクトラム症(感覚や対人関係に特性がある発達障害)では、口に手を入れる行動は感覚や情動を調整するための自己調整行動としてみられることが多いです。
例えば、自閉スペクトラム症では、感覚処理の偏り(刺激に敏感または鈍い状態)があり、口は感覚受容器(刺激を感じる部分)が豊富なため、噛む・吸うことで強い感覚入力を得て、不安や過剰な刺激(音・光・人混みなど)を和らげる役割があります。
このような行動は自己刺激行動(繰り返すことで神経の働きを整える行動、いわゆるスティミング)と呼ばれ、集中を保つ、体の感覚(自分の体の位置や状態)を把握する目的でも行われます。また、言葉での表現が難しい場合に、不快や退屈を示す非言語的手段として現れることもあります。
ただし、この行動は自閉スペクトラム症に特有ではなく、乳幼児の発達過程やストレス、歯の生えかけでもみられるため、頻度や持続、他の発達特性と合わせた評価が重要です。
参考文献
Chaware SH, et al. The Systematic Review and Meta-analysis of Oral Sensory Challenges in Children and Adolescents with Autism Spectrum Disorder. J Int Soc Prev Community Dent. 2021, 11, 469-480.
Samsel CB, et al. Nelson Textbook of Pediatrics. 22nd ed. Philadelphia, PA: Elsevier. Nelson Textbook of Pediatrics. 2025, Chapter 36, 240-241.e1.
なんでも口に入れるについて、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「何でも口に入れてしまう」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 【慢性腎臓病・腎不全(腎臓機能が3ヶ月以上低下)】と言われたことがありますか?
- これまでに【肝機能障害】と診断されたことはありますか?
- これまでに【脳腫瘍】と診断されたことはありますか?
- 最近、頭を激しくぶつけましたか?
なんでも口に入れるに関連する病気・症状
この記事の監修医師
原瀬 翔平
亀田総合病院 脳神経内科・内科
University of Washington (理学部、分子細胞生物学) 卒業後、アップルジャパン株式会社勤務を経て、琉球大学医学部に入学。沖縄県立中部病院での初期臨床研修(2016, 2017年度最優秀研修医賞受賞)修了後、2018年4月に亀田総合病院に入職。同院脳神経内科ベスト指導医(2019, 2020)を受賞。2018年から亀田総合病院卒後研修センター長補佐も兼任しており、臨床だけでなく研修病院における医学教育にも力を入れている。2021年には国立循環器病研究センター脳血管内科で超急性期脳卒中診療を行う。 総合内科の視野を持ちながらの脳神経内科領域、特に脳卒中を専門とする。急性期だけでなく予防、慢性期脳卒中による症候性てんかん、高次脳機能評価、リハビリ、等にも精通。頭痛、しびれ、物忘れ等の主訴にも柔軟に対応できる。 日本語、英語(ネイティブ)、中国語(日常会話)での対応も可能。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/04/15