骨髄増殖性腫瘍は、年齢別に進行スピードも異なりますか?
骨髄増殖性腫瘍では、若年者は進行が緩やかで、高齢者ほど進行が早く予後が不良です。
骨髄増殖性腫瘍(MPN)の進行速度や予後は年齢によって大きく異なり、若年者はより穏やかな経過を示す一方で、高齢者は進行が早く予後も不良である傾向があります。
若年患者さん(40歳以下)は高リスクの遺伝子変異が少なく、進行が遅い傾向にあります。
若年層のMPN患者さんは、MPNと関連のある遺伝子異常のひとつであるCALR変異の割合が高く、通常染色体であることが多く、高リスクの遺伝子変異の頻度が低い傾向がありました。
そのため、進行速度が遅く、全体的な生存期間が長いと報告されています。
全体として、高齢患者さんのほうがMPNの進行速度が速く、予後が悪い傾向があります。
真性多血症(PV)、本態性血小板血症(ET)、原発性骨髄線維症(PMF)それぞれで、高齢群の生存期間は若年群と比べて明確に短く、病態の進行も速い傾向にあります(40歳以下 vs 60歳以上=PV:37年 vs 10年, ET:35年 vs 11年, PMF:20年 vs 3年)。
高齢者では遺伝子異常の蓄積が多く、進行や白血病への移行リスクが高まります。したがって、高齢になるほど染色体異常の数が増加し、MPNの進行や白血病への転化と関連していると報告されています。
東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
(参考文献)
日本臨床腫瘍学会. 新臨床腫瘍学 改訂第7版pp. 597~603. 南江堂. 2024
日本血液学会.“造血器腫瘍診療ガイドライン2024年版, 第Ⅰ章白血病, 4.骨髄増殖性腫瘍”.日本血液学会.http://www.jshem.or.jp/gui-hemali/1_4.html#soron,(参照 2025-05-05).
Natasha Szuber et al. Myeloproliferative neoplasms in the young: Mayo Clinic experience with 361 patients age 40 years or younger. Am J Hematol. 2018, 93, 1474-1484.
Thorsten Klampfl et al. Genome integrity of myeloproliferative neoplasms in chronic phase and during disease progression. Blood. 2011, 118, 167-76.
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