慢性骨髄性白血病
「慢性骨髄性白血病」とは造血幹細胞(血球成分を作る細胞)に異常が起こり、血球や血小板が増え続けてしまう病気です。初期症状は乏しく、進行すると貧血症状が出現します。骨髄検査で病気のタイプを診断します。治療は分子標的薬や抗がん剤治療を行います。診断や治療は血液内科で行います。
名古屋大学病院 小児がん治療センター 血液内科
秋田 直洋 監修
おすすめのQ&A
もっと見る病気について
血球を産生する造血幹細胞に異常が起こる血液のがんのひとつで、白血球や血小板が異常に増える病気です。
造血幹細胞にフィラデルフィア染色体という染色体異常が生じ、血液細胞ががん化することが原因です。
チロシンキナーゼ阻害薬により10年以上生存することが一般的ですが、治療効果が得られない場合や急性転化期に移行すると余命は数ヶ月から数年とされます。
治療の進歩により約80%〜90%に向上し、特にチロシンキナーゼ阻害薬が効果的です。早期診断と適切な治療が重要です。
急性転化期の余命は数ヶ月から1年程度で、抗がん剤や造血細胞移植が検討されます。
治療の進歩により約80%〜90%の方が、診断から10年後にも生存していると報告されています。
病期によりさまざまですが、慢性期に対する治療は通常生涯続きます。治療中断は再発リスクを伴うため、継続が重要です。
いいえ。ストレスが直接的な原因になることはありません。
はい。若年層でも慢性骨髄性白血病になる可能性はあります。
慢性骨髄性白血病の病期に応じた分類になります。
BCR::ABL1融合遺伝子は、22番染色体と9番染色体の一部の入れ替わりで生じた異常な染色体です。
10,000~20,000以上は感染症が多く、30,000以上は白血病などを疑い、精密検査が必要です。
慢性骨髄性白血病の可能性はありますが、白血球や血小板が増加する原因は多々あります。
50~60歳代をピークに男性にやや多い多い病気です。色白の人がなりやすいといったデータはありません。
骨髄芽球や骨髄球は本来、骨髄に存在する未熟な細胞ですが、慢性骨髄性白血病では血液中に現れます。
慢性骨髄性白血病の観察項目は血液検査および身体所見、染色体検査、遺伝子レベルモニタリングです。
体重減少の程度は患者さんにより異なりますが、一般的には軽度です。
慢性骨髄性白血病の患者さん数は約1400~2800人で、発症率は10万人あたり1.8~2.0人です。
慢性骨髄性白血病では、白血球や血小板の異常増加、芽球や好塩基球の増加がみられるようになります。
造血幹細胞異常による血液疾患で、骨髄増殖性疾患と骨髄異形成症候群の特徴を併せ持っています。
慢性期での通院治療により治療成績が大きく改善しており、仕事との両立が可能です。
急性転化の確率は、BCR::ABL1チロシンキナーゼ阻害薬治療後で約18%と報告されています。
高齢者の慢性骨髄性白血病未治療時の正確な余命は不明ですが、急性転化期に至ると数ヶ月で生命予後が厳しくなる可能性があります。
慢性骨髄性白血病は慢性期での早期発見・治療が長期生存の鍵です。放置すれば急性転化期へ進行し、予後が悪化します。
慢性骨髄性白血病の末期では予後が厳しく、治療しても生存期間は通常数ヶ月から1年程度です。QOL維持と症状緩和が治療の中心となります。
症状について
疲れやすさ、体重減少、発熱が一般的です。進行すると脾臓の腫れによる左上腹部の違和感、感染症のリスク増加、貧血による息切れや動悸、頭痛、目のかすみ、手足のしびれが現れます。
初期には症状が乏しいことが多いです。疲れやすさ、体重減少、発熱がみられることがあります。
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
通常、あざにかゆみは伴いませんが、慢性骨髄性白血病の症状として、皮膚のかゆみがみられることがあります。
慢性骨髄性白血病では発疹は一般的ではありませんが、治療薬の副作用で生じることがあります。
病気が進行した場合には発熱がみられることがありますが、症状の程度は患者さんにより異なります。
慢性骨髄性白血病では軽度の貧血があり得ますが、むくみは治療薬の副作用で現れる場合があります。
慢性骨髄性白血病の末期症状は、貧血、感染症、出血傾向、臓器腫大、骨痛などがあります。
治療について
チロシンキナーゼ阻害剤という薬を主に使用します。造血細胞移植を行う場合もあります。
薬の服用、副作用の管理、定期検査、感染予防、健康的な生活習慣が重要です。
いずれの病期もチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)が第一選択薬ですが、移行期~急性期は造血幹細胞移植や抗がん剤が検討されます。
慢性骨髄性白血病は治療成績が良好で、5年生存率は90%以上と高いです。
慢性期では入院は不要ですが、急性転化した場合は数ヶ月以上入院が必要になります。
慢性骨髄性白血病の治療費は公的保険を利用しない場合、月数十万円ですが、高額療養費制度や助成制度を活用すれば、1万円以下に抑えられる可能性があります。
チロシンキナーゼ阻害薬を慢性骨髄性白血病の慢性期で使用した場合、生存は10年以上望める可能性がありますが、急性転化期では余命が数ヶ月から数年に短縮する場合があります。適応は主治医に相談してください。
チロシンキナーゼ阻害薬の主な副作用には、消化器症状、皮膚症状、血液検査値の変化、血圧変動、倦怠感などがあり、これらがみられた場合は医師へ相談が必要です。
受診について
手続きや支援について
検査について
薬について
(参考文献)
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラ