「揺さぶられっ子症候群」とはどのような病気ですか?

強い揺さぶりで乳児の脳が損傷する重篤な虐待です。

解説

揺さぶられっ子症候群は、乳幼児が激しく揺さぶられることで起こる脳の損傷です。

乳児の頭は体に比べて大きく、首の筋肉が未発達なため、揺さぶりで脳が頭蓋骨内で前後に激しく揺れ動きます。その結果、血管や神経が損傷し、脳出血、網膜出血、脳の腫れなどが起こります。症状は軽度から重度までさまざまですが、不機嫌、無気力、哺乳不良、嘔吐などのほかに、けいれん、意識障害、呼吸停止などの重篤な症状を引き起こします。また、初期にはわずかな症状しか現れず、時間が経つにつれて、より顕著な変化が現れる場合もあります。

多くは、養育者が泣きやまない子どもに苛立ち、強く揺さぶることが原因です。数秒間の揺さぶりでも重大な後遺症を残すことがあり、知的障害、てんかん、失明、発達遅滞、運動障害など長期的な影響が残るケースも少なくありません。死亡に至ることもあります。致死率は20%以上であり、かつ生存者の約2/3に長期的な障害が残るとされています。

予防には「泣くのは赤ちゃんの自然な行動である」と理解することが大切です。泣きやまないときは、ベッドに寝かせて安全を確保したうえで、保護者が一時的に離れて気持ちを落ち着けることが推奨されます。地域の育児相談窓口や小児科、支援団体などを活用することで、孤立やストレスを和らげることも予防につながります。

従来は「乳幼児揺さぶられ症候群」という用語が用いられていましたが、現在は揺さぶられること以外による頭部損傷も含めた用語として「虐待による乳幼児頭部外傷」が主に用いられています。

公開日

最終更新日

宮城県立こども病院 小児科

谷河 翠 監修

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