多動症の場合、主にどのような治療をしますか？

多動症/注意欠如・多動症（ADHD）の治療では、環境調整に始まる心理社会的アプローチが重要です。心理社会的アプローチのみでは不十分な場合、薬物療法が行われることもあります。

まずは、

1. 環境調整
2. 親への心理社会的治療
3. 子供への心理社会的治療
4. 学校など関連専門機関との連携

の4つの領域があります。

お子さんの場合は、家庭や学校で、特性をふまえた援助が重要です。周りの人間がサポートして、指示をわかりやすくする、感情的な叱り方をしない、褒め方を工夫する、気が散りにくいような環境を整える、課題を小分けにして休憩を挟む、といったような工夫が有効とされています。また、心理教育や勉強の段取りの指導、ペアレントトレーニング、認知行動療法、社会技能訓練が有効である場合があります。

大人の場合には、金銭管理や手続き関係を取り組みやすくする、家事・子育てなどの家庭生活、仕事や余暇の過ごし方、人間関係における困難を抱えていることがありますので、ご家族や職場に理解を得て、合理的な配慮を行うことが必要な場合もあります。タスク管理など苦手なことを補完してくれるツールを用いることが効果的な場合もあります。気分の波や、不安、うつなどの精神的な不調を伴っている場合には、まずは困っている症状の治療から進めていく場合もあります。

薬物療法では、中枢神経系の精神刺激薬やノルエピネフリン再取り込み阻害薬などが用いられます。また、出現している症状によって、不眠や不安、うつを改善するための薬が用いられることもあります。