無ガンマグロブリン血症の末期症状はどのようなものがありますか?
敗血症や髄膜炎など命に関わる感染症や、繰り返す呼吸器感染症による肺障害が起こります。
無ガンマグロブリン血症は、体が細菌やウイルスと戦うために必要な抗体(免疫グロブリン)がほとんど、あるいはまったく作られない免疫不全症です。
この病気を放置したり、治療が不十分なまま長期間経過すると、いわゆる末期症状として重い合併症が起こることがあります。
まず、最も多いのは、繰り返す呼吸器感染症による肺の障害です。慢性的な肺炎や気管支炎を繰り返すことで、気管支拡張症という後遺症が残り、次第に呼吸機能が低下します。咳や痰が慢性化し、少しの運動でも息切れを感じるようになります。
また、消化管感染症により、慢性的な下痢や栄養不良を起こすことがあります。これにより体力が低下し、感染に対する抵抗力もさらに弱まります。
重篤な場合には、髄膜炎や敗血症(血液中に菌が入り込む状態)といった命に関わる感染症を引き起こすこともあります。
さらに、まれですが悪性リンパ腫や自己免疫疾患(体が自分自身を攻撃してしまう病気)などを併発する例も報告されています。
これらは、長期間の免疫異常による慢性的な炎症や免疫系の乱れが原因と考えられています。
早期からの免疫グロブリン補充療法(IVIG)や感染症への速やかな対応が重要であり、継続的な医療機関への通院と、日常生活での感染予防(手洗い・マスク・人混みを避けるなど)が不可欠です。
宮城県立こども病院 小児科
谷河 翠 監修
(参考文献)
Zeinab A El-Sayed et al. X-linked agammaglobulinemia (XLA):Phenotype, diagnosis, and therapeutic challenges around the world. World Allergy Organ J. 2019, 12, .
Vivian Hernandez-Trujillo et al. A Registry Study of 240 Patients with X-Linked Agammaglobulinemia Living in the USA. J Clin Immunol. 2023, 43, 1468-1477.
Dana O'Toole et al. X-Linked Agammaglobulinemia: Infection Frequency and Infection-Related Mortality in the USIDNET Registry. J Clin Immunol. 2022, 42, 827-836.
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