無ガンマグロブリン血症の余命はどれくらいですか?
早期診断と治療により成人期以降まで生存することが期待できます。
無ガンマグロブリン血症の余命は、治療の有無によって大きく異なります。「余命=何年」と一概に言えない病気ですが、早期診断と治療により成人期まで生存することが期待できます。
無ガンマグロブリン血症は、体が細菌やウイルスと戦うために必要な「免疫グロブリン(抗体)」がほとんど作られない病気です。
このため、放置すると肺炎や髄膜炎などの重い感染症を繰り返し、命に関わることもあります。
また、肺や腸に慢性的な感染症のダメージが蓄積し、長期的な生活に影響を及ぼすこともあります。
しかし、現在では医療の進歩によって、早期診断およびガンマグロブリン補充療法(「免疫グロブリン製剤(IVIG)」の点滴により、定期的に抗体を補充する治療)が可能となりました。
これにより感染症にかかったり、重症化するリスクが大きく下がり、健康な人と近い生活を送ることが可能になってきています。
例えば、イタリアでの追跡調査では、43歳での全生存率はほぼ93%であったことが報告されています。
無ガンマグロブリン血症の予後は、ガンマグロブリン補充療法の有無と、その開始タイミングが大きく影響します。
特に早期に診断され、適切な治療と感染予防がなされていれば、一般の人とほぼ同じような日常生活を長く続けられることもあります。
ただし、感染症のリスクは常にあるため、日常生活での感染予防(手洗い・マスク・人混みを避けるなど)、ワクチンの活用(生ワクチンは使用不可)、専門医の継続的なフォローアップが重要です。
宮城県立こども病院 小児科
谷河 翠 監修
(参考文献)
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Dana O'Toole et al. X-Linked Agammaglobulinemia: Infection Frequency and Infection-Related Mortality in the USIDNET Registry. J Clin Immunol. 2022, 42, 827-836.
Vassilios Lougaris et al. Long-term follow-up of 168 patients with X-linked agammaglobulinemia reveals increased morbidity and mortality. Multicenter Study. 2020, 146, 429-437..
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