肺を切除した場合の影響や後遺症にはどのようなものがありますか?

肺がんの手術後には、肺炎などの合併症に注意する必要があります。

解説

肺切除は肺がんの標準的な治療法のひとつです。

手術によって肺の一部または全部を切除することで、呼吸機能の低下やその他の後遺症が起こる可能性があります。

肺切除後の影響と後遺症は、切除する肺の範囲、患者の年齢や全身状態、合併症の有無などによって大きく異なります。

一般的に、肺の切除範囲が大きいほど、呼吸機能の低下や後遺症のリスクが高くなります。

また、高齢者や基礎疾患のある患者では、若年者や健康な人に比べて、合併症のリスクが高くなる傾向があります。

肺切除後の一般的な影響と後遺症としては、以下のようなものが挙げられます。

肺切除後の一般的な影響

  • 呼吸機能の低下:

肺の一部を切除することで、肺活量が減少し、息切れや呼吸困難が起こりやすくなります。

  • 痛み:

手術の傷跡や周囲の組織の炎症によって、痛みを感じることがあります。

  • 感染症:

肺炎、膿胸などのリスクがあります。抗菌薬を使用したり、膿を出すために再手術をする場合もあります。

  • 出血:

手術中にまたは手術後に、出血が起こることがあります。

  • 肺塞栓症:

手術後に、足の静脈にできた血栓が肺に飛んで詰まることで、肺塞栓症が起こることがあります。

  • 肺瘻(はいろう)や気管支断端瘻(きかんしだんたんろう):

切除した肺や気管支の切り口の縫い合わせがうまくくっつかず、空気が漏れる場合があります。まれな合併症ですが、再手術が必要な場合もあります。

  • 無気肺:

肺の一部が膨らまなくなることで、無気肺が起こることがあります。

  • 胸水貯留:

胸腔に液体が貯留することで、呼吸困難が起こることがあります。

手術によって、肩や腕の神経や筋肉が損傷されることで、痛みや動かしにくさが起こることがあります。

手術によって、声帯を支配する神経が損傷されることで、声のかすれが起こることがあります。

  • 心臓など循環器系の合併症:

一時的に心臓に負担がかかることで不整脈が出たり、血圧が変動することがあります。また頻度は少ないですが、心筋梗塞脳梗塞肺血栓など突発的な合併症が起こることがあります。

肺切除後の影響と後遺症を予防するためには、手術前に禁煙し、呼吸機能を高める訓練を行うことが重要です。

また、手術後は、医師の指示に従って、適切なリハビリテーションを行うことで、呼吸機能の回復を促し、後遺症を予防することができます。

公開日

最終更新日

京都大学医学部附属病院 呼吸器内科

山形 昂 監修

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