二の腕が痛くて上がらない場合、何が原因ですか?

骨折や脱臼、腱板損傷や肩関節周囲炎(五十肩)、石灰沈着性腱板炎などが原因として考えられます。

解説

二の腕が痛くてほとんど上げることができない場合、次のような状況が考えられます。

骨折や脱臼

スポーツや事故、転倒などで強い力が肩や腕にかかってから強い痛みが始まった場合には上腕骨の骨折や肩関節の脱臼の可能性があります。これらの場合、動かそうとするとかなり痛みが強いことや、骨が正常の位置と異なるため筋肉による正常な動きが出来なくなります。不安定なままだと痛みが強いため、痛みの無い方の手で怪我をしている腕の肘を支えるような姿勢をとるようになります。
骨折では「ずれ」が大きいほど上手く動かせなくなります。手術が必要になる可能性があります。
脱臼では、肩のまわりの血管や神経を圧迫して損傷してしまう可能性があるため、なるべく早急に元の位置にもどす(=整復する)必要があります。

腱板損傷

肩には腱板(けんばん)という、肩を動かすために重要な筋肉の集まりがあります。若い方では、スポーツや転倒で強い力が肩にかかった際に、中年以降の方では特別なきっかけが無くこの腱板が損傷してしまうことがあります。
特に真横に腕をあげる際に必要な腱板が切れやすいという特徴があります。
重症の損傷の場合には、肩に上手く力が伝わらず持ち上がらなくなります。動かそうとした際にジョリジョリという変な音が聞こえるという方もいます。
年齢やスポーツ活動などを考慮したうえで、手術が必要になる場合があります。

肩関節周囲炎

40代以降に多い、肩から腕にかけての痛みを生じる病気です。年齢とともに痛んだ肩の筋肉や腱が炎症を起こし、肩の動きが全体的に悪くなります。
病気の初期は、炎症のため強い痛みを感じながらも我慢しながらであれば腕を持ち上げることが出来る場合が多いです。
しかし、痛みが長引いて時間が経過してくると、肩のまわりの構造の伸縮性が落ちて、肩の動く範囲が狭くなっていきます。他人が腕を持ち上げようとしてもある範囲よりは広く動かせない状況が長期につづく「凍結肩」となり、治るまでに年単位の期間が必要となる場合があります。

石灰沈着性腱板炎

肩の筋肉や腱に石灰(カルシウム結晶)が沈着することにより強い炎症をおこす病気です。突然の強い痛みを生じます。
レントゲン検査で石灰を確認することで診断します。
人によってはかなり強い痛みであり、まるで骨折のように腕を上げることが困難になる場合があります。

公開日

最終更新日

山田記念病院 整形外科 整形外科部長

濱畑 智弘 監修

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