RSウイルス感染症の場合、主にどのような治療をしますか?
RSウイルス感染症に対する特効薬はなく、主に、水分補給や解熱剤服用などの支持療法を行います。
RSウイルス感染症に対する特効薬はありません。
そのため、主な治療法は対症療法(病気の根本的治療ではなく現れた症状への対応としての治療)となります。
軽症の場合
- 解熱鎮痛薬の服用
- 水分補給
- 鼻汁の吸引(乳幼児の場合)
重症化した場合(細気管支炎や肺炎に進展した場合)
- 酸素投与
- 点滴による補液
- 人工呼吸器の使用
抗菌薬(抗生物質)は、通常RSウイルス感染症に有効ではありません。細菌感染症の合併が疑われた場合には抗菌薬が使用される場合があります。
RSウイルス感染症は喘息のようなゼーゼーという喘鳴症状が出る場合がありますが、気管支拡張薬の吸入はRSウイルス感染症の症状改善や入院期間短縮には有効ではないとされています。ルーチンで使用することは推奨されません。
しかし、気管支拡張薬の吸入の有効性を調べた研究では、重篤な呼吸不全をきたしている患者さんを対象から除外しているため、重症化した場合、薬に対して反応するかを試みる余地はあります。特に、過去にも喘鳴のエピソードがあったり、喘息やアトピーの家族歴がある患児の場合は、反応する可能性が高いとされています。効果がなければ、頻脈などの副作用が出ることも鑑みて、使用を中止すべきです。
同じく喘息の治療に使われるロイコトリエン阻害薬(モンテルカスト、プランルカスト)の内服も、RSウイルス感染症の症状改善や入院期間短縮には有効ではないとされています。
また、ステロイドの飲み薬も、通常は使われることはありません。しかし、喘鳴を繰り返している場合や、気管支拡張薬に対する明らかな反応(症状が良くなる)がある場合、家族に喘息やアトピーの方がいる場合は、喘息の可能性も考えてステロイドが処方されることがあります。
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最終更新日:
東日本橋内科クリニック 一般内科
平松 由布季 監修
(参考文献)
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