うつ病などの心の病気と「肥満症」には関連があるのでしょうか?

はい、深く関連します。うつ病による活動低下や過食が肥満症を招く一方、肥満症への偏見や身体的不調がうつ病を引き起こすこともあります。

はい、うつ病などの心の病気と「肥満症」には、医学的に双方向の深い関連があることが多くの研究で明らかになっています。つまり、「心の不調が肥満症を引き起こす」こともあれば、逆に「肥満症が心の不調を引き起こす」こともあり、互いに悪影響を及ぼし合う悪循環に陥りやすいのです。

【心の病気 → 肥満症 のメカニズム】

うつ病になると、以下のような理由で体重が増加しやすくなります。

  • 活動意欲の低下:気力がわかず、体を動かすのが億劫になるため、消費エネルギーが減少します。
  • 食行動の変化:ストレスや気分の落ち込みを紛らわすために、甘いものや高カロリーなものを過剰に食べてしまう「感情的摂食」が起こりやすくなります。
  • 薬の副作用:一部の抗うつ薬や抗精神病薬には、副作用として食欲増進や体重増加をきたすものがあります。
  • 睡眠障害:不眠や過眠といった睡眠の問題が、食欲を乱すホルモンバランスの変化を引き起こします。

【肥満症 → 心の病気 のメカニズム】

一方で、肥満症であること自体が、うつ病などを発症・悪化させる原因にもなります。

  • 社会的な偏見(スティグマ):周囲からの否定的な視線や心ない言葉により、自己肯定感が傷つけられ、抑うつ気分や社会的な孤立につながります。
  • 身体的な不調:体重増加による体の動かしにくさ、関節痛息切れといった身体的な不快感や健康不安が、精神的なストレスとなります。
  • 生物学的な影響:肥満によって体内で生じる慢性的な炎症が、脳の機能に影響を与え、うつ病の発症に関与している可能性も指摘されています。

このように、心と体は密接につながっています。そのため、肥満症の治療では体重を減らすことだけでなく、心理的なサポートやストレス管理が非常に重要となり、逆にうつ病の治療でも、生活習慣や体重の変化に目を向ける必要があります。

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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長

井林 雄太 監修

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