薬剤性嘔気・嘔吐
監修医師平松 由布季東日本橋内科クリニック 内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15
薬剤性嘔気・嘔吐とは
様々な薬で生じる可能性がありますが、特に抗癌剤・麻薬性鎮痛薬・向精神薬などで多いようです。
「薬剤性嘔気・嘔吐」とはどのような病気ですか?
薬剤によって引き起こされる吐き気や嘔吐のことです。
「薬剤性嘔気・嘔吐」とは、薬剤によって引き起こされる吐き気や嘔吐のことです。
薬の中には、副作用として吐き気や嘔吐をきたすものがあります。中でも、がんの治療に使われる抗がん剤や、麻薬性鎮痛薬は嘔気の副作用を引き起こすことが珍しくありません。
吐き気や嘔吐の症状が薬剤性に起こっている場合、最も有効なのは原因となっている薬剤を中止することです。
ただし、上に挙げた抗がん剤や、麻薬性鎮痛薬を使用している患者さんでは、薬剤の中止が難しい場合があります。
抗がん剤であれば治療を止めると病気が進行する可能性があり、麻薬性鎮痛薬を使用している患者さんでは、強い痛みに対し薬剤を使用しているため、止めてしまうと痛みが悪くなる可能性があるためです。
そのため、一般的には、吐き気止めを内服しながら、原因となる薬剤も継続する場合が多いです。
特に抗がん剤での吐き気は非常に頻度が高いため、吐き気止めの薬剤も同時に使いながら治療を開始する場合が多いです。
薬剤性嘔気・嘔吐の症状
薬剤性嘔気・嘔吐には初期症状はありますか?
原因となる薬剤を開始したあとに症状が現れます。
薬剤性嘔吐・嘔気では、原因となる薬剤を開始したあとに吐き気や嘔吐の症状が現れます。早ければ治療開始直後から症状が出現し、数日の間続く場合が多いです。
遅発性嘔吐と呼ばれる、遅く始まり、1週間程度持続するような症状の出方であることもあります。止めることが可能であれば、原因となる薬剤の中止が最も簡単な対策です。
しかし、抗がん剤治療や麻薬性鎮痛薬を使用している場合には、薬剤の中止は難しく、繰り返し薬剤の投与が必要となる場合が多いです。
そのため、吐き気止めを用いて症状を抑えながら治療を続けることが一般的です。
薬剤性嘔気・嘔吐ではどのような症状がありますか?
原因となる薬剤を使用したあとに吐き気や嘔吐が現れます。
薬剤性嘔気・嘔吐では、原因となる薬剤を使用したあとに吐き気や嘔気が現れます。例えば、抗がん剤治療では、治療の点滴を開始したあとから吐き気が現れます。
タイミングはさまざまであり、治療開始直後に症状が現れる場合から、治療翌日あたりから症状が出現し、1週間程度長引く場合もあります。
止めても問題のない薬剤であれば、原因となる薬剤を中止します。しかし、がん治療や、がんの痛みを緩和するために麻薬性鎮痛薬を使用している場合などには、原因となる薬剤を止めることができない場合もあります。
そのような場合には、吐き気止めの点滴や飲み薬を用いて症状を抑えます。
薬剤性嘔気・嘔吐の検査・診断
薬剤性嘔気・嘔吐のセルフチェックはできますか?
解説欄をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
薬剤性嘔吐は、特定の薬剤の副作用として吐き気や、嘔吐が現れます。吐き気や嘔吐の症状自体は、薬剤性に限らずさまざまな原因で発生します。
嘔気の原因の中には、腸閉塞や髄膜炎、胆嚢炎など、ただちに診断や治療が必要な病気も存在します。
そのため、嘔吐の症状がある場合には、薬剤性嘔吐であるのかだけではなく、それらの病気の可能性がないか確かめることも重要です。
発熱や腹痛など、その他の症状がある場合には、急を要するものである可能性があります。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、薬剤性嘔気・嘔吐かどうかのセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
薬剤性嘔気・嘔吐の治療・対処法
薬剤性嘔気・嘔吐への対処法は?
処方薬が原因として疑わしい場合には、主治医に相談をします。該当薬の中止ないし変更、吐き気止めの併用を検討します。
薬剤性嘔気・嘔吐の場合、主にどのような治療をしますか?
吐き気止めの飲み薬、または点滴で治療をします。
薬剤性嘔気・嘔吐とは、薬剤が原因で起こる吐き気や嘔吐のことです。
治療としてまず挙げられるのは、被疑薬の中止です。原因となる薬剤を止めても問題のない場合には、止めることで症状は改善します。
しかし、抗がん剤治療や麻薬性鎮痛薬では止めることが難しい場合があります。そのような場合には、吐き気止めの点滴や飲み薬を使って症状を抑えます。
抗がん剤治療の場合、使われる薬の種類によって、薬剤性嘔吐が出現しやすいかは、ある程度予想できます。
嘔吐の出現しやすい種類の薬を使う場合には、初めから強い吐き気止めを使って症状を抑えます。
もちろん、症状の出方は患者さんごとに異なるため、嘔気の副作用が強く出るようであれば、強い吐き気止めに変更するなどの対応を行い治療します。
薬剤性嘔気・嘔吐の治療に制吐剤は使いますか?
薬剤性嘔気・嘔吐の治療のために、制吐剤を使用することがあります。
薬剤性嘔気・嘔吐の治療の基本は、原因となる薬の見直しと制吐薬(吐き気止め)による対症療法です。
可能であれば、嘔気・嘔吐の原因となる薬剤を中止または変更し、症状が強い場合は制吐薬を使用します。
代表的な制吐薬としては、以下のものがあります。
- ドパミンD2受容体拮抗薬(ドンペリドン、クロルプロマジン、ハロペリドールなど)
- 5-HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン、グラニセトロンなど)
- NK1受容体拮抗薬(アプレピタントなど)
- 副腎皮質ステロイド(デキサメタゾンなど)
特に5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬、副腎皮質ステロイドは、抗がん剤による吐き気に対して組み合わせて使用されることが多いです。
参考文献
June Tome et al.“A Practical 5-Step Approach to Nausea and Vomiting”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35246289/,(参照 2025-07-08).
日本癌治療学会.“『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』Web版公開のお知らせ”..https://www.jsco.or.jp/news/detail.html?itemid=631&dispmid=767&TabModule830=0,(参照 2025-07-08).
抗がん剤治療中の吐き気を軽減する方法はありますか?
主治医に相談し、吐き気止めを調整してもらいましょう。
抗がん剤治療中の吐き気は、薬剤性嘔気・嘔吐と呼ばれ、多くの患者さんで現れます。
嘔気はつらい症状であるだけでなく、食事の量が減ってしまうと栄養状態にも悪影響がおよびます。
用いる抗がん剤の種類によって、嘔気・嘔吐の症状が出現しやすいかどうかはある程度わかっており、嘔気の出現しやすい治療を行う場合には、初めから強い吐き気止めを使って治療を開始する場合が多いです。
しかし、抗がん剤による嘔気の症状の出方は患者さんごとにさまざまで、それほど嘔気の出にくい抗がん剤治療でも、ひどい嘔気が現れる場合もあります。
そのような場合には、強い吐き気止めを使ってしっかりと症状を抑えたほうがよいため、つらい症状があれば主治医に相談し、吐き気止めの調整をしてもらいましょう。
受診の目安・何科を受診するべきか
薬剤性嘔気・嘔吐が疑われる場合、病院を受診する目安はありますか?
食事量が減っているようであれば病院を受診しましょう。
薬剤性嘔気・嘔吐が疑われる場合、多くは抗がん剤治療の副作用として起こります。
病院を受診する目安としては、例えば嘔気によって食事量が減っているような場合には、栄養状態に影響が及ぶため、病院を受診し主治医に相談しましょう。
そのほかに、1日に何度も嘔吐するような場合や、発熱などそのほかの症状がみられる場合には、薬剤性でないそのほかの原因である可能性もあることから、早めに病院の受診をおすすめします。
原因となる薬剤の中止が難しい場合には、吐き気止めを用いて症状をコントロールします。
薬剤性嘔気・嘔吐が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
抗がん剤治療中であれば、主治医に相談しましょう。
薬剤性嘔吐・嘔気が最も出現しやすいのは、抗がん剤治療の副作用です。
がんの発生した場所によって診療科は異なるため、現在治療を行っている診療科の主治医に相談しましょう。
症状に応じて、治療開始時に用いる吐き気止めを追加したり、強いものに変更します。
また、がん治療に限らず、薬剤性の嘔気、嘔吐では、なんらかの薬剤が原因となっています。
特定の薬を始めてから嘔気、嘔吐が出現したのであれば、その薬を処方した診療科の主治医に相談し、薬剤の変更や治療について相談しましょう。
特に抗がん剤治療では、嘔気によって食欲が減ってしまい、栄養状態が悪化することはできるだけ避けたいです。
嘔気の症状があれば、すぐに主治医に相談しましょう。
薬剤性嘔気・嘔吐を放置するとどうなりますか?
脱水や電解質異常を引き起こし、命にかかわることがあります。
薬剤性嘔気・嘔吐を放置すると、極度の脱水や電解質異常(低ナトリウム血症や低カリウム血症など)を引き起こし、命に関わることがあります。
薬剤性嘔気・嘔吐は、薬の副作用によって起こる吐き気や嘔吐であり、原因となる薬には抗がん剤、医療用麻薬、抗菌薬、鉄剤、抗うつ薬など、さまざまなものがあります。
症状が軽い場合は、吐き気止めを使用しながら水分や食事をとることができます。
しかし、症状が重く嘔吐を繰り返す場合は、体内の水分や電解質(ナトリウム、カリウムなど)が失われ、脱水症や電解質異常を引き起こすリスクがあります。
特に、高齢者や体力が低下している方では、血圧低下、意識障害、不整脈などの重篤な合併症が起こりやすく、命に関わるリスクが高くなります。
また、嘔気が続いて食事が摂れない状態が長引くと、栄養不足や体力低下を招き、感染症や褥瘡(床ずれ)のリスクが高まります。
薬剤性嘔気・嘔吐を放置せず、必ずかかりつけの医師に相談して、適切な治療を受けましょう。
参考文献
Paul J Hesketh at al.“Antiemetics: American Society of Clinical Oncology Clinical Practice Guideline Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28759346/,(参照 2025-07-08).
June Tome et al.“A Practical 5-Step Approach to Nausea and Vomiting”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35246289/,(参照 2025-07-08).
日本癌治療学会.“『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』Web版公開のお知らせ”..https://www.jsco.or.jp/news/detail.html?itemid=631&dispmid=767&TabModule830=0,(参照 2025-07-08).
薬剤性嘔気・嘔吐の専門医がいる近くの病院はありますか?
薬剤性嘔気・嘔吐の専門医がいる病院を見る薬剤性嘔気・嘔吐の薬
薬剤性嘔気・嘔吐は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
吐き気止めでの治療を行います。
薬剤性嘔気・嘔吐では、薬剤の副作用として嘔気・嘔吐が現れます。抗がん剤や、麻薬性鎮痛薬の副作用として症状が現れることが多いです。
治療としては吐き気止めの点滴や飲み薬を使用します。原因となる薬剤を中止することができる場合には、薬剤の中止のみで様子をみる場合もあります。
吐き気止めの副作用も、頻度は高くありませんが存在します。
吐き気止めの副作用としては、急性のアレルギー反応のほか、発疹、頭痛、不整脈、便秘、肝酵素上昇が報告されています。
薬剤性嘔気・嘔吐は薬を服用してから何時間後に出ますか?
薬の種類や投与経路(点滴、飲み薬など)によって異なります。
薬を投与してから何時間後に吐き気や嘔吐の症状が出るかは、薬の種類、投与経路(点滴、飲み薬など)によって異なります。
例えば、抗菌薬による吐き気や嘔吐は、投与後数時間から数日以内に出現することが多いです。
抗菌薬のなかでも、マクロライド系(エリスロマイシン、アジスロマイシンなど)では、消化管運動を活発にする作用があるため、服用後数十分で吐き気や嘔吐が起きることがあります。
抗がん剤による吐き気や嘔吐は、大きく2種類に分類されます。
急性嘔気・嘔吐
投与直後から24時間以内に発生
遅発性嘔気・嘔吐
投与24時間後から数日後に発生
これらには複数の神経伝達物質や神経細胞が関与していると考えられています。
また、抗がん剤の種類によって吐き気のリスクは大きく異なるため、リスクに応じて制吐剤(吐き気止め)を投与します。
薬剤性嘔気・嘔吐の原因となる薬は他にも多くあり、症状が出るかどうか、症状の程度や持続時間には個人差が大きいのが特徴です。
薬剤性嘔気・嘔吐が疑われる場合には、必ずかかりつけの医師に相談しましょう。
参考文献
Pranita D Tamma et al.“Association of Adverse Events With Antibiotic Use in Hospitalized Patients”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28604925/,(参照 2025-07-08).
Jason J Ong et al.“Comparison of gastrointestinal side effects from different doses of azithromycin for the treatment of gonorrhoea”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35411400/,(参照 2025-07-08).
Rudolph M Navari et al.“Antiemetic Prophylaxis for Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27050207/,(参照 2025-07-08).
薬剤性嘔気・嘔吐の経過・予後
末期がんで余命1ヶ月になると、症状として薬剤性嘔気・嘔吐が出やすくなりますか?
余命1ヶ月の状況では、嘔気・嘔吐の症状は出やすくなります。
末期がんで余命1ヶ月の状況では、嘔気・嘔吐の症状は出やすくなります。末期がんでは痛みに対し麻薬性鎮痛薬を用いている場合が多く、その副作用として嘔気・嘔吐が現れます。
また、薬剤性に限らず、がんそのものによっても嘔気・嘔吐の症状は出現しやすくなります。
がんが腹膜播種すれば、腹水の貯留により嘔気の症状が現れます。また、がんが小腸・大腸などの消化管に及ぶことで嘔気の原因となります。
このように、末期がんではさまざまな原因で嘔気の症状が現れます。大切なことは、できるだけつらい症状がなく時間を過ごせるよう、症状を抑えることです。
つらい症状があれば、すぐに主治医に相談しましょう。
薬剤性嘔気・嘔吐はいつまで続きますか?
薬剤性嘔気・嘔吐の持続期間は、原因となる薬や、個々人の体調や体質によって大きく異なります。
薬剤性の嘔気・嘔吐の持続期間は、原因となる薬や個々人の体調や体質によって大きく異なります。
抗菌薬や鉄剤による吐き気や嘔吐は、薬の中止後、数日以内に改善することが多いです。
医療用麻薬による吐き気や嘔吐は、通常1週間以内に耐性ができて症状が軽快することが多く、耐性ができるまで制吐剤(吐き気止め)を併用する場合があります。
もし1週間以上吐き気が持続する場合は、他の種類の医療用麻薬に変更することや、薬以外に吐き気の原因がないかを再評価することが必要です。
抗がん剤による吐き気や嘔吐は、投与直後から発生し、投与後数日間続くこともあります。
抗がん剤の種類によって副作用のリスクは大きく異なるため、リスクに応じて適切な制吐剤を投与します。
参考文献
Dora I A Pereira et al .“A rapid, simple questionnaire to assess gastrointestinal symptoms after oral ferrous sulphate supplementation”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24899360/,(参照 2025-07-08).
Robert A Swarm et al.“Adult Cancer Pain, Version 3.2019, NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31390582/,(参照 2025-07-08).
Rudolph M Navari et al.“Antiemetic Prophylaxis for Chemotherapy-Induced Nausea and Vomiting”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27050207/,(参照 2025-07-08).
対処法・セルフケア
薬剤性嘔気・嘔吐の治し方や対処法を教えてください。
薬剤性嘔気・嘔吐に対する治療の基本は、原因となる薬の見直しと制吐剤(吐き気止め)による対症療法です。
薬剤性嘔気・嘔吐とは、薬の副作用によって起こる吐き気や嘔吐のことです。
治療の基本は、原因となる薬の見直しと制吐剤(吐き気止め)による対症療法です。
薬の見直し
原因となる薬を中止できる場合は、薬を中止することで症状が改善します。医療用麻薬の場合は、薬の量を減らしたり、別の種類に変更することで、吐き気や嘔吐の副作用を軽減できることがあります。
対症療法(制吐剤)
原因となる薬を中止できない場合や、症状が続く場合は、制吐剤(吐き気止め)を使用します。特に抗がん剤は薬によって吐き気のリスクが異なるため、リスクや症状に応じて適切な制吐薬を使用します。
症状が改善せずに嘔吐を繰り返してしまう場合や、重度の脱水症状を起こした場合は、点滴治療や入院が必要になることもあります。
参考文献
日本癌治療学会.“『制吐薬適正使用ガイドライン 2023年10月改訂 第3版』Web版公開のお知らせ”..https://www.jsco.or.jp/news/detail.html?itemid=631&dispmid=767&TabModule830=0,(参照 2025-07-08).
Matthew Heckroth et al.“Nausea and Vomiting in 2021: A Comprehensive Update”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33471485/,(参照 2025-07-08).
薬剤性嘔気・嘔吐で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
原因となる薬剤の変更や中止を検討しますが、状況に応じて判断します。
薬剤性嘔気・嘔吐は、薬剤の副作用として吐き気や、嘔吐の症状が現れます。一般的には、抗がん剤治療や麻薬性鎮痛薬が原因で起こることが多いです。
吐き気止めの点滴や飲み薬で治療を行いますが、吐き気が強く治療が効かない場合もあります。
そのような場合には、吐き気止めの種類を変えたり、より強い吐き気止めへの変更を行います。
それでも症状が改善しない場合、吐き気の原因となっている薬剤の中止や変更を検討します。
ただし、抗がん剤治療では、病気に効果のある薬剤の種類が限られている場合が多く、現在の治療を中止すれば将来の治療選択肢が狭まることがあります。
そのため、現在の薬剤を変更するかどうかは慎重に検討します。
薬剤性嘔気・嘔吐の場合、日常生活で気をつけることはありますか?
吐き気止めを使用するほか、食事の摂り方に気をつけましょう。
薬剤性嘔気・嘔吐とは、薬剤が原因で起こる吐き気や嘔吐のことです。抗がん剤治療や麻薬性鎮痛薬の副作用として症状が現れる場合が多いです。
主治医から事前に、吐き気の強いときに飲む頓用の吐き気止めが処方されている場合には、症状が出てきたら薬を内服して症状を抑えましょう。
また、薬剤性嘔吐では、吐き気によって食欲が減退してしまい、栄養状態に悪い影響があります。
食事による栄養摂取は重要であり、高カロリーで消化のよい食べ物を摂取することや、小分けにして複数回にわたって食事をするなど、食事摂取の仕方を調整することも有効です。
薬剤性嘔気・嘔吐に関連するその他の質問
悪心と吐き気の違いについて教えてください。
どちらも同じです。
悪心と吐き気は、基本的に同じ症状です。どちらも、胃がムカムカする不快な感覚や、吐きそうになる前兆のような状態を指します。程度が悪化すると嘔吐となります。
嘔吐の原因はさまざまであり、抗がん剤や麻薬性鎮痛薬、解熱鎮痛薬などの副作用として現れる場合や、腸閉塞、胆嚢炎、髄膜炎など急を要する病気の一症状として現れる場合もあります。
薬剤性の嘔気・嘔吐であれば、吐き気止めで症状を抑える場合が多いです。
発熱、腹痛など、そのほかの症状を伴う場合には、ただちに治療を要する病気である可能性があります。
そのような症状を伴う場合や、症状が持続する場合には、医療機関に相談することが大切です。
薬剤性嘔気・嘔吐は氷を口に入れるとおさまりますか?
氷を口にいれることで、症状が軽減することがあります。ただし、あくまで補助的な対策と考えられています。
薬剤性の嘔気・嘔吐に対して、口に氷を入れることで症状が軽減する可能性があります。
これは、冷やすことで薬による味覚刺激を抑制したり口からのどにかけての感覚神経に影響を与えることが、その要因と考えられています。
特に抗がん剤による軽度の吐き気や嘔吐に対して、一時的な対策として有効とする報告があります。
ただし、氷を使った方法はあくまで補助的な対策であり、強い吐き気や嘔吐を改善できるほどの効果はありません。
また、氷だけですべての薬剤性嘔気・嘔吐が改善するわけではありません。
症状が強い場合は、薬の見直しや適切な制吐剤(吐き気止め)の使用が必要になるため、必ずかかりつけの医師に相談しましょう。
参考文献
Silvia Gonella et al.“Potential effects of pleasant and cold stimuli on nausea and vomiting induced by disgusting tastes”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26896189/,(参照 2025-07-08).
Silvia Gonella et al.“Are orange lollies effective in preventing nausea and vomiting related to dimethyl sulfoxide? A multicenter randomized trial”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24700260/,(参照 2025-07-08).
薬剤性嘔気・嘔吐について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「薬剤性嘔気・嘔吐」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 吐き気や嘔吐がありますか?
- 抗がん剤による治療を受けていますか?
- 食欲がなく、食事量が減っていると感じますか?
- 体のだるさはありますか?
- 最近、意欲が低下していると感じますか?
薬剤性嘔気・嘔吐に関連する病気・症状
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
平松 由布季 先生
東日本橋内科クリニック 内科
2015年愛媛大学医学部卒。 松山赤十字病院で初期研修後、東京ベイ・浦安市川医療センターで内科後期研修を修了。 引き続き同センター総合内科で、フェローシップ研修を行い、2024年1月まで医員、外来医長として勤務。 病棟専門の総合医であるホスピタリストとして、特に若手医師の教育、臨床倫理(アドバンス・ケア・プランニングや意思決定支援など)に注力してきた。 2022年6月からは日本プライマリ・ケア連合学会 若手医師支援部門 病院総合医チーム副代表に就任。"病院総合医の価値を社会に発信し、これを志す若手の道標になる"をMISSION&VISONに掲げ、学術大会等での企画運営、商業誌執筆、若手医師のキャリア支援などを行なってきた。 2024年2月から東日本橋内科クリニックで勤務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/02/15