胃癌の症状は?胃癌
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
胃がんとは
胃にできる悪性腫瘍で、ピロリ菌感染や塩分の高い食事などが関係します。早期であれば内視鏡治療、それ以外は外科手術、あるいは抗がん剤治療の適応になります。
「胃がん」とはどのような病気ですか?
胃から発生するがんのことです。
胃の細胞から発生するがんを「胃がん」と呼びます。
胃の壁は内側から粘膜、筋肉、漿膜(しょうまく)という順に、組織が重なってできています。
一番内側の粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序に増えていくことで胃がんが発生します。
進行状況によって、内視鏡によるがんの切除や、手術による切除、お薬による治療を行います。
胃がんの症状
胃がんには初期症状はありますか?
胃がんの初期段階ではほぼ症状がありません。
胃がんの初期段階ではほぼ症状がありません。
もし症状があったとしても、胃もたれなどの軽度の症状であることが多いです。
がん検診を行っていない国では、胃がんと診断された患者さんのうち、約80%が進行がん(がんが筋層まで到達したもの)になってから発見されたとの報告があります。
スキルス胃がんの末期の場合、どんな症状がありますか?
多臓器転移や、病変の増大による症状が現れる可能性があります。
いわゆるがんの末期には、体にはさまざまな症状が現れます。
胃がんでは、食べ物の通り道である胃に病気ができるため、もとの病気の部分が大きくなることで、食べ物が通過できなくなり、食事が摂れなくなることがあります。
また、体の他の部分に転移することによる症状もあります。腹膜播種のある場合には、腹水といって、お腹に水がたまり、張るといった症状が現れます。
骨転移では転移した部位に痛みが出ることがあり、痛み止めで症状をコントロールする必要があります。
参考文献
国立がん研究センター.胃がんについて.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/about.html(参照 2024-12-19)
NIH.“Stomach Cancer Symptoms”..https://www.cancer.gov/types/stomach/symptoms,(参照 2025-01-07).
国立がん研究センター.“肝細胞癌”.がん情報サービス.https://ganjoho.jp/public/cancer/liver/about.html,(参照 2025-01-07).
胃がんのステージごとの症状を教えてください。
胃がんのステージごとに特徴的な症状はありません。
胃がんのステージごとに特徴的な症状はありません。
胃がんの一般的な症状としては以下のようなものが挙げられます。
- 胃の痛み
- 胃の不快感や違和感
- 胸焼け
- 悪心・嘔吐
- 食欲不振
- 食べ物が喉を通りにくい(嚥下困難)
- 体重減少
また、他の臓器への転移を伴うステージⅣの場合には、転移した場所によってさまざまな症状が出る可能性があります。
胃の痛みや不快感などのお腹の症状は、胃炎などの他の病気でも現れる可能性がありますが、特に嚥下困難や体重減少は、進行した場合に現れる症状のため注意が必要です。
胃がんは症状が出現しにくい病気であり、進行してもほとんど症状が出現しない場合もあります。胃がんによって症状が出現した場合には速やかな対応が必要です。
上記のような症状が出現した場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
胃がんでは自覚症状は現れますか?
胃がんの早期は、ほとんどが無症状で、がんが進行すると上腹部の痛みや不快感、吐き気や嘔吐といった症状が現れます。
胃がんは、早期ではほとんどが無症状です。がんが進行して大きくなると上腹部の痛みや不快感、吐き気や嘔吐、体重減少といった症状が現れます。
そのほか、進行した胃がんではがん細胞がお腹の中に散らばり、お腹の中に水がたまる症状(腹水)がみられることがあります。
このように、胃がんは早めには症状が無いことがほとんどであるため、胃がん検診による早期発見、早期治療が重要です。検診の対象年齢の方は積極的に受けましょう。
また、気になる症状がある方も早めに医療機関を受診することをおすすめします。
スキルス胃がんが原因で、背中の痛みが生じる場合はありますか?
がんが脊椎に転移(骨転移)した場合、背中に痛みを生じる可能性があります。
スキルス胃がんに限らず、がんが骨に転移すると転移部位に痛みが発生します。
胃がんの場合、骨に転移することはそれほど多くはありませんが、骨転移した場合には脊椎に転移する可能性が高い傾向にあります。
がんが進行すると骨転移による背中の痛みが生じる可能性があります。
骨転移による背中の痛みは患者さんの生活の質を大きく損なうため、鎮痛薬のほか、放射線治療や化学療法、骨粗鬆症の治療薬を用いた治療を行い、可能な限り骨転移による苦痛が少なくなるようにします。
スキルス胃がんの初期症状について教えてください
スキルス胃がんの初期は、ほとんどが無症状です。
スキルス胃がんの初期は、ほとんどが無症状です。
がんが進行して大きくなると上腹部の痛みや不快感、吐き気や嘔吐、体重減少といった症状が現れます。
それに加えて、スキルス胃がんの場合は、がん細胞がお腹の中に散らばりやすいという特徴があるため、診断時にお腹の中にある腹腔という空間に水がたまる症状(腹水)がみられることがあります。
スキルス胃がんは、早期発見が難しく、進行が速いことが特徴です。また明確な前兆が現れにくいとされています。
気になる症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
胃がんの症状としてげっぷやおならがみられることはありますか?
胃がんの症状としておならはありませんが、げっぷがみられることがあります。
胃がんの症状として、げっぷが出ることはあります。
これは胃がんによって食べ物の通り道が狭くなることで、食べたものや空気が口側に逆流してくるためと考えられます。
ただし、げっぷが増えただけでは逆流性食道炎や機能性ディスペプシアといった他の病気の可能性もあるため、必ずしも胃がんとは限りません。
胃がんの症状としてその他には、胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気、貧血症状や黒色の便などがあります。これらのような症状が出た場合は速やかに病院を受診することをおすすめします。
おならに関しては、胃がんの症状としてみられることは基本的にはありません。
スキルス胃がんの症状は何がありますか?
ほかの胃がんと大きな違いはありません。
スキルス胃がんの症状は、一般的な胃がんと比べて大きな違いはなく、症状だけで胃がんの種類を予測することは困難です。
胃がんの症状については、次の通りです。
胃がんではどのような症状がありますか?
胃がんの末期の場合、どのような症状で最後を迎えますか?痛みはありますか?
倦怠感や食欲不振、むくみ、意識障害といった症状が現れ、衰弱して最後を迎えます。痛みも伴います。
胃がんの末期では、がんが進行し他の臓器に転移していきます。
この段階では、がんの進行による体力の低下、代謝障害や、転移による臓器障害、これらに伴う倦怠感や食欲不振、むくみ、意識障害などが現れ、徐々に、または急激に衰弱し最期を迎えます。
また、個人差はありますが、がんの進行や転移による痛みも生じます。
進行した胃がんでは、胃の周囲の組織や臓器に広がり、腹部や背中の痛みが現れることがあります。
また、転移先に応じて、肝転移での腹部痛や骨転移での骨の痛みもみられます。
がん末期のこれらの症状に対しては、緩和ケアを行い、痛みや不安を軽減する治療が重要です。
患者さんにとって、快適な最期を迎えるためには、医師との綿密な相談が欠かせません。
胃がんのできやすい場所(好発部位)はどこですか?
主に、幽門前庭部と呼ばれる胃の下部付近、小弯と呼ばれる内側のカーブです。
最も胃がんができやすいのは、胃の下部、特に出口側に位置する幽門部と呼ばれる場所です。幽門部に発生する胃がんは全体の約57.5%を占めます。
次に、胃を横に見た時には小弯と呼ばれる内側のカーブが全体の約37.8%を占めています。
また、組織レベルでは胃の最も内側である粘膜に発生し、だんだんと外側に向かって粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)へと浸潤していきます。
胃がんは進行すると他の臓器に転移します。参考までに、転移しやすいのはリンパ節、肝臓、腹膜です。
参考文献
日本対がん協会.“胃がんの基礎知識”..https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_knowledge/%E8%83%83%E3%81%8C%E3%82%93%E3%81%AE%E5%9F%BA%E7%A4%8E%E7%9F%A5%E8%AD%98,(参照 2025-01-07).
国立がん研究センター.“胃がんについて”..https://www.ncc.go.jp/jp/ncch/clinic/gastric_surgery/080/index.html,(参照 2025-01-07).
Kyungeun Kimほか. Clinicopathologic characteristics of early gastric cancer according to specific intragastric location . BMC Gastroenterol. 2019, 19, 24.
胃がんの原因
胃がんの原因は何がありますか?
ピロリ菌の感染が主な原因です。塩分、赤身肉や加工肉のとりすぎ、喫煙なども原因になります。
ピロリ菌は子どもの頃に感染すると胃の中に住み着き、慢性胃炎、胃十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因になります。
ピロリ菌の主な感染経路としては、ピロリ菌に感染している親から子どもへ、唾液を介して感染すると考えられています。
また、子どもがピロリ菌に汚染された井戸や沢の水を飲むことで感染することもあります。
成人してからピロリ菌に感染することはまれです。
胃がんの発症に影響を与えるものとしては、塩分、赤身肉や加工肉のとりすぎ、喫煙なども含まれますが、ピロリ菌に比べると胃がんの発症に与える影響は小さいです。
スキルス胃がんの原因について教えてください。
わかっていない部分もありますが、胃がん一般と同様、ピロリ菌感染、喫煙、塩分過多などが考えられています。
完全に解明されてはいませんが、スキルス胃がんもその他の種類の胃がんとリスク因子は同様であると考えられています。例えば、ピロリ菌感染、喫煙、塩分過多の食事などが該当します。
そのため、スキルス胃がんに対する予防も他の胃がんと同様の考え方となり、ピロリ菌の除菌、過剰な塩分摂取を抑えることや禁煙は大切です。
さらに、近年ではスキルス胃がんに特定の遺伝子異常があると明らかになりました。今後、これらの遺伝子異常を標的とした治療薬が出てくる可能性があります。
参考文献
Yosuke Tanakaほか. Multi-omic profiling of peritoneal metastases in gastric cancer identifies molecular subtypes and therapeutic vulnerabilities. Nat Cancer. 2021, 2, 962-977.
Kosaku Nankiほか. Divergent Routes toward Wnt and R-spondin Niche Independency during Human Gastric Carcinogenesis. Cell. 2018, 174, 856-869.
食生活が原因で胃がんになることはありますか?
食生活が胃がんのリスクを上昇させる可能性はあります。
食生活は胃がんの発症リスク増加の要因のひとつであるとわかっています。
平成2年に日本で行われた研究によると、塩蔵魚卵、漬物、魚の干物、味噌汁、米、魚介類などの摂取頻度が高い「伝統型」と呼ばれる食事を摂る頻度が高いほど、男女とも胃がんのリスクが上がることが報告されています。これは塩分量の摂取が多いと胃がんのリスクが上がるためです。
その一方で、色々な種類の野菜、果物、海藻、じゃがいも、ヨーグルト、きのこ、大豆製品、牛乳、卵などを摂取している「健康型」の食生活をしている場合、特に女性において胃がんのリスクを低下させる可能性があるという報告があります。
もちろん、個々の患者さんにおいて胃がんになった直接の原因がわかることというのは多くなく、大抵はさまざまな要素が絡み合っています。
胃がんの発症リスクを下げるためにも、塩分控えめでバランスのよい食生活を心がけましょう。
胃がんの検査・診断
胃がんのセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えると、胃がんが疑わしいかどうかの確認はできます。
以下の症状がある場合は、胃がんの可能性があります。
消化器内科、または消化器外科を受診しましょう。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、胃がんの可能性をチェックすることもできますので、ご活用ください。
胃がんの病理検査について教えてください。
内視鏡で採取した組織や手術で切除した胃の組織を顕微鏡で詳しく調べます。
胃がんの病理検査では、内視鏡で採取した組織や手術で切除した胃の組織を顕微鏡で詳しく調べます。
採取した組織から細胞の形態や増殖の様子を観察し、がんの悪性度や組織型を判定します。がん細胞の有無に加えて、がん細胞が存在する場合は、どのような種類の細胞か確定診断します。がんの種類を調べるほか、リンパ節転移の有無や粘膜の深達度によって、病理分類が行われます。
病理検査の結果と、がんの深さや周囲の臓器への広がりを調べ、治療方針が決定されます。
胃がんリスク検査の費用を教えてください。
保険適用や自己負担の有無・程度によって異なります。
胃がんリスク検査の費用は、自己負担の有無や自治体の制度によって異なります。以下に個人の見解を記します。
胃がんの手術前にはどのような検査をしますか?
がんの存在や広がり、転移の有無を詳しく調べる検査や、全身状態を確認するための検査を行います。
胃がんの手術前には、がんの存在や広がり、転移の有無を詳しく調べる検査や、全身状態を確認するための検査を行います。
胃の内部を直接観察し、組織を採取して病理診断を行うための内視鏡検査や、がんの深さや周囲の臓器・リンパ節への転移を調べるために造影剤を用いたCT検査、MRI検査、PET検査が行われます。腹膜播種や大腸の狭窄が疑われる際は、腹腔鏡検査や注腸検査、大腸内視鏡検査を実施することもあります。
また、手術全般の術前検査としては、一般的に心電図、呼吸機能検査、血液検査(赤血球や血小板数などの血算、凝固、生化学、感染症)、尿検査が行われます。患者さんの全身状態を把握して、できる限り最適な状態で手術に臨めるように行われます。
参考文献
森山 久美ほか. 今月の特集1 知っておこう!周術期管理 術前検査. 臨床検査. 2017, 61, 1014-1021.
国立がん研究センター.胃がん 検査.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/diagnosis.html(参照 2025-10-24)
国立がん研究センター 東病院.胃がんについて.国立がん研究センター 東病院,https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/gastric_surgery/050/010/index.html(参照 2025-10-24)
胃がんは尿検査でわかりますか?
胃がんは、尿検査ではわかりません。
胃がんは、尿検査ではわかりません。「胃がんリスク検査」として市販されている尿検査キットもありますが、あくまでもリスクを調べるものです。
胃がんの確定診断や進行度を調べるためには、内視鏡検査やバリウムなどのX線検査が欠かせません。内視鏡検査では胃の内部を直接観察し、疑わしい部分を生検で組織採取して病理検査を行います。また、がんの広がりや転移の有無を調べるために、CT検査やMRI検査、PET検査も行われます。
腫瘍マーカー検査も転移や再発のモニタリングのために行われますが、がんの発見のきっかけになる検査とは言えません。
参考文献
国立がん研究センター.胃がん検診.国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者向けサイト,https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/screening/screening_stomach.html(参照 2025-10-24)
.“マイシグナル・スキャンの胃がんリスク検査”.miSignal.https://misignal.jp/cancers/stomach,(参照 2025-10-24).
N-NOSE(エヌノーズ).線虫がん検査N-NOSE®|23種のがんに対応|自宅で簡単検査・早期発見へ.N-NOSE(エヌノーズ),https://lp.n-nose.com/(参照 2025-10-24)
胃がんリスク検査(ABC検査)とはなんですか?
血液を調べ、将来的に胃がんを発症するリスクを分類する検査です。
胃がんリスク検査(ABC検査)とは、血液を使って将来的に胃がんを発症するリスクを分類する検査です。ヘリコバクター・ピロリ菌に対する抗体の有無を調べる「ピロリ菌抗体検査」と、胃の粘膜がどの程度萎縮しているかを測定する「ペプシノゲン検査」を組み合わせて実施します。
結果はA~Dの4群に分かれて胃がんのリスクが評価されますが、あくまでも胃の健康状態を評価するもので、胃がんの有無を直接診断するものではありません。リスクが高いとされた方は、定期的に内視鏡や胃X線検査などの画像検査を受けるようにしましょう。
参考文献
一般社団法人日本消化器がん検診学会.血液による胃がんリスク評価(いわゆる「ABC分類」)を受けられた方へのご注意.一般社団法人 日本消化器がん検診学会 JSGCS,https://www.jsgcs.or.jp/citizens/citizens_news/stomach_cancer.html(参照 2025-10-24)
国立がん研究センター.胃がん検診.国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者向けサイト,https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/screening/screening_stomach.html(参照 2025-10-24)
スキルス胃がんは血液検査で発見できますか?
血液検査がスキルス胃がん発見の糸口となることはありますが、血液検査のみで確定させることはできません。
血液検査がスキルス胃がん発見の糸口となることはあります。
スキルス胃がんをはじめとする胃がんでは、胃から出血が起こる可能性があります。胃から持続的な出血が起こることで、血液検査において、赤血球数(RBC)の減少や、ヘモグロビン値(Hb)の減少、尿素窒素とクレアチニンの比率の上昇(BUN/Cre)などが指摘されることがあります。
また、進行度によっては血液検査で腫瘍マーカー(CEA、 CA19~9など)が上昇してくる場合もあります。
ただし、血液検査のみでスキルス胃がんを診断することはできません。スキルス胃がんの診断には、胃カメラを使って、胃の組織の一部を切り取り、観察する検査(生検)が必要です。
血液検査で胃がんが疑われた場合には、必ず検査を受けるようにしましょう。
胃がんリスク検査の前に食事制限はありますか?
胃がんリスク検査では、検査前の食事制限は必要ありません。
胃がんリスク検査では、検査前の食事制限は必要ありません。胃がんリスク検査、いわゆるABC検査は、血液を用いてピロリ菌抗体値とペプシノゲン値を測定し、将来的な胃がん発症リスクを分類する検査です。この検査は採血のみで行うため、胃内視鏡検査やX線検査と違って、特別な食事制限は必要ありません。検査を受ける医療機関の指示に従ってください。
胃がんリスク検査は、あくまでも胃の健康状態を評価するもので、胃がんの有無を直接診断するものではありません。リスクが高いとされた方は、定期的に内視鏡や胃X線検査などの画像検査を受けるようにしましょう。
参考文献
一般社団法人日本消化器がん検診学会.血液による胃がんリスク評価(いわゆる「ABC分類」)を受けられた方へのご注意.一般社団法人 日本消化器がん検診学会 JSGCS,https://www.jsgcs.or.jp/citizens/citizens_news/stomach_cancer.html(参照 2025-10-24)
国立がん研究センター.胃がん検診.国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者向けサイト,https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/screening/screening_stomach.html(参照 2025-10-24)
胃がんの検査費用はどれくらいかかりますか?
自己負担割合や保険適用の有無によって違うため、一概に言えません。
胃がんの検査費用は、保険適用や自己負担の有無・程度によって違うため、一概に言えません。
胃がんの主な検査には、内視鏡検査、胃上部X線検査、病理検査、CT・MRI、PET検査、腫瘍マーカー検査、審査腹腔鏡、注腸検査・大腸内視鏡検査などがあります。
症状がある場合や、精密検査として医師が必要と判断した場合には保険が使えますが、人間ドックや自己希望で受ける場合は全額自己負担になります。
健康保険が適用になった場合でも、自己負担の割合によって費用は異なりますので、受診時に医療機関で確認しましょう。
自宅でできる胃がんの検査キットはありますか?
市販されていますが、あくまでリスク判定するものです。
自宅で行える胃がんの検査キットは市販されていますが、あくまでもリスクを調べるものです。以下に個人の見解を示します。
参考文献
一般社団法人日本消化器がん検診学会.血液による胃がんリスク評価(いわゆる「ABC分類」)を受けられた方へのご注意.一般社団法人 日本消化器がん検診学会 JSGCS,https://www.jsgcs.or.jp/citizens/citizens_news/stomach_cancer.html(参照 2025-10-24)
国立がん研究センター.胃がん検診.国立がん研究センター がん情報サービス 医療関係者向けサイト,https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/screening/screening_stomach.html(参照 2025-10-24)
胃がん検診で精密検査となる確率はどれくらいですか?
令和4年度の胃がん検診受診者のうち、5.34%が要精密検査となっています。
厚生労働省の「令和5年度地域保健・健康増進事業報告」によると、令和4年度の胃がん検診受診者のうち、5.34%が要精密検査となっています。実際に胃がんが発見されたのは、要精密検査となったうちの1.85%、がん検診受診者のうちの0.1%でした。一方、要精密検査となっても受診していない人(精密検査未受診率)は、5.5%となっています。
胃がん検診は、問診と胃内視鏡検査、または胃部X線検査によって行われます。検診で要精密検査となったからといって、胃がんであるとは限りませんが、早期発見・早期治療のために必ず受診しましょう。
スキルス胃がんはPET検査でわかりますか?
診断の補助的な検査として行われることがありますが、確定診断はできません。
PET検査は、スキルス胃がんの診断の補助的な検査として行われることがありますが、確定診断はできません。PET検査は、放射性ぶどう糖を使い、がん細胞の活発な代謝活動を画像化するものです。
しかし、胃にはブドウ糖の生理的な集積がある・スキルス胃がんは胃の壁にびまん性に浸潤するため、がん細胞の密度が薄い、といった理由から、発見するための検査には向かないと考えられています。一方、リンパ節や他臓器への転移の有無を調べるためには有用です。
スキルス胃がんの確定診断には、主に胃内視鏡検査や生検による病理検査が必要とされます。
参考文献
がん情報サービス.“胃がん”..https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/print.html,(参照 2025-10-24).
比企直樹ほか.1.精密検査を受ける ―検査と診断の基礎知識―.日本臨床外科学会,https://www.ringe.jp/civic/20200302/(参照 2025-10-24)
PET 核医学委員会ほか.“FDG PET,PET/CT診療ガイドライン 2020”.日本核医学会.https://jsnm.org/wp_jsnm/wp-content/uploads/2018/09/FDG_PET_petct_GL2020.pdf,(参照 2025-10-24).
スキルス胃がんは遺伝子検査でわかりますか?
一部のスキルス胃がんは遺伝子検査でわかる場合があります。
一部のスキルス胃がんは、遺伝子検査でわかる場合があります。スキルス胃がんは「胃癌取扱規約の肉眼的分類」で4型に分類される胃がんで、胃の壁を硬く厚くしながら広がっていくタイプです。
一部は「遺伝性びまん性胃がん(HDGC)」と呼ばれる、遺伝子異常で発症するものもあります。家族に若年発症の胃がんや、びまん性胃がんの人がいる場合、CDH1遺伝子の検査が行われることもあるでしょう。
また、遺伝性ではないスキルス胃がんについても遺伝子の研究が進んでいます。2021年に複数の特徴的なゲノム異常が発見され、がん遺伝子パネル検査や分子標的治療薬などの新たな治療薬の開発が期待されています。
参考文献
Yosuke Tanaka et al. Multi-omic profiling of peritoneal metastases in gastric cancer identifies molecular subtypes and therapeutic vulnerabilities. Nature Cancer. 2021, 2, 962–977.
国立がん研究センター.胃がんについて.国立がん研究センター がん情報サービス 一般の方向けサイト,https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/about.html(参照 2025-10-24)
.“胃 Stomach(C16)”.がん情報サービス.https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/can_reg/hospital/pdf/stomach2020.pdf,(参照 2025-10-24).
遺伝性びまん性胃がん.MGenReviews,https://mgen.jihs.go.jp/disease/30(参照 2025-10-24)
CT検査で胃の壁が厚いことが見つかった場合、胃がんの可能性はありますか?
CT検査で胃の壁が厚いことが見つかった場合、胃がんの可能性があります。
CT検査で胃の壁が厚いことが見つかった場合、胃がんの可能性があります。
一般的に胃がんを診断する検査として最も優れているのは、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)だとされています。
胃カメラであれば胃の中を直接観察することが可能で、早期の胃がんも診断できるほか、細胞の検査も行うことができます。
CTの検査は胃の断面を観察することはできますが、早期胃がんのような胃の表面に留まっている病変を診断することは困難です。
また、胃は食べ物を送り出すために動いていることから、CTの検査で細かく観察することは難しいとされています。
しかし、病気がより深く進んだ進行胃がんであれば、CTの検査で見つかることがあります。
具体的には、胃の正常な壁構造の破綻、周囲の脂肪組織への浸潤、周囲のリンパ節の腫れ、などがCTでわかる場合もあります。
参考文献
村俊成ほか. 経年検診により発見されたスキルス胃癌. 日本消化器がん検診学会雑誌. 2007, 45, 356-360.
がん検診に関する検討会.“胃がん検診の見直しについて”.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0801-2a.pdf,(参照 2024-10-22).
比企直樹ほか.1.精密検査を受ける ―検査と診断の基礎知識―.日本臨床外科学会,https://www.ringe.jp/civic/20200302/(参照 2024-10-22)
Y. Tanaka, et al. 全ゲノム解析によってスキルス胃がんの治療標的を同定. 国立がん研究センター, https://www.nature.com/articles/s43018-021-00240-6(参照 2024-10-22)
内視鏡治療を行うのはどのステージにあたりますか?
内視鏡治療はステージ1の早期がんが適応になります。
胃がんの内視鏡治療が適応されるのは、基本的にステージIの早期胃がんです。
特に、がんが粘膜内にとどまり(T1a)、リンパ節転移のリスクが極めて低い場合に行われます。
具体的には、がんの大きさや組織型によって適応が決まり、標準的な適応は分化型腺がんで2cm以下、潰瘍のない病変です。拡大適応として、より大きな病変や一部の未分化型がんでも適応となる場合があります。
ステージが進行すると、がんが粘膜下層(T1b)やそれ以上に浸潤し、リンパ節転移のリスクが高くなるため、外科手術が推奨されます。
治療の適応は個々の病状によるため、専門医と相談することが重要です。
胃がんの内視鏡治療は鼻から行いますか?痛みはありますか?
内視鏡治療は口から行います。痛みは伴いますが、鎮静薬で緩和しつつ行うことが多いです。
胃がんの内視鏡治療は、通常、口から内視鏡を挿入して行います。鼻から挿入する「経鼻内視鏡」は、主に検査目的で使用され、治療には適していません。
胃がんの内視鏡治療の代表例は、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)や内視鏡的粘膜切除術(EMR)です。これらの治療では、特殊な電気メスを用いてがんを切除するため、操作性のよい口から挿入する内視鏡が用いられます。
したがって、胃がんの内視鏡治療は鼻からではなく、口から行うのが一般的です。
内視鏡操作を行うため、痛みや違和感を感じますが、鎮静薬を使用することでそれらを緩和しながら行うことが多いです。
胃がんを早期発見する方法を教えてください。
胃がんを早期発見するためには、健康診断や胃がん検診、人間ドックを受けるようにしましょう。
胃がんを早期発見するためには、健康診断や胃がん検診、人間ドックを受けるようにしましょう。
胃がんは一般的に症状が出現しにくい病気であり、症状が出現したときには、すでに進行していることが多いです。そのため、早めに発見し、診断・治療を行うことが重要です。
胃がん検診や人間ドックでは、胃カメラやバリウム造影検査などが行われます。これらの検査によって、胃がんを早めに発見できる可能性が高まります。
加えて、ヘリコバクター・ピロリ感染症は胃がんを引き起こす重要なリスク因子として知られているので、ヘリコバクター・ピロリ菌の有無を調べる検査が行われることもあります。
スキルス胃がんはバリウム検査の画像で発見できますか?
バリウム造影検査の画像によってスキルス胃がんを発見できることはあります。
スキルス胃がんは、バリウム造影検査の画像で発見できる可能性があります。
通常、胃の壁は伸縮性がありますが、スキルス胃がんの場合には、胃の壁が硬くなり、伸縮性が低下します。そのため、バリウム造影検査で胃が十分に広がらない場合には、スキルス胃がんが疑われます。
ただし、これらの所見が陽性になる確率は30~70%程度と言われています。バリウム造影検査のみでスキルス胃がんを確定することはできません。
バリウム造影検査でスキルス胃がんが疑われた場合には、胃カメラや、胃の組織の一部を切り取り確認する検査(生検)、CT検査などを行い、確定診断やステージの決定などが行われます。
胃カメラと内視鏡検査に違いはありますか?
医療機関では、胃カメラも内視鏡検査も同義語として使われています。
医療機関では、胃カメラと内視鏡検査という言葉はほぼ同義語として使われています。しかし、厳密には以下の違いがあります。
胃カメラは、元々胃の中の写真撮影を行い現像して確認を行う方法のことで、リアルタイムでの確認が困難です。1950年代の検査で、現代ではこのような検査が行われることはありません。
一方で内視鏡検査とは、光ファイバーにより、映像(光)を伝送して、モニターに映すことができるように改良された装置(ファイバースコープ内視鏡)です。
リアルタイムでの確認をしながら、組織を採取したり、止血処置をしたりさまざまなことが可能です。
内視鏡検査があることで本来の意味での胃カメラは現代では行われることが無いため、この二つの言葉はほぼ同義語として使われています。
胃がんの治療・対処法
胃癌への対処法は?
早期診断早期治療で根治が可能です。定期的な胃カメラの検査を推奨します。
ステージ4の胃がんの場合、余命はどれくらいですか?また、完治することはありますか?
ステージIVの胃がんの場合、5年生存率は6%前後とされています。
ステージIVの胃がんの場合、5年生存率は6%前後とされています(2007年6月報告)。
ステージIVの胃がんは遠隔転移や腹膜播種があり、がんが全身に散らばってしまっている状況です。
内視鏡治療や外科手術のような根治(=治癒)を目指した治療は、このステージでは一般的に難しく、できるだけ進行を遅らせることを目的とした、抗がん剤治療が行われます。
抗がん剤治療は非常によく効き、遠隔転移が大きく縮小、消失した場合には、その時点で外科手術を行う場合もあります。
胃がん末期の場合、治療法としてオプジーボは効果的ですか?
切除不能および再発胃がんに対してオプジーボは効果的です。
オプジーボは、ステージ4の進行・再発胃がんに対する治療薬として有効性が認められています。
これは、がん細胞が免疫から逃れる仕組みを阻害し、免疫細胞ががんを攻撃しやすくする「免疫チェックポイント阻害薬」です。
以前は他の抗がん剤を行ったあとに用いることが推奨されていましたが、最近では、一次治療(一番初めに使う薬)として従来の抗がん剤とオプジーボを併用することで、生存期間の延長が期待できることが示されたため、一次治療で用いられます。
ただし、有効性は実証されているものの、副作用として自己免疫性の肺炎、肝炎、甲状腺機能異常などが発生することがあるため、治療の適応については、専門医とよく相談することが重要です。
胃がんを手術しないとどうなりますか?
手術以外の治療法を検討します。
胃がんの治療には手術のほかに薬物治療もあり、胃がんの手術ができなかったとしても、ほかの選択肢があります。
病気の状況によって最適な治療は異なり、原則的には、がんを手術で取り切ることができる場合には、手術治療がすすめられます。
病気の性質からいって、なんの治療も行わない場合には、病気が進行し、さまざまな症状が現れる可能性が高いです。具体的には、がんからの出血、腹痛をはじめとする痛み、食欲不振などです。
いずれの治療にも、メリットとデメリットがあるため、治療法の選択については主治医と現在の状況についてよく相談し、決定しましょう。
抗がん剤治療のスケジュールについて教えてください。
概ね2〜3週間程度の間、内服薬や点滴の薬を使用し、その後一定期間休薬するサイクルを繰り返します。
胃がんの抗がん剤治療は、がんの進行度や治療の目的(手術前後の補助療法・進行がんの治療)によって異なります。
① 手術前後の補助化学療法
術前補助化学療法(ネオアジュバント療法)は、手術前にがんを小さくするために行われます。
S-1という飲み薬とシスプラチンという点滴を組み合わせ、途中で点滴を挟んで3週間飲み薬を内服し、1週間休む、計4週間を1サイクルとした治療を行います。
術後補助化学療法では、再発予防のために手術後に抗がん剤を使用します。
S-1内服のみの場合には28日内服し14日間休む、計6週間を、ドセタキセルという点滴を併用する場合には14日間内服し1週間休む、計3週間を1サイクルとした治療を行います。
② 進行・再発胃がんの化学療法
進行がんや再発胃がんでは、さまざまな薬を使って治療を行います。概ね複数の抗がん剤を2~3週間ごとに点滴・内服で投与します。
胃腺がんの原因や治療方法を教えてください。
内視鏡治療や手術、薬物療法で治療します。
胃腺がんとは胃がんの種類のひとつです。胃腺がんは胃がんの中で最も一般的な組織型のひとつで、治療に関しては胃がんの一般的な治療と変わるとことはありません。
原因についても一般的な胃がんのリスク因子と同様で、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、喫煙、高塩分食は胃腺がんのリスクを上昇させることが知られています。
胃がんの治療では病変が早期のものであるか、範囲、深さ、遠隔転移の有無などが大切な要素で、早期の胃がんであれば内視鏡での治療、進行胃がんであれば手術治療や薬物療法が行われます。
参考文献
がん情報サービス.“胃がん 治療”..https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/treatment.html,(参照 2025-01-07).
がん情報サービス.“胃がん 予防・検診”..https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/prevention_screening.html ,(参照 2025-01-07).
がん情報サービス.“胃がんについて 4.組織型分類”..https://ganjoho.jp/public/cancer/stomach/about.html#anchor4,(参照 2025-01-07).
胃がんの場合、主にどのような治療をしますか?
がんの進行度(ステージ)に応じて、内視鏡治療、手術療法、化学療法(抗がん剤治療)などの治療を行います。
内視鏡治療
口から内視鏡を挿入して、がんを切除します。
早期の胃がんで、他の臓器やリンパ節転移の可能性が極めて低いがんに対して行われます。がんを切除するとの点では手術療法と同様ですが、身体への負荷が少ないです。
手術療法
内視鏡治療の対象にならず、他の臓器への転移がない場合に手術を選択します。
ほかの臓器に転移がある場合は手術でがんを取りきることが難しいですが、状況によっては転移巣ごと手術で切除したり、化学療法を組み合わせて手術を行うことがあります。
化学療法(抗がん剤治療)
手術でがんを取り除くことができないと判断された場合に化学療法を選択します。
また、手術前の補助治療、手術後の再発予防の治療として、化学療法を行うことがあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
胃がんが疑われる場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
消化器内科を受診しましょう。便が黒い、胃痛が続くなどの場合は、早めに受診してください。
胃がんが疑われる場合は、まず内視鏡検査をします。
消化器内科、または消化器外科を受診してご相談ください。
以下の症状が当てはまる場合には、早めに受診しましょう。
- 便が黒い
- 胃痛が続く
- 吐き気、食欲不振、体重の減少が続く
胃癌の専門医がいる近くの病院はありますか?
胃癌の専門医がいる病院を見る胃がんの経過・予後
胃がんになると余命はどのくらいですか?
ステージにより異なりますが、胃がん全体で5年後に生存していた人の割合は約60%との報告があります。
2015年に胃がんと診断された方のうち、5年後に生存していた人の割合は約60%との報告があります。
がんのステージごとに5年生存率(診断から5年後に生存している方の割合)を見ると、ステージⅠでは約80%、ステージⅡでは約60%、ステージⅢでは約40%、ステージⅣでは約6%という結果でした(2015年報告)。
なお、がんのステージは、がんの深さやリンパ節への転移の程度、遠隔転移(がん細胞が最初に発生した場所と別の臓器や器官に移動して増えること)の有無によって決まります。
がんのステージの詳しい解説に関しては、以下のリンク先の解説をご覧ください。
胃を全摘出した場合の余命はどのくらいですか?また、その後の食事内容について教えてください。
余命についてのデータはありません。食事は消化によいものを複数回に分けて食べるようにしましょう。
胃を全摘出した場合に限った余命についてはデータがありませんが、通常胃全摘の手術を検討されるステージ1から3については、5年生存率が、
- ステージ1で82.0%
- ステージ2で60.2%
- ステージ3で37.4%
と言われています。
また、胃切除後の食事については、消化しやすい栄養を十分に摂ることが大切です。
術後3ヶ月程度は、少量ずつよく噛んでゆっくり食べることが基本で、1日5~6回に分けて摂取すると胃の負担を軽減できます。
気をつけるべき食品として、脂っこいもの、繊維が多い野菜(ごぼう、たけのこ)、硬い食品(ナッツ類、干物)、刺激の強い香辛料や炭酸飲料などは消化しにくいため、避けたほうがよいでしょう。
また、糖分の多い食品(甘い菓子、ジュース)は「ダンピング症候群」を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
バランスのよい食事を心がけ、必要に応じて医師や栄養士と相談しましょう。
胃がんの予後はどうなりますか?
胃がん全体の5年生存率は62.6%と報告されています。
日本における最新のデータでは、2015年に胃がんと診断された患者さん全体の5年生存率は62.6%と報告されています。
以下にステージごとの5年生存率を示します。
- ステージⅠ:82.0%
- ステージⅡ:59.7%
- ステージⅢ:37.5%
- ステージⅣ:6.2%
ただし、生命予後は、個々の患者さんの状態や治療効果によって異なるため、このデータを個人の予後予測に直接利用することはできません。
治療法の選択や予後については、主治医の医師と十分に相談するようにしましょう。
胃がんの進行速度はどれくらいですか?
胃がんの種類によってもさまざまですが、一般的に早期胃がんでは進行がゆっくりである傾向があります。
胃がんの進行速度は、がんの種類や個々の患者さんの状況によってことなります。
例えば、胃がんの中でも低分化がんや乳頭状腺がんという種類は進行が速いと言われています。
胃がんの進行速度に関する研究によると、がんが胃の表面に留まっている早期胃がんの段階では、がんの進行速度は比較的ゆっくりであることがわかっています。
一方、よりがんがより大きく、深くまで進行した、進行胃がんでは、早期胃がんと比較して短期間で進行することが多いとされています。
短期間で進行するがんは予後が悪いことが多く、特にスキルス胃がんは進行が速く、治療が難しいとされています。
胃がんの予防
胃がんの予防にピロリ菌の除菌は有効ですか?
はい、有効です。複数の研究で証明されています。
胃がんの予防にピロリ菌の除菌は有効です。
ピロリ菌は胃がんのリスク因子として知られており、ピロリ菌の除去は胃がんの予防に有効だという複数の研究結果があります。
日本人において、ピロリ菌の除去により健康な人で胃がんの発生率、胃がんによる死亡率も低下した、と報告されています。
さらに、内視鏡的粘膜切除術を受けた早期の胃がん患者さんにおいても、その後のタイミングで別の胃がんへの罹患リスクが低下する、といった結果も示されています。
また、19件の研究を統合して解析した結果、ピロリ菌の除菌で胃がんのリスクがほぼ半減することが明らかとなっています。
胃がんに関連するその他の質問
胃がんの場合、どの臓器に転移することがありますか?
胃がんは、進行すると肺や肝臓などの臓器に転移することがあります。
胃がんが進行すると、肺や肝臓といった他の臓器に転移することがあります。
このような転移はがん細胞が血管を通して他の臓器に転移するため、血行性転移と呼ばれています。
CT、胸部X検査、エコー検査などで転移の有無を調べることができます。
また、周囲のリンパ節にも転移することがあります。そのほかに、がん細胞がおなかの中に散らばる場合もあります。
これを腹膜播種と言い、腹膜播種によりおなかに水がたまり、おなかの張りや腹痛といった症状が現れる場合があります。
まれではありますが、骨に転移することもあり、痛みを伴う場合には痛み止めや放射線で症状を抑える治療を行います。
参考文献
山下裕玄. 胃癌の腹膜転移に対する腹腔内化学療法. 日大医誌. 2021, 80, 297-301.
比企直樹ほか.1.精密検査を受ける ―検査と診断の基礎知識―.日本臨床外科学会,https://www.ringe.jp/civic/20200302/(参照 2024-10-22)
Y. Tanaka, et al. 全ゲノム解析によってスキルス胃がんの治療標的を同定. 国立がん研究センター, https://www.nature.com/articles/s43018-021-00240-6(参照 2024-10-22)
佐々木常雄ほか.“胃がんの治療を理解しようとするすべての方のために”.金原出版株式会社.https://www.jgca.jp/wp-content/uploads/2023/08/GL2IPPAN.pdf,(参照 2024-10-22).
胃がんの前兆がくちびるに生じることはありますか?
胃がんの前兆が直接くちびるに現れることは一般的にはありません。
胃がんは早めにはほとんど無症状であることが知られており、一般的にくちびるに前兆が現れるということはありません。
口も胃と連続した消化管の一部であるため、胃に病気が出来ることで、口内炎ができやすくなる、などの軽い症状が現れる可能性はあります。
しかし、これらの症状はそのほかの病気でもしばしば現れる症状であるため、症状だけから早期胃がんを疑うことは一般的には困難です。
胃がんの早期発見には胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が重要です。特にピロリ菌除菌後の方では定期的な胃カメラの検査をおすすめします。
胃がんが発覚するきっかけは何ですか?
胃の不調、貧血や体重減少などに対する内視鏡検査で胃がんが発覚することが多いです。胃がん検診や人間ドックで発覚することもあります。
胃の痛みや不快感、吐き気、食欲低下、貧血、黒い便、体重の減少などの症状をきっかけに受診をして、内視鏡検査をした結果、胃がんが発覚することが多いです。
自覚症状がはっきり出ている場合は、ある程度胃がんが進行している可能性が高いです。
定期的に胃がん検診や人間ドックを受けることで、自覚症状のない早期の胃がんを見つけられる可能性があります。
40代の人が胃がんになる確率はどれくらいですか?
人口10万人あたり、40~44歳で約8~10人、45~49歳で約15人程度です。
「がん情報サービス」内の統計データによると、人口10万人あたりの人数で見ると、40~44歳の男性で9.9人、女性で7.8人、45~49歳の男性で16.1人、女性で11.6人です。
胃がんの罹患率は40代後半から増加し始め、60代以降で急に上昇します。特に男性は女性の約2~3倍罹患率が高くなり、性差が出てきます。
また、胃がんのリスクとしてヘリコバクター・ピロリ菌感染、塩分過多の食事、喫煙などが知られています。該当する場合は罹患率が上がると考えてよいでしょう。
胃の辺りにしこりがある場合、胃がんの可能性はありますか?
はい。必ずしも胃がんとは限りませんが、胃がんの可能性はあります。
胃のあたりにしこりがある場合、必ずしも胃がんとは限りませんが、胃がんの可能性があります。
ただし、基本的に胃がんは胃の内側に発生し、外側に向かって大きくなるため、体型にもよりますが、かなり進行している場合を除いて、外からしこりとして触れられることは少ないです。
ほかにも、一般的な胃がんの症状として、以下のようなものが挙げられます。
- 食欲の低下
- 満腹感を感じやすい
- 食べ物が飲み込みにくい(嚥下困難)
- 原因不明の体重減少
- 持続的な胃の痛みや不快感
- 悪心・嘔吐
- 胸焼け
- 便が黒い
一般的に、胃がんは症状が現れにくい病気であり、進行するまで無症状のことも多いです。
胃がんによって、上記のような症状が出現した場合には速やかな対応が必要となるので、すぐに医療機関を受診してください。
胃がん末期状態の際、食べやすいものはありますか?
人それぞれですが、流動食やお粥、また味噌汁や果物を食べるケースが多いという報告もあります。
胃がんの末期状態の際、食べやすいものについては個々のケースにより異なります。
そのため、基本的には患者さん一人ひとりが食べたいもの、食べられるものを食べていただくのが一番です。
緩和ケア病棟入院患者さんの食事について調べた報告では、主食は流動食からお粥程度のものが、主食以外は味噌汁や果物が多かったという報告があります。
ただし、病状によっては食事内容に制限が出てくる場合もあるため、個々のケースについては都度、医師と相談することをおすすめします。
胃がんになりやすい食べ物はありますか?
塩分が高い食べ物は、胃がんのリスクを増加させると知られています。
平成2年に日本で行われた研究によると、塩蔵魚卵、漬物、魚の干物、味噌汁、米、魚介類などの塩分含有量が高い食生活で胃がんの発症リスクが高くなります。日本に昔から伝わる食べ物が多く該当します。
逆に、色々な種類の野菜、果物、海藻、じゃがいも、ヨーグルト、きのこ、大豆製品、牛乳、卵などを摂取する食生活では胃がんの発症リスクは低下することがわかっています。
塩分の多い食事は胃がんのリスクを上昇させるため、バランスよくさまざまな食べ物を食べるように工夫しましょう。
10代から30代の若年性胃がんのリスクはどれくらいですか?
非常に低いですが、ゼロではありません。
一般的に、がんは年齢が上がるほどかかるリスクが上昇します。そのため、若い方で胃がんになるリスクはそれほど高くありません。しかし、少数ですが若年でも胃がんになる方はいらっしゃいます。
「がん情報サービス」で公開されている統計情報によると、2020年の胃がん罹患人数は、人口10万人あたりの人数で、
- 10~14歳男性:0.1 10~14歳女性:0.1
- 15~19歳男性:0.1 15~19歳女性:0.2
- 20~24歳男性:0.3 20~24歳女性:0.4
- 25~29歳男性:1.2 25~29歳女性:1.3
- 30~34歳男性:2.2 30~34歳女性:3.1
- 35~39歳男性:5.5 35~39歳女性:5.6
となっています。男女とも非常に少ないですが、ゼロではないのでリスクがないとは言えません。
参考までに、胃がんの発生リスクを高める要因として、ヘリコバクター・ピロリ菌の感染、喫煙、高塩分食が知られています。
スキルス胃がんと萎縮性胃炎の関係を教えてください。
スキルス胃がんを含む胃がんの前段階であると考えられています。
スキルス胃がんを含む胃がんの前段階であると考えられています。
萎縮性胃炎は、ヘリコバクター・ピロリ菌への感染などによって、胃に慢性的な炎症が生じる病気です。
慢性的な炎症によって、胃の正常な組織が失われ、腸の細胞へと置き換えられます(腸上皮化生)。通常とは異なる組織は、正常の組織よりもがんの発生母地になりやすくなります。
また、萎縮性胃炎になると、胃酸分泌が減少し、ガストリンが過剰に分泌されます。ガストリンは胃粘膜の成長を促進しますが、これが過剰になることで、異常な細胞増殖を引き起こし、腫瘍形成を促進する可能性があると考えられています。
上記のようなメカニズムで、萎縮性胃炎は、スキルス胃がんを含む胃がんのリスクを高めます。
萎縮性胃炎と診断された患者さんは、胃がんへ進行する可能性があるため、定期的に胃カメラなどの検査を受ける必要があります。
胃がんは男性と女性、どちらがなりやすいですか?
胃がんは男性のほうがなりやすく、男女比はおよそ2:1と報告されています。
胃がんは男性のほうがなりやすく、日本における男女比はおよそ2:1と報告されています。
性別以外のリスク因子としては以下のようなものが挙げられます。
- ヘリコバクター・ピロリ感染症
- 逆流性食道炎
- 胃炎
- 胃のポリープ
- 肥満
- 塩分過多や野菜・果物の不足
- アルコール摂取
- 喫煙
- 胃がんの家族歴
- リンチ症候群、リ・フラウメニ症候群、ポイツ・ジェガース症候群、家族性大腸腺腫症など、遺伝性の病気の家族歴
胃がんは症状が出現しにくい病気です。上記のような特徴に当てはまる方は、健康診断や胃がん検診、人間ドックを受診することをおすすめします。
参考文献
The American Cancer Society medical and editorial content team. What Are the Risk Factors for Stomach Cancer?. cancer.org, https://www.cancer.org/cancer/types/stomach-cancer/causes-risks-prevention/risk-factors.html(参照 2024-12-19)
がん情報サービス.“がん種別統計情報 胃”..https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/cancer/5_stomach.html,(参照 2024-12-19).
胃がんによって頭痛が起こることはありますか?
はい。あまり一般的ではありませんが、胃がんによって頭痛が起こることはあります。
胃がんによって頭痛が起こる可能性はありますが、あまり一般的ではありません。
がん細胞は、血液やリンパ液内を流れ、他の部位に転移することがあります。
脳に転移し、脳内でがん細胞が増殖すると、正常な脳細胞が破壊されるとともに、異常な細胞が増殖することで頭の中が圧迫されます。これによって、頭痛や吐き気をはじめとするさまざまな症状が起こり得ます。
また、抗がん剤による薬物治療を受けている場合には、その副作用で頭痛が起こることもあります。
頭痛のみで胃がんを疑うことはありませんが、胃がん患者さんに頭痛が出現した場合には、医師に相談するようにしましょう。
胃がんが目の不調に影響を与えることはありますか?
はい。あまり一般的ではありませんが、胃がんが目の不調に影響を与えることはあります。
胃がんが目の不調に影響を与えることはありますが、あまり一般的ではありません。
がん細胞は、血液やリンパ管を流れ、他の部位に転移することがあります。脳に転移した場合には、ものが二重に見えたり、目がかすんだり、視野が狭くなったりすることがあります。
ただし、胃がんによって脳転移が生じる確率は低く、0.47~0.7%であると報告されています。さらに、脳転移が必ずしも目の不調を引き起こすとも限りません。
目の不調が出現した場合には、他の病気の可能性もあります。原因を確認し、早期から適切な治療を開始するためにも、まずは医療機関を受診するようにしましょう。
スキルス胃がんによって腰痛になることはありますか?
あまり一般的ではありませんが、スキルス胃がんによって腰痛になる可能性はあります。
あまり一般的ではありませんが、スキルス胃がんによって腰痛になる可能性はあります。
スキルス胃がんが腰椎などに転移した場合には、腰痛になる可能性があります。ただし、スキルス胃がんの転移は、お腹の中の他の臓器に散らばるような広がり方が多く、骨への転移は一般的ではありません。トルコの研究によると、骨転移全体の発生率は3.8%と報告されています。
骨転移が発生した場合には、抗がん剤や鎮痛剤などの薬物治療に加え、症状緩和目的の放射線治療が行われることがあります。
胃がん患者さんで腰痛が発生した場合には、他の病気によって引き起こされている可能性もあります。
まずは医師に相談し、必要に応じて検査を受けるようにしましょう。
スキルス胃がんは胃カメラで見落とされることがありますか?
スキルス胃がんは胃カメラで見落とされる可能性があります。
スキルス胃がんは胃カメラで見落とされる可能性があります。
スキルス胃がんの診断には、胃カメラや、胃カメラを用いて組織の一部を切り取り観察する生検という検査が、重要な役割を担っています。
しかし、これらの検査の精度は100%ではありません。研究によって報告されている数値が異なりますが、感度(病気を見逃さない確率)は59.0%~91.2%と報告されています。
また、高度の胃の萎縮と伴う場合や、低分化がんの場合にはがんが見逃されやすいという報告もあります。低分化がんとは、正常な細胞から形態が離れたがんのことを指します。
スキルス胃がんでは、他の胃がんに比べて胃の萎縮がみられやすく、低分化がんの割合が多いため、より診断が難しいと考えられます。
100%確実な検査は存在しないので、診断の精度を上げるためには、他の検査を組み合わせたり、症状や家族歴、これまでの病気の既往などを確認することが重要です。
胃がんに好発年齢はありますか?
胃がん患者さんを調査した研究によると、胃がんの好発年齢は60歳以上であることが示されています。
胃がんによらず、一般的にがんは年齢があがるほど罹りやすくなる傾向があります。
19年間にわたり胃がん患者さんを調査した研究によると、胃がんの好発年齢は60歳以上であるという報告があります。
胃がん検診の対象年齢は、50歳以上とされています。
胃がんは、現代では早めに発見すれば内視鏡治療や外科治療により治癒を期待することができます。
胃がん検診は、がんの早期発見に繋がり、早期治療を行える可能性があるため、対象の方には胃がん検診を受けられることをおすすめします。
胃がんの種類や肉眼分類について教えてください。
胃がんの種類は肉眼分類によって分けられ、がんの見た目や形状に基づいて0型から5型に分かれています。
胃がんの肉眼分類は、がんの見た目や形状に基づいて0型から5型に分かれています。
早期胃がん
- Type 0-I:隆起型
- Type 0-II:表面型(IIa: 表面隆起型、IIb: 表面平坦型、IIc: 表面陥凹型)
- Type 0-III:陥凹型
進行胃がん
これらの分類は、がんの進行度や治療方針を決定する際に重要な情報となります。

胃がんは治る病気ですか?
早期の胃がんで治癒を期待できます。
胃がんは、早めに発見されれば治癒が十分に期待できる病気です。
早期胃がんであれば内視鏡治療や外科手術によって治癒を期待することができます。
進行胃がんの場合にはがんの広がりや患者さんの体力に応じた治療を行いますが、がんが全身に広がってしまっている状況では、進行をなるべく遅らせることを目的とした治療を行います。
全身抗がん剤治療は、がんの進行をできるだけ遅らせるための治療ですが、中には非常に治療がよく効き、何年も治療を続けることができる方もいらっしゃいます。
基本的に胃がんは早めに見つかるほど治る可能性が高いため、胃がん検診や定期的な胃カメラ(内視鏡検査)による早期発見、早期治療が重要です。
スキルス胃がんに前兆はありますか?
スキルス胃がんには明確な前兆が現れにくいとされています。
スキルス胃がんは、胃がんの中でも早期発見が難しく、進行が速いことが特徴です。早めにはほぼ症状は無いため、体の症状で気づくことの難しい病気です。
がんが進行して大きくなると上腹部の痛みや不快感、吐き気や嘔吐、黒色便といった症状が現れます。
それに加えて、スキルス胃がんの場合は、がん細胞がお腹の中に散らばりやすい特徴があるため、お腹の中にある腹腔という空間に水がたまる症状(腹水)がみられることがあります。
スキルス胃がんは、胃の内視鏡検査でも診断が難しいことがあり、胃がんの中でも早期発見、早期治療が非常に難しいがんのひとつです。
胃がんになりやすい人の特徴はありますか?
塩分過多、喫煙、飲酒、ヘリコバクター・ピロリの感染など生活習慣や環境が要因になると言われています。
胃がんになりやすい人の特徴として、以下が大きいと考えられています。
- 塩分の濃い食品の摂取
- 喫煙、飲酒等のライフスタイル
- ヘリコバクター・ピロリの感染等
- 環境要因の関わり
そのため、胃がんの予防には、「禁煙」「節酒」「食生活の改善」「身体活動」「感染予防」といった生活習慣、生活環境の改善が重要であり、がんのリスクが軽減することが明らかとなっています。
それに加えて、各市町村で実施されている胃がん検診も早期発見、早期治療に有効です。
参考文献
がん検診に関する検討会.“胃がん検診の見直しについて”.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/08/dl/s0801-2a.pdf,(参照 2024-10-22).
国立がん研究センターほか.“日本人のためのがんの予防法”.厚生労働省.https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000143966.pdf,(参照 2024-10-22).
日本人における飲酒と胃がんリスク.国立がん研究センター がん対策研究所,https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/8904.html(参照 2024-10-22)
胃がん検診はなぜ2年に1回行う必要があるでしょうか?また何歳から検診をすればいいでしょうか?
国内の研究結果をもとに、死亡率や検査によるリスクを考慮し対象年齢は50歳以上、検査の間隔は2年に1回となりました。
胃がん検診の間隔については、日本の研究で3年以内に検査を受けると死亡率が30%減少することがわかりました。
韓国の研究でも、40歳から79歳の人が4年以内に検査を受けると、死亡率が20%から40%減少することが示されています。
早期の胃がんはほぼ症状が無いため、内視鏡検査を行うことでできるだけ早い段階で見つけ、早めに治療を行うことができます。
しかし、内視鏡検査を行うことによる体の負担もあるため、リスクとメリットのバランスを考慮し、検査の間隔は2年とされています。
胃がん検診の対象年齢は、50歳以上とされています。
その理由は、50歳を超えると胃がんのリスクが上昇していく一方で、50歳未満の人にとっては、内視鏡検査や追加の検査によるメリットがさほど多くないと考えられているからです。
しかし、検査の対象年齢や間隔は、個々の患者さんの状況によっても異なります。例えば、ピロリ菌感染のある方や除菌後の患者さんでは、より頻回に検査を行った方が良いでしょう。
バリウムを使った胃がん検診はどのように行いますか?
発泡剤(炭酸)で胃を膨らませ、バリウム(造影剤)を飲んでレントゲンで撮影します。
バリウムを使った胃がん検診の方法は、以下の通りです。
対象者
50歳以上の方で検診間隔は2年に1回です。
検査方法
発泡剤(炭酸)で胃を膨らませ、バリウム(造影剤)を飲んでレントゲンで撮影します。
バリウムを使用した胃がん検診の注意事項として、バリウムを誤って気管内に飲み込んでしまうことや、バリウムによる便秘や腸閉塞などの副作用がまれにあります。
胃がん検診は、がんの早期発見に繋がり、死亡率の減少効果が示されています。
各市町村で実施しておりますので、対象年齢の方は一度、胃がん検診を受けられることをおすすめします。
胃がんの前兆にはどのようなものがありますか?
主な胃がんの前兆には、胃の痛みや不快感、胸やけ、吐き気などがあります。
胃がんの前兆にはさまざまなものがありますが、代表的なものには以下のようなものがあります。
など
がんが進行している場合には、がんからの出血によって、貧血のような症状が現れたり、黒色の便が出ることがあります。
これらのような症状が出た場合は速やかに病院を受診することをおすすめします。
また、胃がんは早めには自覚症状がないことも多く、進行しても症状が出ないことが少なくありません。そのため、症状がないころから定期的に検診を受診しておくことが早期発見のためには大切になります。
スキルス胃がんになりやすい人の特徴は何ですか?
男性よりも女性に多く、通常の胃がんよりも比較的若い人がなるという特徴があります。
胃がん全体では女性より男性の方が多く、50歳以降にかかる人が多いです。
しかし、スキルス胃がんの場合は、ほかのタイプの胃がんに比べて女性の割合が大きいです。
また、20代~30代の若年層でも、スキルス胃がんは発生することがあります。
気になる症状があり、これらの特徴に当てはまる場合は、消化器内科・消化器外科を受診してご相談ください。
胃がんのステージ(病期)はどのように決められますか?
胃がんの深さ、リンパ節転移の程度、離れた臓器への転移の有無によって、ステージ(病期)Ⅰ~Ⅳが決まります。
胃の壁は内側から粘膜層、粘膜下層、筋層、漿膜と複数の層が重なっています。
胃がんは粘膜層から発生して、徐々に深く広がっていきますが、胃がんの深さによってT1 、T2、T3、T4のように表します。
胃がんが粘膜層、粘膜下層にとどまっているものを早期胃がん(T1)、それより深いところに進んだものを進行胃がん(T2~T3)といいます。
がん細胞が胃の壁にあるリンパ管に侵入すると、まずは近くのリンパ節へ、次により遠くのリンパ節へと広がっていきます(転移)。
胃の近くのリンパ節への転移の程度をN0、N1、N2、N3のように表します。胃から遠いリンパ節に転移している場合は、遠隔転移あり(M1)と考えます。
胃から遠いリンパ節以外にも、肝臓、肺、お腹の内側を覆っている膜(腹膜)など、ほかの臓器に転移している場合は遠隔転移あり(M1)と表します。
遠隔転移がある場合は、手術でがんを取りきることが極めて難しくなります。
胃がんについて、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「胃癌」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 胃のあたりがむかむかしますか?
- 胸やけがしますか?
- みぞおちに焼け付くような、あるいは酷い空腹感のような痛みがありますか?
- みぞおちに痛みがありますか?
- 痛みとは異なるお腹の不快な感じがありますか?
胃がんに関連する病気・症状
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この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03