「スケドスポリウム症」とはどのような病気ですか?
スケドスポリウムという真菌(カビ)が引き起こす感染症です。皮膚に感染するほか、肺などの内臓にも感染します。
「スケドスポリウム症」とは、スケドスポリウム属に含まれる真菌(カビ)によって引き起こされる、比較的珍しい感染症です。怪我から感染し、皮膚の柔らかい所や目に感染します。また、菌を吸い込むことによって、肺を始めとする内臓に感染して、炎症を起こすこともあります。
スケドスポリウム属の真菌は、土壌や沼地など自然界に多く存在しています。傷から感染して、皮膚に結節や膿疱(膿のたまった水膨れ)を形成する場合には「皮膚スケドスポリウム症」と呼びます。
また、臓器移植後や血液の悪性疾患(白血病などの血液がん)などのために免疫機能が低下した患者さんでは、「侵襲性スケドスポリウム症」と言って、肺、皮膚、脳、心臓などの内臓に感染します。
菌が血液の流れに乗って多臓器に広がることがあり、この場合は「播種性スケドスポリウム症」と呼ばれます。
一般的に、スケドスポリウム症は、免疫機能が低下している人で起こりやすい病気です。しかし、免疫機能が正常な人でもまれに皮膚で発症したり、津波による溺水のあとに肺で発症した報告が複数あり、持病がなくとも注意が必要なことがあります。
公開日:
最終更新日:
京都大学医学部附属病院呼吸器内科 呼吸器内科
渡邉 アヤ 監修
(参考文献)
一般社団法人日本医真菌学会.“一般社団法人日本医真菌学会 希少深在性真菌症の診断・治療ガイドライン”.一般社団法人日本医真菌学会.https://jsmm.org/pdf/draft_zenbun.pdf,(参照 2024-06-06).
一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会.“造血細胞移植ガイドライン 真菌感染症の予防と治療(第2版)”.一般社団法人日本造血・免疫細胞療法学会.https://www.jstct.or.jp/uploads/files/guideline/01_04_shinkin02.pdf,(参照 2024-06-06).
畠山裕司ら. Scedosporium属が分離された津波肺の3症例. 日本臨床微生物学雑誌. 2012, 22, 289-297.
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