COPD(肺気腫)発症のメカニズムを教えてください。
COPDは喫煙などによる慢性炎症で肺胞が破壊され、呼吸機能が低下して発症します。
COPDの発症メカニズムは、タバコ煙などの有害物質の長期吸入曝露によって、肺に慢性的な炎症が生じることが主な原因です。
COPD発症には、以下の要素が複合的に関与していると考えられています。
1. 肺の炎症
- COPDの主な原因物質であるタバコ煙に含まれる有害物質は、肺に炎症を引き起こします
- 喫煙者の一部のみがCOPDを発症することから、喫煙感受性を規定する遺伝素因の存在も考えられています
- COPD患者さんの気道では、好中球、マクロファージ、リンパ球などの炎症細胞の浸潤がみられます
- これらの炎症細胞や肺の細胞は、炎症性メディエーターを産生し炎症反応をさらに増強させ、プロテアーゼやオキシダントなどを放出して肺を傷害します
- 肺の炎症は、禁煙後も持続することが明らかになっています
2. プロテアーゼ・アンチプロテアーゼ不均衡
- COPD患者さんでは、プロテアーゼ(タンパク質分解酵素)とアンチプロテアーゼ(プロテアーゼ阻害物質)のバランスが崩れ、プロテアーゼが優位な状態になっています
- 肺の細胞から放出されるエラスターゼなどのプロテアーゼは、肺胞を構成する主要な結合組織であるエラスチンを分解します
- エラスチンの分解は、気腫性病変の形成に繋がります
3. 末梢気道病変
- タバコ煙などの有害物質は、末梢気道(直径2mm以下の細い気管支)に炎症を引き起こし、粘液分泌物の貯留、炎症細胞の浸潤、気道壁の線維化などを生じさせます
- これらの変化により、末梢気道が狭くなり、気流閉塞が生じます
- 末梢気道病変は、気腫性病変よりも早めに発生すると考えられています
4. 気腫性病変
- 肺胞壁の破壊により、肺胞が異常に拡大した状態が肺気腫です
- 気腫性病変は、肺の弾力性を低下させ、空気をうまく吐き出せなくなり、気流閉塞が生じます
5. 遺伝的要因
- α1-アンチトリプシン欠乏症(AATD)は、COPDの遺伝的要因のひとつとして知られています
- AATDは、欧米人に多く、血中のα1-アンチトリプシン濃度が低下することで、肺気腫を発症しやすくなります
- 日本人ではAATDは非常にまれです
- AATD以外にも、炎症関連遺伝子、アンチオキシダント、プロテアーゼおよびアンチプロテアーゼ、マトリックスメタロプロテイナーゼなどの遺伝子変異がCOPDの発症に関与する可能性が指摘されています
6. その他の要因
- 大気汚染、職業性の粉塵や化学物質への曝露、呼吸器感染、小児期の呼吸器感染、社会経済的要因などもCOPDの発症リスクを高める可能性があります
COPDの発症メカニズムは複雑で、まだ完全に解明されていません。しかし、これらの要因が相互に作用し合い、肺の慢性的な炎症と気流閉塞を引き起こすことで、COPDを発症すると考えられています。
COPDの治療について詳しく知りたい方は、かかりつけ医に相談しましょう。また、受診や薬の待ち時間の負担が少なく、気軽に医師に相談できるオンライン診療サービスを利用するのも良いでしょう。
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最終更新日:
京都大学医学部附属病院 呼吸器内科
山形 昂 監修
(参考文献)
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