頚髄損傷は命に関わる?治る?完全損傷とは?
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頚髄損傷は治りますか?
頚髄損傷は治りますか?
残念ながら、損傷した神経を完全に元に戻すことは現在の医療では困難であり、後遺症が残ることが多いです。
頚髄は、脳と同じ「中枢神経(ちゅうすうしんけい)」という種類の神経です。私たちの体の中枢神経は、一度傷ついてしまうと、完全に再生し元通りに回復することが難しいとされています。そのため、一定の程度以上の症状を生じた頚髄損傷の場合、残念ながら完全に治して、怪我をする前の状態に元通りに戻すことは、今の医療では困難です。
多くの場合は、麻痺などの後遺症が残ってしまいます。 しかし、医療の進歩により、命を失う危険性は減ってきています。このため、現在の治療やリハビリテーションの目標は、怪我をする前の状態に戻すことではなく、残った機能を最大限に活かして、今後の生活でできることを増やし、自立した生活を送れるようにすることにあります。
最近では、傷ついた脊髄を再生させたり、新しい神経細胞を移植したりする「再生医療」の研究が世界中で進められており、動物実験ではよい結果が出ています。日本でも、これからの治療に役立つための研究や治験(ちけん)が行われており、将来的な機能回復への期待が高まっています。
(参考文献)
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷で死亡することはありますか?
頚髄損傷で死亡することはありますか?
頚髄損傷は命に関わる重篤な怪我です。合併症などにより、命を落とす可能性があります。
頚髄損傷は、非常に深刻な怪我であり、場合によっては命を落とす可能性もあります。可能性のある主な死亡のリスクや原因としては、次のような点が挙げられます。
- 怪我そのものの重篤性: 脊髄は脳と直結する非常に重要な神経の束であり、損傷の程度が重い場合は、生命維持に不可欠な機能である意識や呼吸状態に直接影響を及ぼすことがあります。
- 合併症
- 尿路感染症から腎不全: 排尿のコントロールがうまくいかないと、膀胱から腎臓への感染が広がり、腎臓の働きが悪くなって命に関わることがあります。
- 自律神経過反射: 突然血圧が非常に高くなり、脳内出血を引き起こす危険性があります。
- 肺塞栓(はいそくせん): 足の血管にできた血の塊が肺に飛んで、呼吸困難やショック状態になり、命を落とすことがあります。
- 呼吸障害: 頚髄損傷のレベルによっては、呼吸に必要な筋肉が麻痺してしまい、自力で呼吸が難しくなることがあります。肺炎などの肺の合併症も起こりやすくなります。
- 高齢者の場合: 高齢者の頚椎骨折は、若い人に比べて死亡率が高いことが報告されています。
- 治療における合併症: 手術などの治療過程で、予期せぬ合併症が発生して致命的となる可能性もゼロではありません。
現代の医療の進歩により、頚髄損傷で命を失うことは以前より少なくなりましたが、それでも常に細心の注意を払った管理と治療が必要です。患者さんの最終的な回復は、怪我当初の神経損傷の程度に大きく左右されます。
(参考文献)
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
頚髄損傷の完全損傷とはなんですか?
頚髄損傷の完全損傷とはなんですか?
頚髄損傷の完全損傷とは、損傷した頚髄より下のすべての運動や感覚の機能が完全に失われた状態です。
脊髄損傷は、その損傷の程度によって「完全損傷」と「不全損傷」に分けられます。
- 完全損傷とは、脊髄が傷ついた場所より下の部分で、手足の動き(運動機能)も、触れたりする感覚(感覚機能)も、すべて完全に失われてしまう状態を指します。同時に排泄機能にも大きな障害を生じてしまい、肛門周りの感覚がまったくなくなって、自分で締めることができない状態となります。
- 不全損傷とは、運動や感覚の機能が低下しているものの、一部の機能が残っている状態です。排泄機能では、肛門の穴の周りの感覚や締める力が残存します。
このように、完全損傷と不全損傷では、残る機能の程度が大きく異なるため、治療やリハビリテーションの計画も、それぞれに合わせたものになります。
(参考文献)
Mark Gil D et al. Epidemiological Profile of Patients with Traumatic Cervical Spinal Cord Injury. International Journal of Orthopaedics. 2020, 7, 1256-1259.
Venu M. Nemani et al. The Management of Unstable Cervical Spine Injuries. trauma and intensive medicine. 2014, 16, e75642.
Jessica McCallum et al. Cervical spine injuries in adults 65 years after low-level falls – A systematic review and meta-analysis. Am J Emerg Med. 2023, 67, 144-155.
Isaac Okereke et al. The Management of Cervical Spine Injuries – A Literature Review. Orthop Res Rev. 2021, 13, 151–162.
長谷川 淳ほか. 非骨傷性頚髄損傷. IRYO. 2012, 66, 510-515.
Kathleen A Martin Ginis et al. Evidence-based scientific exercise guidelines for adults with spinal cord injury: an update and a new guideline. Spinal Cord. 2018, 56, 308-321.
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山田記念病院 整形外科 整形外科部長
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