頚髄損傷の呼吸障害について教えてください。
状況によっては、横隔膜や肋間筋の麻痺で呼吸がしにくくなったり、痰が出しにくくなったりすることがあります。
頚髄損傷は障害を起こした部位によって、症状の生じ方が異なります。損傷が首の高い位置で起こると、呼吸に関わる筋肉にも影響が出ることがあります。以下のような問題が生じる可能性があります。
- 横隔膜(おうかくまく)の麻痺: C1(第1頚髄)やC2(第2頚髄)といった非常に高い位置で損傷した場合、呼吸で最も大切な筋肉である横隔膜が麻痺してしまい、自分で息を吸うことができなくなるため、人工呼吸器が必要になる場合があります。
- 肋間筋(ろっかんきん)の麻痺: C4(第4頚髄)より下のレベルの損傷では、横隔膜で息を吸うことはできても、肋骨の間にある肋間筋が麻痺するため、息を吐く力が弱くなります。
- 痰(たん)の問題: 息を吐く力が弱いと、肺にたまった痰を自分で出すのが難しくなります。これが原因で、痰が詰まったり、肺炎になったりしやすくなります。
- 誤嚥(ごえん)のリスク: 体を思うように動かせないこと、呼吸に関わる筋力の低下から、うまく咳をして異物を排出することが困難になると、肺炎を生じやすくなります。肺炎は命に関わることもある重篤な病気です。
これらの呼吸に関する問題を防ぎ、改善するためにも、リハビリテーションでは早期から体を動かす訓練や、痰を出しやすくするための訓練、呼吸を助ける筋肉を強くする訓練などが行われます。特に座ったり、立ったりする姿勢は、呼吸機能を改善し、痰を出しやすくするのに効果的です。


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山田記念病院 整形外科 整形外科部長
濱畑 智弘 監修
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