「肥満症」治療において、チーム医療を受けるメリットはなんですか？

「肥満症」治療においてチーム医療を受けることには、患者さんにとって非常に多くのメリットがあります。肥満症は、単に「食べ過ぎ」「運動不足」といった単純な問題だけでなく、医学的、栄養学的、身体活動的、そして心理的な要因が複雑に絡み合った病気だからです。

チーム医療では、さまざまな分野の専門家が連携し、ひとりの患者さんを多角的にサポートします。

• 医師：まず、肥満症の原因となっている他の病気がないかを診断し、高血圧や糖尿病といった合併症の医学的管理や、必要に応じた薬物療法を行います。治療全体の司令塔となります。
• 管理栄養士：患者さん一人ひとりの食生活や嗜好、生活リズムを詳しく聞き取り、無理なく続けられる具体的な食事プランを提案します。「何をどれだけ食べればよいか」という専門的なアドバイスで、効果的な食事療法を支えます。
• 理学療法士・健康運動指導士：膝や腰に痛みがある方や、運動経験がない方でも安全かつ効果的に取り組める運動プログラムを作成します。「どのような運動を、どのくらい行えばよいか」を具体的に指導します。
• 臨床心理士・公認心理師：ストレスによる過食や、減量がうまくいかないことによる自己肯定感の低下など、心の面の問題に対応します。行動療法などを用いて、食行動の癖を修正するサポートをします。

このように、それぞれの専門家が自分の得意分野から患者さんを支えることで、医学的に安全なだけでなく、栄養、運動、心理といった側面もカバーした、より質の高い、個人に最適化された治療が可能になります。ひとりで抱え込まずに多角的なサポートを受けることは、治療の成功率を高め、長期的な健康維持につながる最大のメリットと言えるでしょう。