股関節が痛い
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2021/01/18
概要
「股関節が痛い」に関連する主の病気には、骨粗しょう症、腰椎症、関節リウマチなどがあります。
股関節痛とは
「股関節痛」とはどのような症状ですか?
「股関節痛」とは、股関節やその周りに何らかの痛みが生じている状態を指します。原因によってさまざまな痛みの感じ方があります。
「股関節痛」とは、股関節やその周りが痛むことを指します。年齢や原因によって痛み方はさまざまです。
例えば、老化で軟骨がすり減ることによって股関節が痛む場合は、日常生活で動く時にズキンと痛む場合が多いです。
一方、関節炎などの炎症を伴う股関節の痛みは、動作時だけでなく安静時にもズキズキと慢性的に痛むのが特徴です。
また、股関節の周囲の組織がぶつかって痛みが出る場合には、股関節を曲げた時にズキンと痛みが出たり、コキコキと音が鳴る感覚を伴う場合もあります。
子供の場合、症状を上手に訴えられないことも多く、足を引きずって歩いたり、痛みで歩きたがらなくなったりすることがあります。
股関節痛の原因
特に女性で、足の付け根の内側が痛む場合にはどのような原因が考えられますか?
鼠径ヘルニア、感染症、腱の炎症、変形性股関節症などが考えられます。
特に女性で、足の付け根の内側が痛む場合、以下のような原因が考えられます。
鼠径ヘルニア
腸の一部がお腹の壁の外に飛び出て、腫れや痛みが出ることがあります。
感染症
細菌やウイルスの感染に伴い、リンパ節の腫れて足の付け根の内側に痛みを引き起こすことがあります。主に、
などの性感染症などが原因となります。また、足の細菌感染によって起こるリンパ管炎が原因となる場合もあります。
腱の炎症
太ももの内側の筋肉(内転筋など)に炎症が起こると、足の付け根の内側痛みが出る可能性があります。
変形性股関節症
股関節の軟骨がすり減り、痛みや動かしにくさが出ている状態です。足の付け根の他に、お尻や太ももに痛みが出ることが多いです。
突然の歩けないほどの股関節痛の原因には何がありますか?
転倒・外傷や関節炎、細菌感染などが考えられます。
突然の歩けないほどの股関節痛の原因としては、以下のような病気が考えられます。
転倒や怪我の後などに起こった痛みの場合
股関節周囲の捻挫や骨折の可能性が考えられます。
初めは軽度のひびだった骨折が、歩いているうちに徐々にずれてくる場合もありますので、早めに整形外科で検査をすることが重要となります。
明らかなきっかけがなく急に痛みが出た場合
転倒や怪我などがないにもかかわらず急に痛みが起こった場合、関節炎が生じている可能性があります。関節炎には様々な原因があり、以下のような病気が考えられます。
- 免疫の異常による病気(関節リウマチなど)
- 感染症
- その他(原因が明らかでないこともあります)
特に女性で、足の付け根(鼠径部)のリンパ節が腫れて痛む原因には何がありますか?
リンパ管炎や性感染症、がん、自己免疫性疾患などが挙げられます。
女性で足の付け根のリンパ節が腫れて痛む原因には、以下のようなものがあります。
感染症
細菌やウイルスの感染に伴い、リンパ節の腫れを引き起こすことがあります。主に、
などの性感染症などが原因となります。また、足の細菌感染が原因でリンパ管の感染であるリンパ管炎が原因となる場合もあります。
がん
皮膚のがんやリンパ腫などの血液疾患によるがん、あるいはその他のがんがリンパ節へ転移して起こることがあります。
自己免疫性疾患
例として、膠原病のような、自分の体を自分で攻撃してしまう病気が原因となります。
ストレスが原因で股関節痛を感じる可能性はありますか?
ストレスが原因で股関節の痛みを感じることはほとんどありません。
一般的にはストレスが原因で股関節の痛みを感じることはありません。何かしらの原因があって股関節に痛みを感じている場合がほとんどです。
股関節の痛みの原因となる部位には、以下のようなものが考えられます。
骨や関節の痛み
股関節は、骨盤の骨である臼蓋と大腿骨によって形成される関節です。また、骨と骨の間には軟骨があります。特に女性に多いのですが、日本人には股関節の軟骨がすり減りやすい体格の方がいるため、この場合には30代くらいの若い頃から股関節の痛みが始まることもあります。他にも股関節の骨折や炎症などが原因の場合があります。
腰が原因の神経の痛み
股関節そのものには原因がなくても、腰が悪いことで股関節に痛みを感じる場合があります。もともと腰痛がある方で、とくにケガなどなく股関節の痛みが始まった場合に可能性があります。重量物を運ぶ作業が多い方はもちろん、デスクワークが多い方も腰を痛めることがあり、注意が必要です。
股関節が左や右だけ痛い原因には何がありますか?
股関節が片方(左または右)だけ痛む場合、怪我、使い過ぎ、関節炎、関節の変形などが考えられます。
片側の股関節にだけ痛みが出る原因として、具体的には以下のような病気が考えられます。
- 転倒やスポーツによる骨折や打撲、捻挫をはじめとする怪我
- 変形性股関節症、骨頭壊死(こっとうえし)といった、関節の変形をきたす病気
- 使い過ぎによる股関節周囲の炎症による病気
- リウマチなどの関節炎を伴う病気
股関節痛の原因や考えられる病気には何がありますか?
年代によって原因となる病気が変わってきますが、主に炎症や老化、使い過ぎが原因となります。子供の場合には小児特有の病気が原因となることがあります。
股関節の痛みをきたす原因は多岐にわたりますが、年代や発症原因によって起こりうる病気は大きく変わってきます。代表的な病気としては、以下のようなものが考えられます。
怪我
特に高齢者では、転倒した時や大腿部を打撲した時などに股関節周囲の骨が折れてしまうことで、股関節痛が引き起こされることがあります。
具体的には、以下のような病気が考えられます。
- 大腿骨頸部骨折
- 大腿骨転子部骨折
- 恥坐骨骨折
慢性的な使用や加齢などに伴う変化
老化に伴う変形や、股関節の周りの炎症などによって、股関節痛が引き起こされることがあります。具体的には、以下のような病気が考えられます。
- 変形性股関節症
- 大腿骨頭壊死
- 急速破壊型股関節症
- 大転子部滑液包炎
- 関節リウマチ
- グロインペイン症候群
- 弾発股
- 関節唇損傷
小児期特有の疾患
小児特有の関節炎や骨の発育の異常によって、股関節痛が引き起こされることがあります。具体的には、以下のような病気が考えられます。
新生児〜乳児
- 化膿性股関節炎
- 先天性股関節脱臼
幼児〜10歳未満
- 単純性股関節炎
- 化膿性股関節炎
- ペルテス病
10歳代〜
- 大腿骨頭すべり症
- 臼蓋形成不全
- 化膿性股関節炎
参考文献
Reiman MP et al. Consensus recommendations on the classification, definition and diagnostic criteria of hip-related pain in young and middle-aged active adults from the International Hip-related Pain Research Network, Zurich 2018. Br J Sports Med. 2020, 54, p.631-641.
Hunter CW, et al. J Pain Res. 2022; 15: 2683-2745.
受診の目安・何科を受診するべきか
股関節痛が続く場合、病院に行くべきですか?
一度整形外科を受診しましょう。とくに成長期のお子さんや中高年の方の股関節の痛みに注意が必要です。
股関節の痛みは、治療を行わないことによって状況が悪化していく場合があります。
特に成長期のお子さんや、中高年で骨粗鬆症の可能性がある場合に注意が必要です。
成長期のお子さんの場合
成長期にはさまざまな骨で成長がみられますが、特に大腿骨の成長は著しいです。急に成長していくため部分的に構造が弱いところがあり、大腿骨頭すべり症やペルテス病といった成長期に多い股関節の病気を生じることがあります。この場合、運動などの負荷を続けることで病気が悪化し、成長に悪影響を与えることがあります。
中高年で骨粗鬆症の可能性がある場合
股関節のまわりの骨は、本来はとても丈夫な骨です。しかし、骨粗鬆症になってしまうとこのような本来丈夫な骨でも少しの怪我で骨折してしまうことがあります。特に尻餅をついた後に始まった股関節の痛みには注意が必要です。
尻餅をついた記憶がなくとも、段差を踏み外した程度の衝撃でも骨折する場合があります。足に体重をかけた際に股関節の痛みが強いようであれば、骨折の可能性があります。
上記のような場合以外にも、適切な治療を行わなければなかなか状況が改善しない場合もあります。股関節の痛みが続く場合には、一度整形外科を受診して正確な診断を受けましょう。
股関節痛の治療
股関節痛の治療や予防方法には何がありますか?
多くの場合で鎮痛剤の内服やリハビリなどが行われます。場合によっては手術が必要となる場合もあります。
前提として、まずは整形外科で適切な診断を受けることが重要です。その上で、医師と相談して治療方針が決定されます。
一般的な治療法
一般的に、まず最初に行われる治療としては、以下のような治療法があります。
- 安静
- 鎮痛剤の内服
- リハビリ
- 手術
リハビリでは、股関節周囲の筋力や柔軟性の強化などが行われます。これらは股関節痛の予防にも有効なことが多く、病院だけでなく自宅でも自主的にトレーニングを行うことが推奨されます。また、予防方法としては適度な運動や減量なども有効です。
手術
以下のような場合には、手術が必要となることもあります。
- 骨折
- 関節の変形や骨の壊死
- 股関節内の組織の損傷(関節唇損傷など)
- 股関節内の細菌感染
なお、骨折があるからといって必ずしも手術が必要というわけではなく、状況によって手術の必要性は変わってきます。具体的な治療方針については病院で相談しましょう。
股関節痛に関連するその他の質問
股関節痛にはどのようなストレッチが有効ですか?
以下のようなストレッチが、股関節の痛みに有効です。
股関節が痛む時は、関節の周囲の筋肉や靭帯が固まっており、多くの場合ストレッチによる痛みの改善が期待できます。
以下では、股関節の痛みに効くストレッチを2つ紹介します。主に変形性股関節症などの患者さんにおすすめしている方法で、いずれも自宅で簡単に取り組めます。
1. 臀部(お尻)を伸ばす、寝ながら行うストレッチ
以下の一連の動作を、左右それぞれの足で行います(左右各15秒×2セット)。呼吸を楽にしながら行うようにしましょう。
① 仰向けに寝て、片側の膝を両手で抱え、膝を体幹に引き寄せる(この時、反対側の脚は伸ばしたままにし、膝が地面から浮かないようにする)
② 痛みのない範囲でできる限り膝を体幹に寄せる(膝を曲げた側のお尻がストレッチされます)
③ 15秒間姿勢をキープする
2. 股関節の前側を伸ばすストレッチ(片膝立ち)
以下の一連の動作を、左右それぞれの足で行います(左右各15秒×2〜3セット)。呼吸を楽にしながら行うようにしましょう。
① 片膝立ちになり、前側の足をできるだけ前に持ってくる
② 体重をゆっくり前に移動し、後ろ脚側の太ももの前を伸ばす
骨盤を立てて背筋を伸ばすと、より効果が高まります。
股関節痛について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「股関節が痛い」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 股関節は歩いているときに痛くなりますか?
- 股関節は寝ているときに痛くなりますか?
- 普段、おもに立ち仕事をしていますか?
- 普段、おもにデスクワークをしていますか?
股関節痛に関連する病気・症状
この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2021/01/18