腹腔内膿瘍の治療期間はどのくらい?腹腔内膿瘍
監修医師吉岡 藍子消化器内科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03
腹腔内膿瘍とは
腹腔内膿瘍の腹腔ドレナージとは何ですか?
お腹の中にたまった膿を体の外に逃がす処置です。
腹腔内膿瘍の腹腔ドレナージとは、お腹の中にたまった膿を体の外に排出する処置です。
腹腔内膿瘍とは細菌感染により、お腹の中に膿のかたまりができる病気です。
抗生物質で治療を行いますが、それだけでは不十分であることが多く、ドレナージの処置が必要となります。
具体的には、皮膚から針を刺して細い管(カテーテル)をお腹の膿瘍に挿入し、膿を体の外に排出します。
局所麻酔で行うことができ、全身麻酔の手術より体の負担は少ないとされています。
処置中は麻酔を行うため強い痛みは出ないことが多いですが、ドレナージを留置したあとは、チューブが動くときや抜くときなどに痛みが出ることがあります。
膿瘍の大きさや位置、患者さんの状態によっては、手術が必要となる場合もあります。
また、出血などの合併症が起こる場合があります。
腹腔内膿瘍に対する腹腔ドレナージについて詳しく知りたい方は、医療機関に相談してみましょう。
参考文献
Parswa Ansari et al.“腹腔内膿瘍”.MSDマニュアル.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%80%A5%E6%80%A7%E8%85%B9%E7%97%87%E3%81%A8%E6%B6%88%E5%8C%96%E5%99%A8%E5%A4%96%E7%A7%91/%E8%85%B9%E8%85%94%E5%86%85%E8%86%BF%E7%98%8D,(参照 2025-04-16).
幕内 雅敏ほか. 今日の消化器疾患治療指針 第3版. 医学書院. 2010
腹腔内膿瘍の症状
腹腔内膿瘍には初期症状はありますか?
倦怠感や発熱を起こします。その他の症状では、食欲不振や吐き気、体重減少が見られることがあります。
腹痛や発熱といった典型的な症状が出る前に、膿瘍のある部位に関連した下痢や尿意切迫などの症状、または倦怠感などが見られることがあります。しかし、特徴的な症状がなく、原因がわからない発熱が続くといったこともあります。
また、がんが関連する腹腔内膿瘍の場合、がんの進行に伴う体重減少や体力の低下、出血や貧血の進行などが見られることがあります。
腹腔内膿瘍ではどのような症状がありますか?
部位によりますが、腹部では腹痛、発熱を認めます。さらに、腹腔後部や脾臓では腰痛、骨盤内では尿意切迫感、下痢を伴います。
膿瘍ができると、最終的にはそこに細菌(胃や腸に見られるような菌:通常、消化管由来の好気性および嫌気性菌が混在していることが多いとされています)が住みつきます。共通して起こることが多い症状としては、膿がたまっている部位の腹痛や腰痛、発熱などです。さらに、膿瘍が正常な臓器を圧迫することで、付随した症状が出るとされています。
消化管に影響がある場合
骨盤内の臓器に影響がある場合
尿意切迫や、便に関わる症状が出ることがあります。
腹腔内膿瘍の原因
腹腔内膿瘍の原因は何がありますか?
虫垂炎や憩室炎、腹部のケガ、腹部の術後の感染、がん、潰瘍により発症します。
いきなり腹腔内に膿がたまることは、通常ありません。例として、
- 虫垂炎による虫垂の穿孔(穴があくこと)
- 憩室やがんに関連する穿孔
- 炎症性腸疾患によるもの
- 怪我によって臓器が損傷されたあと
などの場合には、続発的に膿がたまるとされています。
また、外科手術の合併症として膿瘍ができることもあります。女性の場合は、子宮や卵巣の感染症やこれらの臓器の穿孔によって、膿瘍が作られることがあります。
腹腔内膿瘍の検査・診断
腹腔内膿瘍のセルフチェックはできますか?
解説欄をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけで腹腔内膿瘍の可能性をチェックすることもできます。
腹腔内膿瘍自体のセルフチェックは難しいかもしれません。ただし、腹部の症状が虫垂炎など何かの前触れである可能性があり、そのまま放置しておくと腹腔内膿瘍や穿孔、腸閉塞を起こすことがありますので、腹痛や発熱が続く際は早めに医療機関を受診することをおすすめします。症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えることで、腹腔内膿瘍の可能性をチェックすることもできますので、ご活用ください。
腹腔内膿瘍の治療・対処法
腹腔内膿瘍の治療期間はどのくらいですか?
治療効果などによりますが、人や腫瘍ができた部位によっては再発なども報告されており、明確な期間はありません。
腹腔内膿瘍において、共通した治療期間というものはありません。腹腔内膿瘍ができた部位や原因となった菌の違いにより、治療期間は異なります。また、手術や持続的なドレナージ処置(膿の排出処置)が行われている場合はその治療の経過によって、血液検査やCTなどの画像検査の経過によって、治療期間はさまざまです。
腹腔内膿瘍の場合、主にどのような治療をしますか?
膿(うみ)の原因となっている病原菌を特定し、抗菌薬での治療を行います。また、カテーテルや手術で膿を排出させます。
まずは膿瘍の原因となっている臓器を特定します。一番重要なことは膿を体外に出すことです。このために、手術が行われたり、手術が行われない場合でも、体外から体内に細い管(カテーテル、ドレーンともいう)を挿入し、体外に継続的に膿を出す処置を行うことになります。
また、多くの場合、抗菌薬による治療も並行して行われます。具体的な細菌の種類や感染した臓器によって、抗菌薬の種類や使用期間が異なったり、途中で変更になることもあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
腹腔内膿瘍を放置するとどうなりますか?
腹腔内膿瘍は放置すると重い感染や臓器障害を起こし命に関わることがあります。
腹腔内膿瘍をそのままにしておくと、熱が続いたり、お腹の痛み、食欲がなくなる、体重が減るといった症状が悪化します。
膿の場所によっては、下痢になったり、トイレが近くなったり、胸の痛みや咳、息苦しさ、肩の痛みが出ることもあります。
腹腔内膿瘍は細菌感染症であり、重症化すると、膿瘍のある場所だけではなく、全身の臓器に障害が現れます。
具体的には、血圧が低下する、意識障害が現れる、尿量が低下する、というような症状があれば注意が必要です。
実際に、重症の敗血症となれば死亡率は10〜40%にのぼるため、早い段階での診断や治療がとても大切です。
参考文献
Parswa Ansari et al.“腹腔内膿瘍”.MSDマニュアル.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%80%A5%E6%80%A7%E8%85%B9%E7%97%87%E3%81%A8%E6%B6%88%E5%8C%96%E5%99%A8%E5%A4%96%E7%A7%91/%E8%85%B9%E8%85%94%E5%86%85%E8%86%BF%E7%98%8D,(参照 2025-04-16).
幕内 雅敏ほか. 今日の消化器疾患治療指針 第3版. 医学書院. 2010
腹腔内膿瘍の名医の探し方を教えてください。
総合病院を探すと、腹腔内膿瘍の診療経験が豊富な医師に出会える可能があります。
腹腔内膿瘍が疑われる場合は、診断のために血液検査や造影剤を使用するCT検査が行われます。
また、治療は抗生物質の他、体表から針を刺し、膿瘍内の膿を体の外に逃がすドレナージの処置が必要となる場合があります。
そのため、これらの検査や治療が実施できる病院を受診するのが望ましいでしょう。
感染症科や放射線科などの診療科が揃った総合病院を探すと、腹腔内膿瘍の診療経験が豊富な医師に出会える可能があります。
専門の病院を見つけるのが難しい場合は、かかりつけの医師に相談し、紹介状を書いてもらうことをおすすめします。
腹腔内膿瘍が疑われる症状があれば、早めに医療機関を受診し、正確な診断を受けることが大切です。
Ubieでは「かんたん医師相談」から、気軽に医師に相談することも可能です。
参考文献
Parswa Ansari et al.“腹腔内膿瘍”.MSDマニュアル.https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/01-%E6%B6%88%E5%8C%96%E7%AE%A1%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%80%A5%E6%80%A7%E8%85%B9%E7%97%87%E3%81%A8%E6%B6%88%E5%8C%96%E5%99%A8%E5%A4%96%E7%A7%91/%E8%85%B9%E8%85%94%E5%86%85%E8%86%BF%E7%98%8D,(参照 2025-04-16).
幕内 雅敏ほか. 今日の消化器疾患治療指針 第3版. 医学書院. 2010
腹腔内膿瘍が疑われる場合、何科を受診したらよいですか?
消化器外科を受診してください。CTや、エコー、レントゲン、MRIなどで膿瘍の場所を確認します。
腹痛や発熱があること、原因としては虫垂炎などの消化器疾患が多いことから、外科(消化器外科)を受診することが多いでしょう。腹部超音波(エコー)やCT検査などが行われ、膿瘍の場所や原因が特定されます。原因の臓器が腎臓や膀胱などであれば泌尿器科、子宮や卵巣などであれば婦人科などと、状況に応じた診療科を紹介され、詳しい検査や治療が行われることになります。
腹腔内膿瘍の専門医がいる近くの病院はありますか?
腹腔内膿瘍の専門医がいる病院を見る腹腔内膿瘍の薬
腹腔内膿瘍は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
感染が拡大しないように抗菌薬を使用します。それに伴い、胃のムカつきや下痢、アレルギー反応を起こすこともあります。
腹腔内膿瘍はお腹の中に膿がたまっている状況なので、大切なのは、原因臓器の特定とそれに対する治療、膿を体外に出す治療を行うことです。しかし、実際には細菌の感染のために、抗菌薬を併用することがほとんどです。
抗菌薬の使用に際しては、薬剤アレルギーや、腸内細菌叢(腸内の壁に張り付いている細菌の集まりのこと)の変化による下痢が起こり得ることがあります。また、長期にわたって強い抗菌薬を使用することで、薬に対して耐性ができてしまい、薬の効果が得られなくなる可能性があります。
対処法・セルフケア
腹腔内膿瘍の場合、日常生活で気を付けることはありますか?
消化器穿孔やイレウスを起こすことがあるため、早期治療が必要です。
腹腔内膿瘍を起こさないために事前に日常生活で気をつけるべきこと、というものはありません。ただし、腹部症状がある場合は、虫垂炎など何らかの前触れである可能性があり、そのまま放置すると腹腔内膿瘍や穿孔、腸閉塞を起こすことがあります。腹痛や発熱が続く際は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えることで、腹腔内膿瘍の可能性をチェックすることもできますので、ご活用ください。
腹腔内膿瘍で薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
抗菌薬は補助的な治療です。ドレナージ(膿の排出処置)が主な治療となるため、カテーテルでの排菌や、外科的に摘出します。
基本的な腹腔内膿瘍の治療は、排膿と抗菌薬による治療です。ドレナージが難しい場所であるなど、状況によっては抗菌薬のみの治療から開始することもありますが、治療がうまくいっていないときは、後から追加のドレナージ治療や外科的処置(手術)を行う必要があります。
腹腔内膿瘍について、医師からのよくある質問
医師からよくある質問はありますか?
「腹腔内膿瘍」について医師からよくある質問の例として次のようなものがあります。
- 体温は37.5℃以上ですか?
- 背中が痛みますか?
- お腹を押したときに激しい痛みを感じますか?
- お腹の痛みがありますか?
- 吐き気や嘔吐がありますか?
腹腔内膿瘍に関連する病気・症状
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この記事の監修医師
吉岡 藍子
消化器内科・内科
消化器内科医の吉岡藍子と申します。 これまで大学病院や市中病院、健診センターでの内視鏡業務などを通して、消化器領域を幅広く経験してまいりました。 診療の現場では、専門的な用語や複雑な病状の説明に、患者様が戸惑いや不安を感じる場面に何度も出会いました。医療機関で提供される膨大な情報を前に、混乱されてしまう方も少なくありません。そこで、ご自身の病気や体、そして健康について、一人でも多くの方が正しく理解できる環境を作りたいという想いから、ユビーの活動に参加させていただいております。皆様が正しい医学知識に普段から触れ、安心してご自身の健康と向き合えるよう、分かりやすい情報提供に努めてまいります。 【経歴】 新潟大学医学部卒。 新潟県内外の市中病院、大学病院で勤務。 新潟大学大学院医歯学総合研究科消化器内科学分野にて博士取得。 2022年からユビーに入社し、横浜市で健診内視鏡診療を兼務。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2020/09/03