前立腺の内腺や外腺、移行域・辺縁域について教えてください。
前立腺のエコー画像と解剖では名称が異なる場合があり、部位ごとに病気のリスクが異なります。
前立腺をエコーで確認すると、大まかに内線と外腺の2つに分けられます。
内腺は尿道に接している内側の部分で、外腺は内腺の外側を取り囲むように位置しています。ミカンで例えると、内腺がミカンの果実部分、外腺が皮にあたると言われることがあります。
それぞれの構造は微妙に異なり、外腺の方が体積は小さいです。前立腺肥大症では内腺が大きくなることが多く、前立腺がんは75~80%が外腺からでき、20~25%は内腺からできると考えられています。
また、前立腺を解剖学的に確認すると、移行領域、中心領域、辺縁領域、前部線維筋性間質に分けられます。内腺が移行領域と中心領域、外腺が辺縁領域を指すことが多く、造影剤を用いたCTやMRI等でそれぞれを区別できます。
移行領域は膀胱から出た尿道が射精管と合流するまでの尿道の部分を取り囲む領域です。前立腺肥大を起こす結節(腺腫)が尿道の周囲や移行領域からできやすく、肥大すると前立腺肥大症などの排尿障害を起こしやすい場所と言えます。
中心領域は、移行領域と射精管を覆うような部位で精嚢や膀胱に近い部分です。
辺縁領域はさらにそれらを覆うような領域で、尿道と射精管が合流した部位よりも先の尿道も覆っており、前立腺がんの主な発生部位とされています。
前部線維禁制間質は移行領域や辺縁領域よりも恥骨側の部分にある組織で、若干構造が異なるためこのように呼ばれています。
このように、エコーで見える前立腺の内腺は、移行領域や中心領域、外腺は主に辺縁領域の部分にあたります。
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最終更新日:
東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科
秋元 隆宏 監修
(参考文献)
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