腎血管筋脂肪腫には初期症状はありますか？

腎血管筋脂肪腫（AML）は良性腫瘍であり、多くの場合、他の病気の検査中に偶然見つかるほど、無症状の病変です。そのため、AMLをお持ちの方の約半数は無症状で発見されます。また、日本人患者さんを対象とした研究でも、42%の方が診断時に無症状であったと報告されています。

ただし、AMLの腫瘍が増大するにつれて、症状が現れることがあります。特にAMLが4㎝以上に大きくなると、症状が出現する可能性が増加すると考えられています。腫瘍が大きくなることで現れうる症状には、以下のようなものがあります。

• 側腹部痛（脇腹の痛み）や腰背部痛（腰や背中の痛み）
• 腹部にしこりのような腫瘤が触れる
• 肉眼的血尿（尿に血が混じり、赤やオレンジ色に見える）
• 便秘
• 血圧上昇

腫瘍径が4cm未満で症状がみられた方は、側腹部痛が認められたのはわずか7%であり、腹部腫瘤の触知は6%、血尿は12%という報告があります。これに対し、4cm以上になると、側腹部痛は48%、腹部腫瘤の触知は47%、血尿は27%でみられるほど症状が現れやすくなります。

また、AMLの最も重篤な合併症は、腫瘍内の血管の異常から起こる出血であり、これが腎臓の周囲への出血（後腹膜出血）により、激しい痛みやショックを引き起こす可能性があります。なお、さらにまれですが、AMLの中でも悪性の経過をたどる可能性がある「類上皮型AML（EAML）」は、痛み、触知可能な腫瘤、血尿といった症状を示す可能性が高い傾向があります。