シーハン症候群の原因は何がありますか?
妊娠による下垂体の脆弱化と産後出血による血流障害が最も典型的な原因です。
1. 分娩時または産後の大量出血
出産に関連する大量出血による急激な低血圧またはショックが起こり、下垂体(特に前葉)の血流が低下し、組織が壊死します。
2. 妊娠中の下垂体の生理的肥大
妊娠により下垂体が通常の120〜136%にまで肥大し、血液の需要が増加します。わずかな血流低下でも下垂体の組織が血流不足になりやすくなります。
3. 小さいトルコ鞍
妊娠により下垂体が肥大した状態で、トルコ鞍が狭い場合、血管が物理的に圧迫され、血流が妨げられる可能性があります。
4. 血管攣縮
産後出血による低血圧に伴って血管攣縮が起こり、下垂体への血流が阻害されることがあります。
5. 血栓形成傾向・凝固異常
妊娠に伴う凝固亢進状態や、遺伝的な凝固因子異常が存在する場合、下垂体動脈に血栓が形成され血流不足が生じる可能性がありますが、明確にはなっていません。
6. 自己免疫
壊死した下垂体から自己抗原が出ることで抗下垂体抗体が産生される可能性があり、これが正常なまま残っている下垂体組織に障害を与え、病態を進行させることがあります。
7. その他
まれですが、重症感染症、アナフィラキシー、急性肝不全、心疾患、外傷など、出血を伴わない要因でも下垂体壊死が起こりシーハン症候群の原因になることがあります。
医療法人社団メレガリ うるうクリニック関内馬車道 糖尿病・内分泌科
濵﨑 秀崇 監修
(参考文献)
Zuleyha Karaca et al.“Sheehan syndrome: a current approach to a dormant disease”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39863703/,(参照 2025-07-01).
Halit Diri et al.“Sheehan's syndrome: new insights into an old disease”.National Library of Medicine.https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26323346/,(参照 2025-07-01).
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