気管支拡張症は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?
一般的には、抗菌薬や去痰剤が使用され、感染症が疑われる場合は抗生物質が使用される場合もあります。
気管支拡張症の治療には、症状の軽減、QOL(生活の質)の向上、悪化の抑制、病気の進行を防ぐことを目標に、さまざまな薬剤が用いられます。
薬物療法は、粘液線毛クリアランスの改善、気道炎症の軽減、気道感染への対処を目的としています。
ここでは、主要な薬物療法とその副作用について詳しく説明します。
1. 気道クリアランス改善薬
- 高張食塩水:
粘液の水分量を増やし、粘度を下げることで、痰を出しやすくします。 吸入による副作用として、咳、気管支痙攣などが挙げられます。
- マンニトール:
吸入することで気道内の水分量を増加させ、粘液線毛クリアランスを促進します。 副作用としては、咳、口渇、頭痛などが報告されています。
- N-アセチルシステイン、カルボシステイン、エルドステイン:
経口粘液溶解薬として、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の管理で一定の効果が知られており、現在、気管支拡張症患者さんで研究が進められています。 副作用としては、胃腸障害、吐き気などが挙げられます。
2. 気道炎症抑制薬
- マクロライド系抗生物質:
低用量のマクロライド系抗生物質を長期服用することで、抗炎症作用と免疫調節作用を発揮し、悪化を減らす効果があります。 副作用として、胃腸障害、QT延長、聴覚障害、耐性非結核性抗酸菌症(NTM)の発症リスクなどがあります。
- 吸入ステロイド:
気道の炎症を抑える効果がありますが、気管支拡張症全体への効果は限定的です。 しかし、好酸球性気管支拡張症の患者さんでは、症状の改善や悪化の減少がみられる場合があります。 副作用としては、口腔カンジダ症、声嗄れなどが挙げられます。
- 抗Th2生物製剤:
好酸球性気管支拡張症の患者さんでは、インターロイキン-5(IL-5)やIL-5受容体を標的とした生物製剤が有効である可能性があります。 副作用としては、頭痛、注射部位反応などが報告されています。
3. 気道感染制御薬
- 吸入抗生物質:
緑膿菌などの細菌感染に対して、吸入抗生物質が用いられることがあります。 気道内の細菌量を減らし、悪化を抑制する効果が期待されますが、副作用として咳、気管支痙攣、薬剤耐性菌の出現などが挙げられます。
副作用は薬剤の種類や服用量、個人の体質によって異なります。
薬物療法を開始する際は、医師に副作用の可能性について相談し、指示された用法・用量を守って服用することが重要です。
また、副作用が現れた場合は、すぐに医師に連絡してください。
公開日:
最終更新日:
京都大学医学部附属病院 呼吸器内科
山形 昂 監修
(参考文献)
I-01 気管支拡張症.一般社団法人日本呼吸器学会,https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-01.html(参照 2024-10-25)
. Epidemiology of bronchiectasis. . , , .
. Bronchiectasis management in adults: state of the art and future directions. . , , .
北村正樹ほか. ニューキノロン系 抗菌薬の副作用及び薬物相互作用、耳展40:4;459~464,1997. 耳展. 1997, 40, 459~464.
一般社団法人日本感染症学会ほか. JAID/JSC 感染症治療ガイドライン ―呼吸器感染症―. 感染症学雑誌. 2014, 88, 1-109.
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