骨髄増殖性腫瘍は主にどのような薬で治療しますか?副作用はありますか?

病気に応じて抗がん剤や細胞減少療法、JAK2阻害薬等が使用されます。副作用は解説をご覧ください

解説

骨髄増殖性腫瘍の薬物治療は、疾患によって異なります。例えば慢性骨髄性白血病(CML)では、分子標的薬などの抗がん剤による治療が行われます。

代表的な疾患の薬物治療は以下の通りです。

慢性骨髄性白血病(CML)

一般的には、bcr-abl蛋白を特異的に阻害するチロシンキナーゼ阻害薬(TKI、イマチニブやニロチニブ、ダサチニブ、ボスチニブなど)と呼ばれる分子標的薬*)が使用されます。分子標的薬の副作用には、皮膚や粘膜の症状や肺炎下痢肝機能障害などがあります。進行した場合には、細胞障害性抗がん剤**を併用したり、造血幹細胞移植が行われることもあります。

真性赤血球増加症(PV)

合併症として血栓症がおこるため、抗血小板薬であるアスピリンで血栓症に伴う症状に対する治療が行われます。また、患者さんの状態に応じて細胞減少療法として、ハイドロキシウレアやJAK2阻害薬(ルキソリチニブ)を用いた薬物治療が行われます。ルキソリチニブには免疫抑制作用があるため、帯状疱疹や日和見感染症に注意が必要です。

本態性血小板血症(ET)

合併症として血栓症がおこるため、アスピリンを用いて予防治療が行われます。また、患者さんの状態に応じて細胞減少療法として、ハイドロキシウレアやアナグレニドなどを用いた薬物治療が行われます。アナグレリドの副作用には、頭痛動悸、貧血、下痢、末梢神経障害などがあります。

原発性骨髄線維症(PMF)

貧血や脾臓の腫れに対応した治療が行われます。貧血には蛋白同化ステロイド療法、脾臓の腫れに対しては細胞減少療法であるハイドロキシウレアやJAK2阻害薬(ルキソリチニブ)の使用が検討されます。ルキソリチニブには免疫抑制作用があるため、帯状疱疹や日和見感染症に注意が必要です。

分子標的薬*がん細胞の増殖などに関わるタンパク質を標的としたお薬です。
細胞障害性抗がん剤**:細胞の増殖の仕組みの一部を邪魔してがん細胞を攻撃する薬です。

公開日

最終更新日

兵庫医科大学病院 輸血・細胞治療センター 血液内科

山原 研一 監修

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(参考文献)

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