多剤耐性結核の場合、主にどのような治療をしますか?

複数の薬剤を併用した薬物治療を行います。

解説

多剤耐性結核の治療は主に薬物治療で行われ、複数の薬剤を併用します。

従来、多剤耐性結核の治療には18ヶ月以上の長期治療が標準とされてきました。しかし、2009年ごろからガチフロキサシンやクロファジミンを軸とした短期化学療法の有効性が報告され始めました。これらの新しい薬剤と治療法により、WHOも推奨する9〜11ヶ月といった短期治療が可能となりました。

WHOが推奨する9〜11ヶ月の計画書では、以下の薬剤が組み合わせて使用されます。

  • フルオロキノロン(レボフロキサシンまたはモキシフロキサシン)
  • ピラジナミド
  • エタンブトール
  • クロファジミン
  • 高用量イソニアジド
  • ベダキリンまたはアミカシン
  • エチオナミドまたはリネゾリド

これらの薬剤を組み合わせ、初期段階では7剤、その後は段階的に減量し、最終的には4剤で治療を行います。

上記で使用する薬剤の中には、日本における公費負担の対象となっていないものもあることに注意が必要です。

治療期間は患者さんの状態や治療効果に応じて延長されたり、薬剤が変更されることもあります。症状が改善しても自己判断で治療を中断すると、薬剤耐性菌が増殖し、治療がさらに困難になるため、医師の指示に従って薬物治療を継続することが重要です。

また、肺に膿がたまる場合や気道からの出血が止まらない場合には外科的治療が検討されます。感染力が高いため、重症例では隔離入院が必要になることもあります。

最新の治療ガイドラインに基づいて、医師と相談しながら治療を進めることが重要です。

公開日

最終更新日

京都大学医学部附属病院 呼吸器内科

山形 昂 監修

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