デュシェンヌ型筋ジストロフィーで薬が効かない場合、どうしたらよいですか?
薬の効果が限られていても、呼吸や心臓のケア、リハビリ等で生活の質を維持できます。
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、体の筋肉が徐々に弱くなっていく病気です。
現在、病気の進行を遅らせるためにステロイドというお薬が主に使われますが、残念ながらこれだけで病気の進行を完全に止めることはできません。また、お薬の効果には個人差があったり、副作用のために使い続けるのが難しい場合もあります。
しかし、お薬の効果が期待通りでなくても、あきらめる必要はありません。DMDの治療では、お薬だけでなく、さまざまな専門家(医師、看護師、理学療法士、作業療法士、栄養士、ソーシャルワーカーなど)がチームを組んで、患者さんの生活の質(QOL)をできるだけ高く保つための「包括的ケア」という考え方がとても大切です。
具体的には、以下のようなケアが行われます。
- 呼吸ケア: 呼吸するための筋肉が弱くなると、息苦しくなったり、肺炎にかかりやすくなったりします。そのため、定期的な呼吸機能のチェックや、必要に応じて人工呼吸器(鼻マスクタイプや、気管切開をして使うタイプなど)を使って呼吸を助けます。
- 心臓ケア: 心臓の筋肉も影響を受けることがあるため、定期的な心臓の検査(心エコーなど)と、心臓を保護するお薬の使用が重要です。
- リハビリテーション: 関節が硬くなったり、体の形が変形したりするのを防ぐために、理学療法士や作業療法士が、ストレッチや適切な運動、補助具(車椅子や装具など)の利用をサポートします。これにより、できるだけ長く自分で動ける状態を保つことを目指します。
- 栄養管理: 食べ物を飲み込む力が弱くなったり、運動量が減ることで体重管理が難しくなったりすることがあります。栄養士と相談しながら、適切な食事内容や栄養補給の方法を考えます。
- 精神的・社会的なサポート: 患者さんやご家族が抱える不安や悩みに対して、心理的なサポートや、利用できる社会福祉サービスの情報提供などを行います。
これらのケアを組み合わせることで、病気が進行しても、できるだけ快適に、その人らしい生活を送れるように支えていくことが目標です。
主治医の先生とよく相談し、どのようなサポートが利用できるか、最新の治療法にはどのようなものがあるかなど、情報を得ながら一緒に治療方針を考えていくことが大切です。
東京頭痛クリニック 脳神経内科
越智 佳奈 監修
(参考文献)
日本神経学会,日本小児神経学会,国立精神・神経医療研究センター. デュシェンヌ型筋ジストロフィー診療ガイドライン2014. 南江堂. 2014
David J Birnkrant et al . Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 1: diagnosis, and neuromuscular, rehabilitation, endocrine, and gastrointestinal and nutritional management. Lancet Neurol. 2018, 17, 251-267.
David J Birnkrant et al . Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 2: respiratory, cardiac, bone health, and orthopaedic management. Lancet Neurol. 2018, 17, 347-361.
David J Birnkrant et al . Diagnosis and management of Duchenne muscular dystrophy, part 3: primary care, emergency management, psychosocial care, and transitions of care across the lifespan. Lancet Neurol. 2018, 17, 445–455.
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