低ホスファターゼ症は小児にもある?低ホスファターゼ症
監修医師濱畑 智弘山田記念病院 整形外科
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/09/29
低ホスファターゼ症とは
生まれつきアルカリホスファターゼという酵素に異常があり、骨が弱くなることで様々な症状を引き起こす遺伝性の病気です。
「低ホスファターゼ症」とはどのような病気ですか?
アルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の異常で骨の石灰化が妨げられて骨が弱くなり、さまざまな症状が見られる遺伝性の病気です。
低ホスファターゼ症とは
遺伝子の異常によってアルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の働きが悪くなり、骨の石灰化(正常な骨を作る働き)が妨げられて骨が弱くなる病気です。
15万に1人ほどの比較的稀な病気ですが、遺伝する病気です。
低ホスファターゼ症の症状について
骨折を起こしやすくなったり、腕や脚が短くなったり、身長が伸びにくくなったりします。けいれんや歯の脱落といった症状が見られることもあります。
症状の種類や重症度には幅があり、ほとんど症状がない方もいれば、治療を行わなければ生存も難しいほど重症な方もいます。一般的にALPの必要性は成長とともに下がっていくため、軽症の患者さんでは成長過程で自然に症状が改善する場合があります。また、重症の患者さんでも、最近使われるようになったALPを補充する薬によって強い症状が抑えられるようになりました。
低ホスファターゼ症の症状
乳歯が一気に抜けるのは低ホスファターゼ症の症状ですか?
低ホスファターゼ症では乳歯が早く抜ける症状もありますが、別の原因も否定できません。
低ホスファターゼ症では、乳歯が早い段階で抜け落ちるなどの症状を認めることがあります。
一方、虫歯などの歯科疾患や外傷など、低フォスファターゼ症以外の病態でも乳歯が早く抜けたり、同じ時期に抜ける可能性もあるため、正確に診断するためには病院での診察が必要です。
なお、歯の脱落以外にみられる低ホスファターゼ症の主な症状として、骨折を起こしやすくなる、腕や脚が短くなる、身長が伸びにくくなることがあげられます。けいれんなどが起こる場合もあります。
しかし、現れる症状の種類や程度には個人差があり、ほとんど症状が現れない場合もあります。
低ホスファターゼ症では歯科症状が見られますか?
歯にも症状が見られます。早い時期に乳歯が抜けたり、歯周病が現れたりする場合があります。
この病気では、歯のセメント質をうまく作ることができず、
- 乳歯が早い時期(4歳未満の脱落)に抜け落ちる
- 歯周病が見られる
など、歯に症状が現れる場合があります。
通常は前歯が抜け落ちます。重症の場合には他の歯が抜けたり、永久歯がなかなか生えてこないこともあります。
対応として、乳歯が早めに抜けた場合には、発音に支障がでないように、また、残った乳歯への負担を軽減させることを目的として、小児義歯の装着が行われる場合があります。
まだ乳歯が抜け落ちず動いている状態であれば、永久歯にかわるまで乳歯を温存する場合もあります。
成人発症でも歯に症状が現れることがあり、また、歯のみに症状が現れる病気のタイプ(歯限局型)もあります。
気になる症状がある場合には、医師にご相談ください。
低ホスファターゼ症には初期症状はありますか?
発症する年齢によって見られやすい初期症状が異なります。
低ホスファターゼ症は、発症する年齢や重症化の程度に幅があります。このため、必ずしも同じような初期症状が現れるとは限りません。年齢によって、見られる可能性のある初期症状は以下のように異なります。
胎児から新生児の頃
- 腕や脚が短い・曲がっている
- 頭蓋骨が膜のように柔らかい(膜様頭蓋:まくようずがい)
- けいれん など
これらの症状は、胎児期の超音波検査で見つかることがあります。超音波検査は、低ホスファターゼ症の治療を早めに開始するために重要です。
乳児期から小児の頃
- 身長の伸びが遅い
- O脚
- 歩き方がおかしい
- 乳歯が抜ける
- 頭蓋骨の変形 など
成人以後
低ホスファターゼ症の原因
低ホスファターゼ症の原因や考えられる症状には何がありますか?
遺伝子の異常によってアルカリフォスファターゼ(ALP)という酵素の働きが悪くなることが原因です。骨や歯が弱くなり、骨折や歯が抜けるといった症状が見られます。
低ホスファターゼ症の原因は、遺伝子の異常によってアルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の働きが悪くなることです。これにより、以下のような症状を引き起こします。
骨の石灰化障害
骨を作る時には、カルシウムやリンといったミネラルが骨に取り込まれる(=石灰化)ことで骨が硬く強くなります。ALPの働きが悪くなると、骨の石灰化がうまくできなくなるため、骨が弱くなって骨折を起こしやすくなったり、腕や脚が短くなったり、身長が伸びにくくなったりします。
歯の石灰化障害
歯も、骨と同様に石灰化が重要です。このため、歯が抜ける・歯周病になるといった症状が見られる場合があります。
血液や尿中カルシウムの増加
骨へのカルシウムの取り込みが不十分だと、その分だけ血液や尿の中のカルシウムが増えてしまいます。血液中のカルシウムが増えると、疲労感や食欲低下、嘔吐や筋力低下といった症状につながります。また、尿に含まれるカルシウムが増えると、腎臓や尿管に石(尿路結石)ができて血尿や痛みを生じます。
ビタミンB6合成障害
ALPは、ビタミンB6の合成にも必要な酵素です。ビタミンB6は脳で情報伝達を助ける働きをしているため、不足することで脳の機能が悪くなり、けいれんを生じることがあります。
低ホスファターゼ症の症状の種類や重さの度合いには幅があり、ほとんど症状がない方もいれば、治療を行わなければ生存も難しいほど症状が重い方もいます。一般的にALPの必要性は成長とともに減っていくため、軽症の患者さんでは成長過程で自然に症状が改善する場合があります。
低ホスファターゼ症の検査・診断
低ホスファターゼ症では遺伝子検査を行いますか?
この病気の診断の確定のためには、遺伝子検査を行うことが推奨されています。
この病気の原因として、アルカリホスファターゼ(ALP)という酵素をつくる遺伝子(TNSALP遺伝子)の変異がわかっていることから、確定診断として遺伝子検査が推奨されています。保険も適用されます。
一方で、通常は遺伝子検査が行われる前に、血液中のALPの値と症状、骨のレントゲン写真の所見をあわせて診断が行われます。
具体的には、血中ALPの値が低いことと、以下主症状のうち、ひとつ以上が確認される場合にはこの病気を疑います。
主症状
- 骨が成長するうえで必要な石灰化が十分に進んでいないことが、レントゲン検査などで確認できる。腕や脚の骨の変形といった、この病気に特徴的な変形が見られる。
- 乳歯が4歳未満に抜け落ちる。
この病気の疑いが強い場合では、診断を確定させ病気のタイプを確認することを目的に遺伝子検査が実施されます。
参考文献
低ホスファターゼ症診療ガイドライン作成委員会.“低ホスファターゼ症診療ガイドライン”.日本小児内分泌学会.http://jspe.umin.jp/medical/files/guide20190111.pdf,(参照 2024-06-13).
厚生労働省 難治性疾患政策研究班.“低ホスファターゼ症(指定難病172)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/4564,(参照 2024-06-13).
日本小児内分泌学会.“低フォスファターゼ症”.日本小児内分泌学会.http://jspe.umin.jp/public/teiphosphatase.html,(参照 2024-06-13).
低ホスファターゼ症の診断基準はどのようなものですか?
診断は、血液中のアルカリホスファターゼ(ALP)の値、症状、骨のレントゲン写真を併せて行われます。
低ホスファターゼ症の診断は、血液中のアルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の値と、症状、骨のレントゲン写真の所見をあわせて行われます。
具体的には、血液中のALPの値が低いことと、以下にあげる主症状のうち、ひとつ以上が確認される場合にこの病気を疑います。
主症状
- 骨が成長するうえで必要な石灰化が十分に進んでいないことが、レントゲン検査などで確認できる。腕や脚の骨の変形といった、この病気に特徴的な変形が見られる。
- 乳歯が4歳未満に抜け落ちる。
この病気の疑いが強い場合には、診断を確定させ病気のタイプを確認するための遺伝子検査を行う場合があります。この病気ではALPをつくる遺伝子に変異があるとされているため、遺伝子解析は有用とされており、保険適用となっています。
その他には、診断の参考情報として、けいれんの有無や同じ病気をもつ家族の有無、両親の血中ALPの値などがあります。
参考文献
低ホスファターゼ症診療ガイドライン作成委員会.“低ホスファターゼ症診療ガイドライン”.日本小児内分泌学会.http://jspe.umin.jp/medical/files/guide20190111.pdf,(参照 2024-06-13).
厚生労働省 難治性疾患政策研究班.“低ホスファターゼ症(指定難病172)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/4564,(参照 2024-06-13).
日本小児内分泌学会.“低フォスファターゼ症”.日本小児内分泌学会.http://jspe.umin.jp/public/teiphosphatase.html,(参照 2024-06-13).
低ホスファターゼ症で見られる特徴的な血液検査の結果はありますか?
血液検査でALPの値が低くなることが特徴です。また、保険適用の検査ではありませんが、ピロリン酸の値が高くなることも多いです。
ALPの値が低くなる
低ホスファターゼ症では、アルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の働きが悪くなるため、血液検査でALPの値が低くなることが特徴です。
ALPは年齢や性別によって体内の量が変わります。特に小児期では通常高い値を示す検査であることに注意が必要です。検査結果が正常範囲内でも、数値が低い場合には低ホスファターゼ症の可能性があります。
ピロリン酸の値が高くなる
血液検査でピロリン酸が増加するのも低ホスファターゼ症の特徴です。ただし、この検査は保険適用外です。
カルシウムの値が高くなる
この病気では骨へのカルシウムの取り込み(=石灰化)が妨げられ、その分血液の中のカルシウムが増えることがあります。このため、血液検査でカルシウムの値が高くなる場合があります。ただし、血液中のカルシウムはさまざまな病気で高い値となることがあるため、あまり特徴的な検査結果とは言えません。
低ホスファターゼ症のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
以下の症状がある場合、低ホスファターゼ症が疑われます。これらの症状一つ一つで見れば他の病気の可能性もありますが、いくつかの症状が組み合わさる場合には低ホスファターゼの可能性がより疑われます。
小児期の場合
- 身長の伸びが遅い
- 体重の増えが悪い
- 重度のO脚
- 歩き方がおかしい
- 乳歯が抜ける
- 頭蓋骨の形がおかしい
- けいれんを起こす など
成人以後の場合
低ホスファターゼ症の疑いがある場合、症状検索エンジン「ユビー」(https://ubie.app/)でも無料でセルフチェックができます。ぜひご活用ください。
低ホスファターゼ症の治療・対処法
低ホスファターゼ症への対処法は?
まずは検査のために受診をお勧めします。
低ホスファターゼ症の場合、主にどのような治療をしますか?
低ホスファターゼ症の治療では、不足しているALPを補う酵素補充療法が基本です。けいれんや高カルシウム血症などへの対症療法も組み合わせて行われます。
この病気は、ALP(アルカリホスファターゼ)という酵素の働きが生まれつき低下することで、骨や歯などにさまざまな症状を引き起こします。治療の基本は、不足しているALPを薬で補う「酵素補充療法」と、個々の症状に合わせた「対症療法」を組み合わせることです(低ホスファターゼ症診療ガイドライン)。
酵素補充療法
酵素補充療法では、アスホターゼアルファというALP酵素の補充薬を皮下注射します。2015年に日本で使用可能となり、それまで救うことが難しかった重症の患者さんの生命予後が大きく改善しました(難病情報センター)。日本での臨床試験では、この薬剤を使用した患者さん全員に骨や呼吸機能の改善が確認されています(Kitaoka T, et al. Clin Endocrinol. 2017)。
薬は週に3〜6回注射する必要がありますが、練習すれば患者さん本人やご家族が自宅で注射することも可能です。ただし、軽症の方への酵素補充療法の有効性はまだ確立されておらず、骨の症状や筋力低下などがみられる重度な方に薬の使用が検討されます(難病情報センター)。
低ホスファターゼ症の対症療法
この病気では、酵素補充療法に加えて以下のような症状への対症療法が行われます。
- けいれんへの対応:重症の乳児に起こるけいれんは、ビタミンB6の不足が原因である場合があり、ビタミンB6の投与が試されます(難病情報センター)
- 高カルシウム血症への対応:血液中のカルシウムが高くなりすぎた場合には、カルシウムをあまり含まないミルクなどで対応します(難病情報センター)
- 歯の症状への対応:乳歯があまり早く抜けてしまった場合には、小児用の義歯の作成を保険適用で行うことがあります(難病情報センター)
- 呼吸管理:呼吸機能が低下している場合には、機械を使用した呼吸のサポートが行われます(低ホスファターゼ症診療ガイドライン)
このように、この病気で行われる治療は病気の状況によってさまざまです。時期によっても行われる治療が変わることがあるため、症状の変化や気になることがあれば医師に伝えるようにしましょう。
参考文献
低ホスファターゼ症診療ガイドライン(2019年1月11日公開).国立研究開発法人日本医療研究開発機構 難治性疾患実用化研究事業「診療ガイドライン策定を目指した骨系統疾患の診療ネットワークの構築」研究班,(参照 2026-08-13).
難病情報センター『低ホスファターゼ症(指定難病172)』https://www.nanbyou.or.jp/entry/4564,(参照 2026-08-13).
難病情報センター『低ホスファターゼ症(指定難病172)』https://www.nanbyou.or.jp/entry/4565,(参照 2026-08-13).
日本小児内分泌学会『低ホスファターゼ症』https://jspe.umin.jp/public/teiphosphatase.html,(参照 2026-08-13).
Kitaoka T, et al. Safety and efficacy of treatment with asfotase alfa in patients with hypophosphatasia: Results from a Japanese clinical trial. Clin Endocrinol (Oxf). 2017;87(1):10-19.,(参照 2026-08-13).
受診の目安・何科を受診するべきか
低ホスファターゼ症が疑われる場合、何科を受診したらよいですか? また、病院を受診する目安はありますか?
子どもは小児科を、成人はまずは整形外科を受診しましょう。4歳未満では、乳歯の脱落やけいれんなどが受診の目安になります。
受診すべき診療科
子どもの場合
低ホスファターゼ症は子どものうちに症状が現れることが多いため、専門的な治療は小児科で行われます。この病気で起こる症状がある場合、ホルモンの産生・調節や骨の代謝(体内の古いものを壊し、新しいものを作る働き)の異常について詳しく調べることになるため、可能であれば「内分泌・代謝」の分野に詳しい小児科を受診しましょう。
成人の場合
成人の場合、この病気は内分泌や代謝の異常を専門とする内科で扱われます。しかし、低ホスファターゼ症は珍しい病気であり、骨折やO脚などの症状は他の骨の病気が原因であることが多いため、症状がある場合はまず整形外科を受診しましょう。診察の結果として低ホスファターゼ症が疑われる場合は、専門の内科を紹介されます。
受診の目安
受診の目安には、子どもと成人でそれぞれ以下のようなものがあります。これらの症状一つ一つで見れば他の病気の可能性もありますが、いくつかの症状が組み合わさる場合には低ホスファターゼの可能性がより疑われます。
小児期の場合
- 身長の伸びが遅い
- 体重の増えが悪い
- 重度のO脚
- 歩き方がおかしい
- 乳歯が抜ける
- 頭蓋骨の形がおかしい
- けいれんを起こす など
成人以後の場合
低ホスファターゼ症の専門医がいる近くの病院はありますか?
低ホスファターゼ症の専門医がいる病院を見る対処法・セルフケア
子供の血液検査でALP IFCCが高い場合、気を付けることはありますか?
通常、ALP値は成人より小児で高くなります。年齢・男女別基準値より高い場合は、診察を受けてください。
ALPの値は年齢によって変動し、通常、小児期は成人と比べて高い値を示します。また、性別によっても異なります。
例えば、5歳でのALP基準値(IFCC法、単位U/L)は男性150.5~420.0、女性157.5~420.0ですが、成人では38~113です。
もし、年齢別・男女別のALP基準値よりもALP値が高い場合には、診察を受けられることをおすすめします。
ALPは体内に広く分布するため、値が高くなる原因はさまざまなものが考えられるため、病院での診察が必要です。
小児、特に3歳未満ではウイルス感染などをきっかけにALPが基準値の数倍から数十倍に一過性に上昇する(4週間前後で正常値に戻る)、一過性高ALP血症という病気が知られています。
なお、ALP IFCCの”IFCC”は、ALPの測定方法の名称(IFCC法)です。
低ホスファターゼ症に関連するその他の質問
遺伝性低ALP血症とはなんですか?
低ALP血症には複数の病気が含まれます。そのうち、遺伝性とされるものが低ホスファターゼ症です。
低ALP血症とは、「血液中のアルカリホスファターゼ(ALP)という酵素の値が、年齢や性別に応じた基準値を下回っている状態」をいいます。
血液中のALPの値が低くなる原因はいくつかありますが、このうち遺伝子の変異が原因で起こる病気が低ホスファターゼ症です。このため、遺伝子検査により診断することが可能で、保険も適応されます。
低ホスファターゼ症については、「「低ホスファターゼ症」とはどのような病気ですか?」をご覧ください。
なお、血液中のALPの値が低くなる原因には、他に以下のようなものがあります。
ALPの値が低いとどうなりますか?
低ホスファターゼ症の疑いは高まりますが、亜鉛やマグネシウムの不足やステロイドといった薬の使用が原因でALPの値が低くなることもあります。
血液検査でアルカリホスファターゼ(ALP)が低くなることは、この病気の大きな特徴の1つです。しかし、この病気以外でもALPの値が低くなることはあるため、診断は他の症状や検査結果を総合して行います。
原因によらず、ALPが低い状態が続くと、低ホスファターゼ症と同様の症状が起こる可能性があります。具体的には、以下のQ&Aをご覧ください。
低ホスファターゼ症の原因や考えられる症状には何がありますか?
なお、血液中のALPが低くなる低ホスファターゼ症以外の原因としては、以下のようなものが考えられます。
低ホスファターゼ症は小児でも見られますか?
小児でも見られます。胎児、新生児、乳児でも発症する病気です。
低ホスファターゼ症は極めてまれな病気ですが、あらゆる年齢で発症する可能性があります。発症年齢や症状、経過などによって以下の6タイプに分けられ、成人型を除けば小児でも見られる可能性があります。
周産期重症型
胎児~新生児の時期に発症する病気のタイプのひとつです。最も重症で治療を行わない場合、生存が困難となります。
周産期良性型(または軽症型)
胎児~新生児の時期に発症する病気のタイプのひとつです。手足の骨の変形はあるものの、生命予後は良好です。
乳児型
生後6ヶ月までに発症する病気のタイプのひとつです。発達障害や高カルシウム血症などが現れます。治療が行われない場合、約半数では生存が困難となります。
小児型
生後6ヶ月〜18歳未満で発症する病気のタイプのひとつです。乳歯が早い時期(4歳未満の脱落)で抜け落ちることが特徴的です。生命予後は良好です。
成人型
18歳以降で発症する病気のタイプのひとつです。骨折や骨痛のほかに、骨密度低下、筋肉痛、頭痛、歯科症状などが現れます。生命予後は良好です。
歯限局型
発症年齢は問わない病気のタイプです。歯のみに症状があり、乳歯が早い時期(4歳未満の脱落)で脱落したり、歯周病が見られます。生命予後は良好です。
参考文献
低ホスファターゼ症診療ガイドライン作成委員会.“低ホスファターゼ症診療ガイドライン”.日本小児内分泌学会.http://jspe.umin.jp/medical/files/guide20190111.pdf,(参照 2024-06-13).
小児慢性特定疾病情報センター.“低ホスファターゼ症”.小児慢性特定疾病情報センター.https://www.shouman.jp/disease/details/1502006/,(参照 2024-06-13).
厚生労働省 難治性疾患政策研究班.“低ホスファターゼ症(指定難病172)”.難病情報センター.https://www.nanbyou.or.jp/entry/4564,(参照 2024-06-13).
低ホスファターゼ症は常染色体顕性遺伝ですか?
低ホスファターゼ症は、多くの場合常染色体潜性遺伝ですが、軽症では常染色体顕性遺伝の場合があります。
低ホスファターゼ症は、多くの場合が常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)で、両親ともに変異を有する遺伝子を持っていて、両方がお子さんに伝わった場合に病気が発症します。
しかし、軽症の患者さんの中には常染色体顕性遺伝(優性遺伝)の場合もあり、変異を有する遺伝子がひとつであっても発症します。
低ホスファターゼ症では、遺伝子変異により正常な骨を作るために必要な組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)という物質が足りなかったり、働きが低下するため、骨が弱くなります。けいれんを起こす患者さんや、乳歯が早く抜ける場合もあります。
ALPL遺伝子は低ホスファターゼ症にどのように関与しますか?
APLP遺伝子の変異が低ホスファターゼ症を引き起こし、骨形成に必要な酵素が減少します。
低ホスファターゼ症では、ALPL遺伝子に変異があることがわかっています。
そのため、ALPL遺伝子から作り出される組織非特異型アルカリホスファターゼ(TNSALP)という酵素の働きが弱まっています。
組織非特異型アルカリホスファターゼは、正常な骨を作るために必要な酵素であり、その働きが弱くなると骨折しやすくなったり、身長が伸びにくくなったりします。しかし、現れる症状の種類や程度には個人差があります。
また、低ホスファターゼ症は、多くの場合が両親ともにAPLP遺伝子に変異を持っていて、両方がお子さんに伝わった場合に病気が発症する常染色体潜性遺伝(劣性遺伝)ですが、軽症の患者さんの中には常染色体顕性遺伝(優性遺伝)の場合もあり、変異を有する遺伝子がひとつであっても発症します。
乳歯の生え変わりが早い場合、低ホスファターゼ症の可能性はありますか?
4歳未満で乳歯が自然に抜けてしまい、その後すぐに永久歯が生えてこない場合、可能性が高いです。
低ホスファターゼ症では骨や歯でのカルシウムの取り込み(=石灰化)が妨げられます。このため、歯の正常な成長が阻害されて乳歯がぐらつきやすくなり、抜けやすくなってしまう場合があります。特に4歳までの間に乳歯が自然に抜けてしまい、その後すぐに永久歯が生えてこない場合には、低ホスファターゼ症の可能性が高いです。とりわけ抜けやすいのは前歯ですが、重症の場合では前歯以外の歯も抜けることがあります。また、乳歯だけでなく永久歯もぐらつきやすくなり、抜けてしまう場合もあります。
このページを見ている人はこんな病気も見ています
このページを見ている人は他にどんな病気を見ていますか?
この記事の監修医師
濱畑 智弘 先生
山田記念病院 整形外科
慈恵医大を卒業。 浅ノ川総合病院、厚生中央病院を経て2021年4月より浅草病院 整形外科に勤務。 整形外科一般および人工関節置換術を専門とする。 より広い視点で医療を捉えなおすことが出来るように2020年4月より立教大学ビジネスデザイン研究科に入学、2022年3月に卒業しMBA取得。
- 更新日
- 2026/10/27
- 公開日
- 2022/09/29