ダウン症の人の細胞から過剰な染色体を除去するゲノム編集の研究報告について教えてください。
三重大学の研究グループが、ダウン症の原因である過剰な21番染色体を細胞から除去する手法を開発しました。
2025年2月、三重大学の研究グループは、ダウン症(ダウン症候群)の原因である過剰な21番染色体を「CRISPR-Cas9」というゲノム編集技術を用いて、細胞から除去する新しい手法を開発しました。
この研究は、PNAS Nexus誌にオンライン掲載されました。
ダウン症は、21番染色体が通常の2本ではなく3本存在する「トリソミー21」によって引き起こされ、知的障害や心疾患などのさまざまな合併症が生じます。
本研究はiPS細胞を用いて、特定のDNA配列を狙い切断・編集できる革新的なゲノム編集技術「CRISPR-Cas9」により、過剰な21番染色体を切断・除去することに成功しました。
最大37.5%で染色体の除去が確認され、染色体が正常化されたiPS細胞では遺伝子発現パターン、細胞増殖速度、抗酸化能などの特性が正常に戻ることが示されました。
また、分化細胞(線維芽細胞)や非分裂細胞においても、本技術が有効であることが確認されました。
これまで多くの治療研究は、分裂可能な幹細胞やiPS細胞に限定されていましたが、本研究の技術は、すでに分化した体の細胞や神経細胞などの非分裂細胞にも応用できる可能性が示されました。
この成果は、ダウン症の根本的な原因である過剰な染色体を取り除く技術の構築に向けた大きな一歩であり、将来的にはこの技術を応用して、ダウン症に伴うさまざまな合併症の予防や改善が期待されます。
宮城県立こども病院 小児科
谷河 翠 監修
(参考文献)
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