メチルマロン酸血症を放置するとどうなりますか?
放置すると急性の代謝クライシスから脳障害や死亡に至る危険があり、慢性的に腎機能低下も生じ得ます。
メチルマロン酸血症を放置した場合に生じる代謝クライシスのリスクと、慢性期に生じ得る合併症について整理します。
メチルマロン酸血症とは
メチルマロン酸血症は、体内にメチルマロン酸という物質がたまってしまう先天代謝異常症(生まれつき体内の物質代謝がうまくいかない病気)で、新生児マススクリーニング(生まれた赤ちゃん全員を対象にした先天代謝異常症の検査)の対象疾患のひとつです(日本小児科学会)。
メチルマロン酸血症を放置するとどうなる?(代謝クライシスのリスク)
治療をせずに放置すると、新生児期から乳児期にケトアシドーシス(血液が酸性に傾く状態)や高アンモニア血症(血液中のアンモニアが増える状態)が現れることがあります。哺乳不良・嘔吐・呼吸障害・筋緊張低下といった症状から嗜眠(強い眠気)や昏睡に進み、急性脳症(急激に脳の働きが低下する状態)へ進展することがあります(日本小児科学会)。難病情報センターによると、放置すると脳障害を起こしたり、死に至ることがあるとされています。
メチルマロン酸血症の症状
急性の代謝クライシス(代謝が急激に崩れる状態)が起こると、次のような症状が段階的に現れます。
- 哺乳不良・嘔吐
- 呼吸障害
- 筋緊張低下(体に力が入りにくくなる状態)
- 嗜眠・昏睡(急性脳症への進展)
小児慢性特定疾病情報センターによると、新生児期発症の重症例では急性期に死亡したり重い障害が残ることも少なくないとされています。また、感染症などをきっかけに急性増悪(症状が急に悪化すること)を繰り返しやすい特徴があります(日本小児科学会)。慢性的には、精神運動発達遅滞(発達の遅れ)や不随意運動(意思に関係なく体が動くこと)が生じたり、腎機能低下が進行して腎不全に至ることもあります(小児慢性特定疾病情報センター)。
メチルマロン酸血症の治療
慢性的な腎機能低下は、長期生存例における最も重大な問題のひとつとされています(難病情報センター)。治療としては、ビタミンB12の投与、タンパク質を制限する食事療法、L-カルニチンの投与などが生涯にわたり必要とされています(小児慢性特定疾病情報センター)。症状が急に悪化したときや、発達・体調に気になる変化があるときは、早めに医療機関への受診をご検討ください。
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(参考文献)
日本先天代謝異常学会移行期医療委員会.“小児期発症疾患を有する患者の移行期医療に関するガイド:メチルマロン酸血症”.日本小児科学会.https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/20240130_GL063.pdf,(参照 2026-10-15).
難病情報センター.“メチルマロン酸血症(指定難病246)概要”..https://www.nanbyou.or.jp/entry/4859,(参照 2026-10-15).
小児慢性特定疾病情報センター.“メチルマロン酸血症 概要”..https://www.shouman.jp/disease/details/08_02_023/,(参照 2026-10-15).
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埼玉医科大学総合医療センター 小児科
井上 信明 監修
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