メチルマロン酸血症は知的障害や発達障害の原因になりますか?
急な代謝不全や診断・治療の遅れにより中枢神経が障害され、精神運動発達遅滞を呈することがあります。
メチルマロン酸血症がどのような病気で、知的障害や発達障害とどのように関わるのか、症状や重症化した場合の経過とともに整理します。
メチルマロン酸血症とは
メチルマロン酸血症とは、メチルマロン酸(体内でアミノ酸などが分解される際にできる物質)をうまく代謝できず、体内に蓄積してしまう先天性代謝異常症です。常染色体潜性遺伝(両親からひとつずつ受け継いだ遺伝子の変化が原因となる遺伝形式)の病気で、国内での発症頻度は約12万人に1人とされています(国立健康危機管理研究機構)。
メチルマロン酸血症の症状
新生児期から乳児期にかけて、次のような症状が現れることが多いとされています(日本先天代謝異常学会)。
- 哺乳不良(お乳やミルクをうまく飲めない)
- 嘔吐
- 呼吸障害
- 筋緊張低下(体に力が入りにくい状態)
- 嗜眠(ぼんやりして反応が鈍い状態)から昏睡
軽症例では、繰り返す嘔吐や発達の遅れがみられる場合もあるとされています(小児慢性特定疾病情報センター)。
メチルマロン酸血症と知的障害・発達障害の関係
メチルマロン酸血症では、上記のような症状が急激に悪化する「代謝クライシス(急性代謝不全)」に至ることがあります。日本先天代謝異常学会のガイドラインによると、この急性期の後遺症や、慢性的に進行する影響によって、精神運動発達遅滞(運動や言葉などの発達が年齢に比べてゆっくりであること)を呈することが多いとされています。また、両側の大脳基底核(脳の奥にある部位)に病変が生じ、不随意運動(自分の意思とは関係なく体が動いてしまう症状)が現れることもあるとされています。
メチルマロン酸血症が重症化するとどうなる?
難病情報センターによると、早期に発症する重症例では予後(病気の経過の見通し)が不良とされています。肝移植を行ったあとでも、急性代謝不全や中枢神経(脳や脊髄)の病変が進行することがあるとされ、重症度の評価項目には精神運動発達遅滞の程度も含まれています。
メチルマロン酸血症の治療
重症例では、肝移植が治療として行われることもあるとされています(難病情報センター)。哺乳不良や嘔吐、発達の遅れなど気になる症状がみられるときは、早めに医療機関への受診をご検討ください。
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(参考文献)
新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン2019「メチルマロン酸血症」(日本先天代謝異常学会 移行期医療委員会編)https://jsimd.net/pdf/newborn-mass-screening-disease-practice-guideline2019.pdf,(参照 2026-10-15).
難病情報センター『メチルマロン酸血症(指定難病246)』https://www.nanbyou.or.jp/entry/4859,(参照 2026-10-15).
小児慢性特定疾病情報センター『メチルマロン酸血症 概要』https://www.shouman.jp/disease/details/08_02_023/,(参照 2026-10-15).
国立健康危機管理研究機構 MGeneReviews Japan『メチルマロン酸血症』https://mgen.jihs.go.jp/disease/60,(参照 2026-10-15).
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埼玉医科大学総合医療センター 小児科
井上 信明 監修
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