去勢抵抗性前立腺がんのステージ別（転移の有無別）での余命は、適切に治療した場合、それぞれどのくらいですか？

去勢抵抗性前立腺がん（CRPC）の予後は、転移の有無によって大きく異なります。

しかし、近年登場した新しい治療薬によって、どちらのタイプでも生存期間が大幅に延長しています。ヵ

非転移性去勢抵抗性前立腺がん（nmCRPC）の場合

nmCRPCは骨シンチグラフィーやCT・MRI検査などの従来の画像検査で、転移が認められないものの、PSAの上昇や画像検査で腫瘍の増大が認められたもので、通常、自覚症状はありません。
nmCRPCの現在の余命の目安は、新しいアンドロゲン受容体シグナル伝達阻害薬（ARSI）なども用いた適切な治療を受けた場合、全生存期間中央値は約6年強（約79ヵ月）と報告されています。
また、nｍCRPCが転移進行するまでにかかる期間は、約20～40ヵ月と言われています。

転移性去勢抵抗性前立腺がん（mCRPC）の場合

mCRPCは、がんが骨、リンパ節、肺、肝臓などの遠隔部位に転移している状態です。この病期では、症状が出やすくなります。  
mCRPCの現在の余命の目安は、新規薬剤の登場により大きく改善しました。現在では、平均して2〜3年の生存が期待できるとされています 。  
さらに、特定の遺伝子変異（BRCA変異など）を持つ患者さんは、進行が速いことが知られていましたが、PARP阻害薬やARSIの併用療法などによって、進行速度を抑えられることも報告されています。  

ただし、個々の患者さんの余命は、年齢やその他の持病だけでなく、もともとの前立腺がんの悪性度やPSA倍加時間（PSAが2倍になるのにかかる期間：PSADT）、転移の範囲、全身状態、治療への反応性などによって変化します。

上記の数値はあくまで目安であり、治療薬には副作用もあるため、個々の患者さんに合った治療計画を立てるためには、担当医とよく相談することが重要です。