無痛性甲状腺炎の原因は何がありますか?
はっきりした原因は不明ですが、自己免疫の異常が関与すると考えられています。出産後や、橋本病を持つ人に起こりやすいのが特徴です。
無痛性甲状腺炎の根本的な原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、多くの患者さんで甲状腺に対する自己抗体(自分の甲状腺を攻撃してしまう抗体)が見つかることから、自己免疫の異常が深く関与していると考えられています。
具体的には、以下のような状況で発症しやすいことが知られています。
①橋本病(慢性甲状腺炎)の経過中
無痛性甲状腺炎を発症する人の多くは、もともと自己免疫によって甲状腺に慢性的な炎症が起きる病気である「橋本病」の素因を持っています。なんらかのきっかけで、この慢性的な炎症が一時的に活発になり、甲状腺組織の一部が破壊されることで発症すると考えられています。
②出産後(産後甲状腺炎)
出産後の女性に発症する無痛性甲状腺炎は、特に「産後甲状腺炎」と呼ばれます。妊娠中は、お腹の赤ちゃんを異物として攻撃しないよう、母体の免疫機能は一時的に抑制されています。しかし、出産後にその抑制が解けると、免疫活動が急激に活発になり、その反動でもともとあった自己免疫の異常が表面化し、甲状腺を攻撃してしまうと考えられています。出産した女性の約5〜10%に起こると言われています。
③薬剤の影響
インターフェロン(C型肝炎などの治療薬)や、最近では一部のがん治療薬(免疫チェックポイント阻害薬)など、免疫系に作用する特定の薬剤が引き金となって発症することもあります。
このように、無痛性甲状腺炎は、橋本病や出産といった免疫状態が変化しやすい状況を背景に、自己免疫の異常によって引き起こされることが多いと考えられています。
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(参考文献)
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福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
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