「無痛性甲状腺炎」とはどのような病気ですか?
痛みを伴わずに甲状腺が一時的に壊れる病気です。ホルモンが漏れ出し、動悸などの亢進症症状が出たあと、低下症を経て自然に治ることが多いです。
無痛性甲状腺炎は、その名の通り痛みを伴わないのが特徴の甲状腺の炎症です。なんらかの原因(多くは自己免疫が関与すると考えられています)によって甲状腺の組織が一時的に壊れ、甲状腺の中に蓄えられていた甲状腺ホルモンが血液中に漏れ出してしまう病気です。
病気の経過は特徴的で、通常3つの段階をたどります。
①甲状腺中毒症期(ホルモン過剰期)
甲状腺が壊れてホルモンが血液中に漏れ出すため、一時的に甲状腺ホルモンが過剰な状態(甲状腺機能亢進症と同じような状態)になります。これにより、動悸、手の震え、多汗、体重減少、疲れやすさといった症状が現れます。この期間は通常1〜2ヶ月続きます。
②甲状腺機能低下症期(ホルモン不足期)
貯蔵されていたホルモンが枯渇し、壊れた甲状腺組織は一時的にホルモンを十分に作れなくなります。そのため、今度は逆に甲状腺ホルモンが不足した状態になります。むくみ、寒がり、便秘、気力の低下といった甲状腺機能低下症の症状が現れることがあります。
③回復期
壊れた甲状腺組織が自然に修復され、ホルモン産生能力も正常に戻ります。多くの場合は特別な治療をしなくても、発症から数ヶ月〜半年ほどで自然に治癒します。
バセドウ病と症状が似ていますが、原因や治療法がまったく異なるため、正確な診断が重要です。特に、産後の女性に起こりやすい「産後甲状腺炎」も、この無痛性甲状腺炎の一種です。ほとんどの場合は自然に治りますが、一部の人は永続的な甲状腺機能低下症に移行することがあるため、経過観察が必要です。
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(参考文献)
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最終更新日:
福岡ハートネット病院、井林眼科・内科クリニック 糖尿病・内分泌科 福岡ハートネット病院 糖尿病内科部長
井林 雄太 監修
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