「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」とはどのような病気ですか?

ADAMTS13の活性低下により細い動脈に血栓を形成し、臓器障害を引き起こす致死率の高い病気です。

解説

「後天性血栓性血小板減少性紫斑病」(後天性TTP)は、血小板減少、溶血性貧血(赤血球の破壊)、腎機能障害、発熱、精神神経障害の5つの徴候で診断されていましたが、現在は血小板減少、溶血性貧血の2徴候が重要とされます。

この2徴候に加え、ADAMTS13という分子の活性が10%未満に著減していることでTTPと診断されます。

ADAMTS13は、血管内で大きな分子の状態で産生されたvon Willebrand 因子 (VWF)を切断します。

von Willebrand 因子 (VWF)は止血に必要な分子ですが、大きな分子の状態で産生され、正常な状態ではADAMTS13によって止血に適した大きさに切断されます。

TTPでは、ADAMTS13の活性低下により大きなVWFが切断されず、全身の細い動脈に血栓を形成し、腎臓や脳に臓器障害をきたします。

無治療の場合は致死率90%以上ですが、血漿交換の導入により致死率は20%程度となりました。

しかし、急性期の血栓症が依然として死因となっていることから、抗VWF阻害薬であるカプラシズマブによりさらに予後が改善することが期待されています。
後天性血栓性血小板減少性紫斑病を説明する図です

公開日

最終更新日

‪東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター ‬ 悪性腫瘍治療研究部‬ 腫瘍 血液内科

村橋 睦了 監修

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