CAR-T細胞療法行った場合の余命(生存率)はどのくらいですか?また副作用はありますか?
難治DLBCLの5年全生存率は約40%で、副作用にはサイトカイン放出症候群等があります。
CAR-T細胞はリンパ球のひとつであるT細胞に、がんに発現している分子を標的できるように改変した遺伝子を導入した細胞です。
B細胞リンパ腫に高発現しているCD19という分子を標的とした、以下の3剤が開発され、優れた治療成績を示しています。
- チサゲン レクルユーセル(キムリアⓇ)
- アキシカブタゲン シロユーセル(イエスカルタⓇ)
- リソカブタゲン マラルユーセル(ブレヤンジⓇ)
最近、上記のうち2剤において、再発難治性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)に対する長期成績が報告されており、以下のとおりです(2024年2月報告)。
- アキシカブタゲン シロユーセル(イエスカルタⓇ)
推定5年無増悪生存 31.8%、 5年全生存 42.6%
- リソカブタゲン マラルユーセル(ブレヤンジⓇ)
推定2年無増悪生存 40.6%、 5年全生存 50.5%
重要な副作用として、サイトカイン放出症候群、免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群、低γグロブリン血症があります。
投与されたCAR-T細胞は体内で急速に増加し、腫瘍と反応して抗腫瘍効果を発揮します。
この際、白血球を巻き込みながら強い免疫反応を起こし、放出されたサイトカインによる発熱、血圧低下、呼吸不全をきたすことが知られ、「サイトカイン放出症候群」(CRS)と呼ばれます。
CRSに対しては、IL-6に対する抗体薬であるトシリズマブ(アクテムラⓇ)を、早めに投与することにより重症化を防げます。
また、CRSが長期化した症例で起きやすい「免疫エフェクター細胞関連神経毒性症候群」(ICANS)は、意識障害や痙攣などの神経症状を中心とする副作用で、副腎皮質ステロイドホルモンの投与が必要です。
CD19を標的としたCAR-Tでは正常B細胞も著減し、これに伴ってB細胞が産生する抗体が低下する「低γグロブリン血症」が、特徴的な副作用として重要です。
東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
(参考文献)
こちらは送信専用のフォームです。氏名やご自身の病気の詳細などの個人情報は入れないでください。
この記事をシェアする
治療が必要な患者様へのお願い
非ホジキンリンパ腫
の方は説明を必ずお読みください
こちらのQRコードを
スマーフォンのカメラで読み取ってください
QRコードを読み取るだけ 非接触で安心
一問一答なので 読むのが簡単
どんな治療をするべきか 納得して取り組める
ユビー病気のQ&Aとは?
現役の医師が、患者さんの気になることや治療方法について解説しています。ご自身だけでは対処することがむずかしい具体的な対応方法や知識などを知ることができます。
病気・症状から探す医師・医療機関の方はコチラ