ALK(アルク)融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌とはどのような病気ですか?
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ALK(アルク)融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌とはどのような病気ですか?
ALK(アルク)融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌とはどのような病気ですか?
ALK融合遺伝子という遺伝子異常によって、がん細胞の増殖を促すALKが異常に活性化し、がん細胞が増え続けるタイプの肺がんです。非小細胞肺癌の約2~5%にみられ、比較的若い人や非喫煙者に多い傾向があります。
ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌は、ALKという遺伝子に特定の変化が生じることで発症する肺がんのタイプです。ここでは、病気の仕組みや特徴、症状、検査、治療について順に解説します。
ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌とは?
ALK(未分化リンパ腫キナーゼ)は、細胞の増殖などに関わる情報を伝えるタンパク質です。
ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌では、ALK遺伝子が別の遺伝子とつながって「ALK融合遺伝子」ができます。すると、ALKの働きが異常に活性化した状態が続き、がん細胞の増殖を促すシグナルが送り続けられるようになります。
このように、がん細胞の増殖を直接引き起こす遺伝子の変化は「ドライバー遺伝子異常」と呼ばれます。
ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の原因
染色体の構造に変化が起こり、ALK遺伝子の一部が別の遺伝子と融合することでALK融合遺伝子ができます。これによってつくられるALK融合タンパク質が持続的に活性化し、細胞の増殖や生存に関わるシグナルを送り続けることで、がん細胞が増殖すると考えられています(日本肺癌学会『ALK融合遺伝子検査の手引き 第4.0版』)。
代表的なのが「EML4-ALK融合遺伝子」です。EML4-ALK融合遺伝子は、2007年に日本の研究グループによって肺がんから初めて報告されました(Soda M, et al. Nature. 2007)。
ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の特徴(頻度・年齢・喫煙歴)
日本肺癌学会『ALK融合遺伝子検査の手引き 第4.0版』では、次のような特徴が示されています。
- 頻度:非小細胞肺がん全体の約2〜5%
- 組織型:腺がん(せんがん)に多い
- 年齢:平均年齢は50歳代半ばとする報告が多く、ALK融合遺伝子のない肺がんより10歳ほど若い傾向
- 喫煙歴:非喫煙者での頻度が高い
- 性別:明らかな男女差はないとされている
ただし、ALK融合遺伝子陽性肺がんは、喫煙歴のある人や高齢者にもみられます。そのため、年齢や喫煙歴だけでALK融合遺伝子の有無を判断することはできません。
ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の症状
肺がんとして現れる主な症状には、次のようなものが挙げられています(国立がん研究センター がん情報サービス)。
一方、早期には症状がないことも多く、検診やほかの病気の検査をきっかけに見つかることもあります。
ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の検査
薬物療法を検討する非小細胞肺癌では、ALKを含む複数の遺伝子異常について調べるバイオマーカー検査を行うことが推奨されています(日本肺癌学会『肺癌診療ガイドライン2025年版』)。ALK融合遺伝子の有無は、がん組織などを用いた免疫染色(IHC)、FISH法、遺伝子解析(NGSなど)によって調べます。
ALK融合遺伝子が見つかった場合には、その結果が治療薬を選択するうえで非常に重要な情報になります。
ALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の治療
治療方法は、がんの進行度(ステージ)や全身状態などによって異なります。
特に進行・再発したALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌では、ALKの働きを抑える「ALK阻害薬」と呼ばれる分子標的薬が治療の中心となります。
ALK阻害薬は、がん細胞の増殖を促しているALKの働きを選択的に抑える薬です。ALK融合遺伝子陽性の進行非小細胞肺癌では、ALK阻害薬によって高い治療効果が期待できることがわかっており、日本肺癌学会の診療ガイドラインでも推奨されています。
一方、早期の肺がんでは、病期に応じて手術などの局所治療を含めて治療方針を検討します。
咳や血痰、胸の痛み、息苦しさなどの症状が続く場合には、早めに医療機関を受診することが大切です。
(参考文献)
日本肺癌学会バイオマーカー委員会『肺癌患者におけるALK融合遺伝子検査の手引き 第4.0版』日本肺癌学会, 2021年(理事会承認 2021年10月20日), https://www.haigan.gr.jp/wp-content/uploads/2024/07/ALK%E9%81%BA%E4%BC%9D%E5%AD%90%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%AE%E6%89%8B%E5%BC%95%E3%81%8D-ver.4.pdf.(参照 2026-10-30).
日本肺癌学会『肺癌診療ガイドライン2025年版』Ⅳ期非小細胞肺癌 CQ53・CQ54, https://www.haigan.gr.jp/publication/guideline/examination/2025/1/2/250102070100.html.(参照 2026-10-30).
日本肺癌学会『肺癌診療ガイドライン2025年版』Ⅰ.肺癌の診断/6 分子診断 CQ26, https://www.haigan.gr.jp/publication/guideline/examination/2025/1/1/250101060100.html.(参照 2026-10-30).
国立がん研究センター がん情報サービス『肺がん 非小細胞肺がん 治療』(2025年6月11日更新)https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/treatment_nsclc.html /『肺がん 検査』(2025年6月11日更新)https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/diagnosis.html /『肺がん』(2025年7月14日更新)https://ganjoho.jp/public/cancer/lung/index.html.(参照 2026-10-30).
Soda M, Choi YL, Enomoto M, et al. Identification of the transforming EML4-ALK fusion gene in non-small-cell lung cancer. Nature. 2007;448(7153):561-566.
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
山形 昂 監修
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