筋ジストロフィーの場合、主にどのような治療をしますか?

ステロイドなどお薬による治療や、ストレッチなどのリハビリを行います。

解説

現時点では、筋ジストロフィーの根本的な治療方法はありません。この病気は、病気の種類によっても個人によっても発症時期や症状の重症度に幅があるため、患者さん個人の状況に合わせた対応を行うことが重要となります。
以下のような治療を、現在の状況に合わせ組み合わせて行います。

リハビリテーション

筋力が徐々に低下することが主要な症状です。肩、手首、膝などの関節は、筋肉で動かしていないとすぐに動きが固くなってしまいます(拘縮とよびます)。拘縮した関節は、変形もしやすくなります。
筋力の維持や関節の拘縮の予防にはストレッチやマッサージなどのリハビリが重要です。ただし、筋ジストロフィーの患者さんの筋肉は痛みやすいため、筋力トレーニングのやり方には専門的な知識が必要です。
また、呼吸機能や嚥下機能についてもリハビリを行うことで機能を維持しやすくなる場合があります。

手術

筋力の低下に伴って背骨や胸周りの骨に変形がすすむことがあります。座る姿勢が維持しにくい、呼吸や食事がしづらいなどの不自由について手術で改善される場合があります。一般的に大規模の手術になりやすいため、内臓の機能が落ちていない段階で行うことが重要になります。

心臓の治療

心臓の機能がおちてくれば心保護剤の使用や、不整脈については薬やペースメーカー、心臓カテーテル(体内に挿入して使う、検査や治療などを行うための細い管)による治療を行う場合があります。

人工呼吸器

呼吸機能が落ちてくると、人工呼吸器の装着が必要になる場合があります。チューブを挿入する必要のない、マスクを用いた人工呼吸を行う場合が多いです。自宅で行うことができます。

デュシェンヌ型での薬剤治療

日本では最も頻度の高いデュシェンヌ型では、ステロイドという薬が筋力低下の進行を遅らせる効果があると認められています。歩行が可能な時期を伸ばすこと、呼吸機能の低下の予防に一定の効果があります。
2020年からは新薬が保険適用となっています。エクソンスキッピング療法という治療法で、体内でジストロフィンというタンパク質が作られるようにします。運動機能の低下を抑えて症状の進行を遅らせると期待されています。
ただし、効果のある遺伝子が決まっており、デュシェンヌ型のなかでも1割程度の方に効果が期待できる治療法です。詳細は専門の医師に相談しましょう。

公開日

最終更新日

山田記念病院 整形外科 整形外科部長

濱畑 智弘 監修

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(参考文献)

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