肺の線維化が進んでしまった場合のリスクと、その対処法を教えてください。

次第に症状が悪化し、合併症を起こしやすくなります。酸素吸入などそれぞれの病状にあわせた治療を行います。

解説

肺の線維化が進んでしまうと、次第に肺が硬く膨らみにくくなり、息切れの症状が悪化して、最終的には肺から十分な酸素を取り込めなくなります(呼吸不全)。呼吸不全に陥った場合には酸素吸入や呼吸リハビリテーションを行いますが、それでも息苦しさがなかなか取れないことがあります。

肺の血管にも影響が出てくると、「肺高血圧症」という合併症を起こすことがあります。こうなると心臓にも負担がかかるようになり、心不全となって余計に息苦しくなったり、全身にむくみが出たりします。この場合、利尿薬でむくみを取ったり、状況によっては肺の血管を柔らかくするような薬を使用することがあります。

また、線維化が進んで肺の機能が悪化すると「急性増悪」を起こしやすくなることも報告されています。
急性増悪は、感染症などによる肺への刺激をきっかけに呼吸が急激に悪化する状態で、病気の初期の段階から起こる可能性があります。大量のステロイド薬を使用した強力な治療を行いますが、ごく短時間のうちに命を落としてしまうこともありますし、回復しても肺の機能に大きなダメージを残してしまいます。

線維化の進行や急性増悪を予防するために、状況に応じて抗線維化薬やステロイドなどの薬を使用したり、原因となる病気が分かっている場合はその治療を行います。それぞれの患者さんの病気の原因や性質、進行スピードなどによって治療は大きく異なりますので、どのような治療が最適なのかは主治医の話をよく聞くようにしましょう。

また、日常生活面での注意点については、以下Q&Aも併せてご参照ください。

公開日

最終更新日

京都大学医学部附属病院呼吸器内科 呼吸器内科

渡邉 アヤ 監修

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(参考文献)

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