全身性強皮症では顔にどのような症状が出ますか?
顔の皮膚が硬くなり、表情が乏しくなったり、口が開けにくくなったりすることがあります。
全身性強皮症では顔にも皮膚の硬化が及び、表情が乏しくなる「仮面様顔貌」や、口を開けにくくなる「開口障害」などの変化がみられることがあります。
顔の皮膚硬化と仮面様顔貌
全身性強皮症では、皮膚の内部でコラーゲンなどの線維が過剰に作られることで皮膚が硬くなっていきます。この変化が顔面に及ぶと、表情を作るための皮膚の伸び縮みがしにくくなり、笑顔やしかめ面などの表情の変化が乏しくなる状態がみられることがあります。この状態は「仮面様顔貌」と呼ばれ、能面のように表情が動きにくく見えることから名づけられました。皮膚が硬くなる仕組みは、免疫の働きの乱れによって血管が傷つき、そこを修復しようとする過程で線維をつくる細胞が過剰に働くためと考えられています。顔だけでなく手指や体幹の皮膚硬化と、根っこの仕組みは同じです。
口周りの開口障害と口腔への影響
口の周りの皮膚が硬くなると、口を大きく開けにくくなる「開口障害」がみられることがあります。海外の研究では、全身性強皮症の患者さん59人と健康な人をある時点で比べた研究で、口を開ける動きの制限や、唇が薄く縮こまる変化(口唇の退縮)が有意に多くみられたと報告されています(Antonacci A, et al. Diagnostics. 2024;14(4):437)。同じ研究では、唇が乾燥してかさつく炎症(角化性口唇炎)が観察されたことや、唇の毛細血管を拡大観察する検査で血管の拡張・蛇行が有意に関連していたことも示されています。
口腔ケアの重要性
口や顎まわりの変化は、見た目だけでなく口の中の健康にも関わります。複数の研究をまとめて検討した報告では、全身性強皮症の患者さんで次のようなリスクが挙げられており、早期からの口腔管理が重要とされています(Smirani R, et al. J Scleroderma Relat Disord. 2018;3(1):81-90)。
- 口の乾き(口腔乾燥症)
- 顎の関節の症状
- 虫歯(う蝕)のリスク増加
- 歯周病のリスク増加
開口障害があると歯磨きや歯科治療がしにくくなるため、症状に気づいた時点で歯科と連携した対応を検討しておくと安心です。気になる変化は主治医へご相談ください。
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(参考文献)
Antonacci A, et al. Orofacial Manifestation of Systemic Sclerosis: A Cross-Sectional Study and Future Prospects of Oral Capillaroscopy.Diagnostics (Basel). 2024;14(4):437.
Smirani R, et al. Orofacial consequences of systemic sclerosis: A systematic review.J Scleroderma Relat Disord. 2018;3(1):81-90.
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虎の門病院分院 腎センター内科・リウマチ膠原病科 腎臓内科
大庭 悠貴 監修
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