気管支喘息の1秒率とはなんですか?
1秒率は、努力性肺活量に対する1秒量の割合で、気道の狭さを示す目安とされています。
気管支喘息の診療では、呼吸機能検査で測定する「1秒率」が、気道の狭さを評価する指標のひとつとして使われます。ここでは、1秒率の定義や基準値の考え方、検査からわかることを整理します。
気管支喘息の1秒率とは?
1秒率は、努力性肺活量(FVC)に対する1秒量(FEV1)の割合です。次の式で算出します。
- 1秒率=1秒量(FEV1)÷努力性肺活量(FVC)×100
スパイロメータという機器を使い、最大限に息を吸ったあと、できるだけ速く最後まで息を吐いて測定します。
- 努力性肺活量(FVC): 最大限に息を吸ってから、できるだけ強く最後まで吐き出した空気の量
- 1秒量(FEV1): 息を吐き始めてから最初の1秒間に吐き出した空気の量
- 1秒率(FEV1/FVC): 努力性肺活量のうち、最初の1秒間に吐き出せた割合
なお、「1秒率(FEV1/FVC)」と「%1秒量(%FEV1)」は異なる指標です。%1秒量は、年齢や身長などから算出した予測値に対する1秒量の割合を示します。
気管支喘息で1秒率が低下する理由
気管支喘息では気道に慢性的な炎症が続き、さまざまな刺激に対して気道が敏感になります。発作時には気道が狭くなり、特に息を速く吐き出しにくくなるため、1秒量や1秒率が低下することがあります。
ただし、喘息では気道の狭さが時間とともに変化します。そのため、症状が落ち着いているときは1秒率が正常な場合もあり、正常な検査結果だけで喘息を否定することはできません。
気管支喘息の1秒率の基準値はどのくらい?
国内の一般向け資料では、1秒率が70%以下の場合、気流制限があり、喘息などの病気が疑われる目安とされています(環境再生保全機構)。
ただし、1秒率の低下は喘息だけでなく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などでもみられます。「70%以下だから喘息」と診断できるわけではありません。
また、正常範囲は年齢や身長などによって異なります。現在の国際的な技術標準では、一律に70%という固定値を使うのではなく、基準集団の下限値(LLN)やzスコアを用いて判断することが推奨されています(欧州呼吸器学会・米国胸部学会)。実際の判定方法は、医療機関や使用する基準値によって異なる場合があります。
気管支喘息の1秒率でわかること(診断・治療効果の判定)
喘息の診断では、1秒率が低いかどうかに加えて、気道の狭さが時間や治療によって変化する「可逆性・変動性」を確認することが重要です。
代表的な検査が、気管支拡張薬の吸入前後で呼吸機能を比較する「気管支拡張薬反応性検査」です。成人では、吸入後の1秒量が吸入前よりも12%以上かつ200mL以上増加することが、喘息を支持する所見のひとつとされています(GINA 2026)。
ただし、この基準を満たさなくても喘息を否定できるわけではありません。必要に応じて、次のような検査結果と症状の経過を組み合わせて診断します。
- ピークフローの日内・日々の変動
- 気道過敏性検査
- 呼気一酸化窒素(FeNO)検査
- 痰や血液中の好酸球の検査
- アレルギー検査
また呼吸機能検査は、診断だけでなく治療経過の確認にも使われます。1秒量や1秒率を定期的に測ることで、治療によって気流制限が改善しているか、呼吸機能が低下していないかを評価できます。
測定値は、本人の努力や検査時の体調、吸入薬を使った時刻などにも影響されます。そのため、一度の数値だけではなく、同じような条件で測定した結果の推移をみることが大切です。
呼吸機能検査を受ける目安
気管支喘息の代表的な症状には、次のようなものがあります。
これらの症状を繰り返す場合や、3週間以上続く場合は、喘息などの病気が隠れている可能性があります(日本呼吸器学会)。呼吸器内科などの医療機関へ相談し、必要な検査を受けましょう。
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(参考文献)
独立行政法人環境再生保全機構『検査と診断|成人ぜん息(ぜんそく、喘息)|ぜん息基礎知識』https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/test.html.(参照 2026-09-09).
一般社団法人日本呼吸器学会『C-01 気管支ぜんそく』https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html.(参照 2026-09-09).
Galant SP, Nickerson B. Lung function measurement in the assessment of childhood asthma: recent important developments. Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2010;10(2):149-54.
Stanojevic S, Kaminsky DA, Miller MR, et al. ERS/ATS technical standard on interpretive strategies for routine lung function tests. Eur Respir J. 2022;60(1):2101499.
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京都大学iPS細胞研究所 呼吸器内科
山形 昂 監修
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