多発性骨髄腫の進行速度はどれくらいですか?
進行速度は、病期・染色体異常により大きく異なり、寛解と再発を繰り返しながら経過します。
多発性骨髄腫の進行速度に影響する要因
多発性骨髄腫の進行速度は一人ひとり異なり、一概には言えません。進行速度は人それぞれですが、病状や身体の状態、染色体の特徴など複数の要因によって数年から10年程度の幅があり、大きく異なります。
主な要因として、
が知られています。
病期分類(ステージ)と予後
病期はISS(国際病期分類)でStage I〜IIIの3段階に分けられ、生存期間の中央値はStage Iで62ヶ月、Stage IIIで29ヶ月と報告されています(これはISSが提唱された当時の治療成績であり、現在の治療成績を直接示すものではありません)。その後、染色体異常やLDH値も加味したR-ISS(改訂国際病期分類)が使われるようになるなど、リスク評価の精度は年々高まっています。
染色体異常による進行速度の違い
がん細胞の染色体異常の種類によって、治療反応性や予後に差があります。「標準リスク」とされる染色体異常では生存期間の中央値が7〜10年であるのに対し、「高リスク」とされるいくつかの特定の染色体異常があると、生存期間の中央値は3〜5年と短くなる傾向が示されています。
くすぶり型骨髄腫から症候性骨髄腫への進行
症状のない「くすぶり型(無症候性)骨髄腫」から、治療が必要な症候性骨髄腫へ進行する割合は、診断後5年間は年間約10%、その後の5年間は年間約3%とされています。前段階のMGUSからは年間約1%の割合で進行するとされています。
多発性骨髄腫の再発と治療経過
多発性骨髄腫は現時点では完治が難しい病気ですが、治療で「寛解」を目指すことが可能です。ただし、寛解後も再発することが多く、欧州7ヶ国の約5,000人の患者さんデータの分析では、治療を重ねるごとに再発までの期間が短くなり、治療が効く患者さんの割合も減っていく傾向が示されています。そのため、初回から病状や全身状態に応じた適切な治療を選択することが重要です。
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(参考文献)
造血器腫瘍診療ガイドライン 第3.1版(2024年版) 「多発性骨髄腫」 日本血液学会 https://www.jshem.or.jp/gui-hemali/3_1_1.html,(参照 2026-08-31).
今日の臨床サポート 「多発性骨髄腫」https://clinicalsup.jp/jpoc/contentpage.aspx?diseaseid=332,(参照 2026-08-31).
尾崎 修治 「多発性骨髄腫の症候と診断アプローチの基本」 日本内科学会誌 112:1188〜1194, 2023.
Paiva B, et al. New criteria for response assessment: role of minimal residual disease in multiple myeloma. Blood. 125(20):3059-68, 2015.
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東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 悪性腫瘍治療研究部 腫瘍 血液内科
村橋 睦了 監修
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