陰茎痛

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性病の場合、どんな症状が考えられますか?

東京大学大学院医学系研究科 泌尿器外科学 泌尿器科

秋元 隆宏 監修

排尿時の痛みや違和感、性器からの膿や浸出液、性器周辺の水ぶくれや痛みなどの症状が考えられます。

解説

性感染症(性病)は、ウイルス、細菌、カビ、寄生虫、昆虫などのさまざまな病原体によって生じます。
以下に、男性に関する症状を、病原体ごとに記載します。

ウイルスによるもの

性器ヘルペス

性器ヘルペスの初発時は、かゆみを伴った1~2mmの水膨れが生じ、破れると痛みを伴う浅い潰瘍になります。足の付け根のリンパ節が腫れることもあります。再発しやすいのも特徴です。再発時は初発時と同様の症状が出ますが、より軽度となり、1週間以内に改善することが多いです。

HIV感染症

HIV感染症では、大きく急性感染期、無症候期、AIDS期の3つに分けられます。

急性感染期

発熱皮疹、リンパ節腫脹のようにインフルエンザ様の症状を出します。

無症候期

特に症状がありません。

AIDS期

後天性免疫不全症候群(AIDS)になります。カビをはじめ色々な微生物に対抗できず、さまざまな感染症を起こしやすくなり、命に関わります。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマでは、粒状、鶏冠(とさか)状、カリフラワー状など、さまざまな形態をしたイボが陰茎(亀頭や尿道など)だけでなく、肛門や陰嚢などにも生じます。

肝炎ウイルス

性感染症に関わる肝炎ウイルスはA型、B型、C型です。

A型肝炎

A型肝炎では、目や肌が黄色くなるような黄疸発熱、だるさなどが高率に生じ、採血で肝逸脱酵素が上昇します。

B型肝炎

B型肝炎では、軽度の倦怠感や食欲不振などが見られることがあります。まれにかなりの炎症を起こして、意識が悪くなったり、命に関わることもあります。

C型肝炎

C型肝炎では、軽度の倦怠感や食欲不振を生じることがあります。その後は特に強い症状はないものの、肝臓の線維化が進み、肝硬変肝臓がんが生じやすくなります。

エムポックス(サル痘)

感染して3週間以内に、急性の皮疹発熱、だるさ、食欲不振などが生じることがあると言われています。

細菌によるもの

淋菌感染症

男性の場合は主に、多量で黄白色の膿状の分泌液と、排尿痛を伴う尿道炎を起こします。感染してから2~7日程度で発症することが多いです。放置すると細菌が尿や精液の通り道をさかのぼるように移動し、前立腺炎や精巣上体炎をきたして、発熱や陰嚢の腫大などを起こすこともあります。

クラミジア感染症

クラミジア感染症では、男性の場合は症状が自覚されないこともありますが、軽度の比較的さらさらとした分泌液と、軽い排尿時痛やかゆみを伴う尿道炎を起こします。感染してから1~3週間程度で発症することが多いです。放置すると、細菌が尿や精液の通り道をさかのぼるように移動して、軽度の前立腺炎や精巣上体炎を起こすことがあります。

梅毒

梅毒は多種多様な症状が特徴ですが、感染してからの時期で大きく以下の3つに分かれます。※詳しくはこちらもご参照ください。

1)早期梅毒第1期

感染してから1ヶ月前後に、感染した部位に皮疹潰瘍、結節の中に潰瘍ができるような硬性下疳(こうせいげかん)を生じることがあります。

2)早期梅毒第2期

感染してから1~3ヶ月後に、感染した皮膚にとどまらず、体のあちこちに皮疹やリンパ節の腫れなどが生じ、胃潰瘍や精神症状などのさまざまな臓器障害が現れることがあります。

3)第3期梅毒

感染してから1年以上経過した頃、性的接触での感染力は低いですが、心血管病変や進行性の麻痺などが生じることがあります。日本では1期や2期の段階で治療されていることが多く、ここまで進行することはまれです。

マイコプラズマ感染症

マイコプラズマ感染症では無症状のこともありますが、排尿時痛や尿道分泌液を伴う尿道炎を引き起こすことがあります。見つかりにくく、診断が困難です。

真菌(カビ)によるもの

カンジダ症

カンジダ症では、糖尿病や、ステロイド・免疫抑制薬の内服中などで免疫力が低下している場合に感染しやすくなります。包茎の場合などに亀頭や包皮に炎症、湿疹を生じることがあります。通常は無症状のことが多いです。

寄生虫によるもの

トリコモナス症

トリコモナス症は無症状のことが多いですが、軽い排尿時痛や尿検査の異常などの尿道炎の症状をきたすことがあります。

アメーバ赤痢

アメーバ赤痢は無症状のことが多いですが、下痢血便、軽度腹痛を生じることもあります。まれに、肝膿瘍を合併して、発熱することもあります。

昆虫によるもの

ケジラミ症

ただれのような湿疹は見られないにも関わらず、感染から1~2ヶ月あたりから、陰部や肛門、脇などにかゆみが生じることが多いです。掻きすぎて皮膚がただれてしまうこともあります。

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