「泣き入りひきつけ」とはどのような病気ですか?

乳幼児が強く泣いたあとに起こる一時的な息止めとけいれんで、多くは自然に治る良性の発作です。

「泣き入りひきつけ」は、乳幼児が強く泣いたあとに一時的に息を止め、意識が遠のいたり、体がこわばったりする発作です。病気というより「年齢特有の反応」と考えられ、多くは自然に治り、後遺症もありません。

泣き入りひきつけの医学的に正しい疾患名は「憤怒けいれん(ふんぬけいれん、breath-holding spell)」です。子どもが強く泣いたり驚いた直後に、息を吐いたまま呼吸を止め、顔色が青くなったり、意識がぼんやりしたり、けいれんのように手足がこわばります。時間は数十秒間ほどで、自然に治まります。初めての発作は生後6ヶ月〜1歳半頃のことが多く、ほとんどが2歳未満です。成長とともに頻度は減り、学童期には見られなくなります。

原因ははっきりとは解明されていませんが、強い泣きや感情の高まりで呼吸が急に変化し、自律神経系(心拍や呼吸を自動で調整する仕組み)の反応が一時的に過剰になることが原因のひとつと考えられています。体内の酸素が一時的に少なくなることで意識が遠のくような状態が起こりますが、危険なものではありません。てんかん(脳の電気的な異常で起こるけいれん)とは仕組みが異なり、脳に後遺症が残ることもありません。

治療に特別な薬を必要とすることはなく、まずは落ち着いて子どもを安全な場所に寝かせることが大切です。ただし、息止めが長引く(1分以上)、明確なきっかけなしに起こる、睡眠中に起こる、回復に時間がかかる、頻度が急に増えるなどの場合は、別の病気が隠れていないか、小児科での評価が必要です。

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宮城県立こども病院 小児科

谷河 翠 監修

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