産後に生理不順になった
監修医師金沢 誠司産婦人科
- 更新日
- 2026/06/12
- 公開日
- 2025/04/29
概要
産後の生理不順はよく見られ、多くはホルモンの影響による一時的な変化であることがほとんどです。授乳中はプロラクチンの作用で排卵が抑えられやすく、生理が来なかったり周期が乱れやすくなります。産後しばらく不規則でも異常とは限りませんが、出血量の極端な変化や3か月以上まったく来ない、強い腹痛・貧血症状を伴うときは、一度婦人科で相談しましょう。
生理不順とは
「生理不順」とはどのような症状ですか?
月経周期が25日~38日以内で、変動が6日以内が正常です。それ以外を月経不順とよびます。
月経不順とは月経周期が正常ではない場合の総称です。
正常な月経周期は、周期が25日以上38日以内で、かつ変動が6日以内のものを指し、それ以外の場合には月経不順と呼びます。
月経不順には、月経周期が長くなる希発月経と月経周期が短くなる頻発月経があります。
また、月経不順の場合には、希発月経にせよ頻発月経にせよ、排卵がうまくできていない無排卵周期の可能性があります。
特にこれから妊娠・出産を考えている方は早めに産婦人科を受診しておくと良いでしょう。
参考文献
.“女性の病気について”.日本女性心身医学会.https://www.jspog.com/general/details_07.html,(参照 2025-06-30).
.“順調な生理(月経)と不順な生理(月経)との見分け方はなんですか? (3週間ごとに生理が来ています。または、2ヵ月に一度しか生理が来ません。異常でしょうか?)”.日本産婦人科医会.https://www.jaog.or.jp/qa/youth/jyosei180725/,(参照 2025-06-30).
.“正常な生理(月経)の目安を教えてください!”.日本産婦人科医会.https://www.jaog.or.jp/qa/youth/qashishunki5/,(参照 2025-06-30).
生理不順は何かの病気の兆候ですか?
甲状腺など他の病気の兆候であることもあります。
月経不順が何らかの病気の兆候となることもあります。
例えば、甲状腺ホルモンやプロラクチンといった脳から分泌されるホルモンの異常でも月経不順が起こるため、これらの病気の兆候であると表現することもできます。
また、月経不順ではなく不正出血である場合には、子宮がんなど子宮の病気の兆候となることもあります。
一方で、一般的には他の病気の兆候というよりも、卵巣などの機能異常の結果として月経不順になっていることが多いでしょう。
生理不順の原因
生理不順の原因や考えられる病気には何がありますか?
主な原因として過度な運動やダイエット、多嚢胞性卵巣症候群などが挙げられます。
月経不順はホルモンバランスの乱れによって生じます。
主な原因としては以下のようなものが挙げられます。
過度な運動・ダイエット・ストレスなど
脳からの女性ホルモンの分泌を促すホルモンの産生が低下することで月経不順の原因となります。元々月経周期が安定していたのに途中から不順になった場合にはまず最初に疑います。
多嚢胞性卵巣症候群
元々月経不順の場合には多嚢胞性卵巣症候群が疑われます。体質的に女性ホルモンの分泌のバランスに乱れがあり排卵が起きづらくなります。女性の5〜10%程度が多嚢胞性卵巣症候群とされています。
その他
薬の使用などでも月経不順になる場合があります。
妊娠以外に、中学生や高校生の生理が遅れる原因には何がありますか?
初潮が来てからの数年間は、病気などがなくても生理の周期が乱れることがあります。
思春期においては月経の異常の頻度は比較的多いとされており、自然に整ってくることも少なくありません。
ただし、栄養障害をはじめとした低体重や体重変化、ストレス、過度な運動、先天的な病気などの可能性についても注意しなければなりません。
普段の生理の周期よりも早く生理が来た場合、何が原因と考えられますか?
ホルモンの乱れにより生理が早く来ている可能性や、不正性器出血という別の症状の可能性があります。
正常な月経の周期は25日から38日までとされており、24日以内に月経が来てしまうことを「頻発月経」と呼びます。思春期や更年期に比較的よく見られ、排卵がないことなどが影響している可能性があります。
なお、頻発月経は不正出血との見分けが難しく、不正出血を来す他の疾患がないかどうか注意する必要があります。
急に生理が来なくなる原因として、妊娠の可能性はありますか?
急に生理が来なくなった場合、妊娠している可能性があります。
さらに詳しく:急に生理が来なくなる原因として、妊娠の可能性はありますか?監修医師藤井 達也松本レディースIVFクリニック/成育医療研究センター 産婦人科生理不順の原因として、どのような病気が考えられますか?
月経が来なくなる重要な原因の1つに妊娠があります。それ以外にも脳や子宮、卵巣などに原因があり、月経周期に異常をきたしている可能性があります。
月経周期の異常が生じる原因としては下記のものが挙げられます。
妊娠、授乳
これまで来ていた月経が来なくなった場合に、最初に考えられる原因として妊娠が挙げられます。授乳期もしばらく月経が来ないことがあります。
脳の病気
脳にある視床下部や下垂体というホルモンを産生する部位の働きによって月経周期は保たれています。体重変化、ストレス、先天的な病気、(分娩時などの)大量出血、下垂体腫瘍、頭部の手術や放射線治療など、さまざまな原因で月経周期が乱れる可能性があります。
子宮や腟の病気
子宮や腟が先天的に閉鎖していると、月経が来ません。
また、何らかの影響で子宮内腔が癒着して閉鎖してしまうと、これまであった月経が来なくなる可能性があります。子宮筋腫などの影響で月経が長引くこともあります。
卵巣の病気
加齢に伴う卵巣機能の低下や、卵巣の手術などの医療行為、先天的な病気などが原因で月経周期が乱れることがあります。
多嚢胞性卵巣症候群
排卵がうまくいかないことで、月経が遅れがちになります。無月経となることもあります。
その他
薬剤の使用などが原因で、生理の周期が乱れることもあります。
受診の目安・何科を受診するべきか
生理不順の場合、何科を受診したらよいですか?また、病院を受診する目安はありますか?
産婦人科を受診しましょう。特に妊娠・出産を希望されている方は早めに受診しておくと良いでしょう。
月経不順の場合には産婦人科の受診が必要となります。
緊急性はない場合が多いのですが、妊娠している可能性がある場合や不正出血が疑われる場合には速やかに受診する必要があります。
またそうでない場合でも、将来的に妊娠・出産を希望している方などは早めに産婦人科を受診して、きちんと排卵できているかや妊娠・出産への影響がないかなどを相談しておくと良いでしょう。
長期間にわたり月経不順が続いた場合には、骨が脆くなってしまうなど、将来的な健康にも影響することがあります。
子供の初潮が遅い場合に、受診する目安を教えてください。
中学校を卒業する年齢(満15歳)までに初潮が来なければ、一度医療機関を受診しましょう。
多くの女性が15歳までに初めての月経(初潮)を経験します。15歳になっても月経が来ない場合には、何か原因があるかもしれません。原因を調べるための検査や治療の対象と考えられますので、医療機関の受診をおすすめします。
生理不順の場合、どれくらい遅れたら病院に行くべきでしょうか?
生理が1週間以上遅れた場合には、妊娠の可能性について確認することが大切です。妊娠の可能性がある場合には速やかに受診しましょう。
最も急いで確認すべき状況として、妊娠の有無があります。1週間以上月経が遅れた場合には、妊娠反応を確認のうえ、陽性であれば速やかに産婦人科を受診しましょう。
また、妊娠反応が陰性だったとしても、以下のようなケースでは、積極的な受診をおすすめします。
- 月経の遅れが続いている
- 日常生活に支障が生じている
- 妊娠を希望しているのに、なかなか妊娠しない
- 月経が数ヶ月にわたって起こらない
生理不順の時は、どの診療科を受診したらよいですか?
産婦人科が主な診療科となります。
月経周期の異常がある場合、妊娠や産婦人科の病気が原因となっている可能性が高いため、産婦人科を受診するようにしましょう。
受診した際に、生理不順について、医師にどう説明したらよいですか?
元々の生理の周期がどれくらいだったか、最近生活や身体に何か変化はあったかなど、できるだけ詳しく説明しましょう。
さらに詳しく:受診した際に、生理不順について、医師にどう説明したらよいですか?監修医師藤井 達也松本レディースIVFクリニック/成育医療研究センター 産婦人科どれくらい生理が遅れたら、病院を受診したらいいですか?
考えられる原因として最も重要なものに妊娠がありますので、可能性があれば速やかに受診しましょう。妊娠が考えにくい場合でも、症状が続く際には受診を検討してください。
最も急いで確認すべき状況として、妊娠の有無があります。妊娠反応が陽性であれば、速やかに産婦人科を受診しましょう。
妊娠反応が陰性の場合でも、下記のような状態であれば積極的に受診すべきと考えられます。
- 月経周期の異常が続く
- 月経が3ヶ月以上来ない
- 挙児希望があるにもかかわらず、なかなか妊娠できない
- 不正出血がある
対処法・セルフケア
生理不順を改善する方法はありますか?
過度なダイエットや運動、ストレスなどは避けるようにしましょう。
月経不順の原因によって、自身の努力で改善できる場合とできない場合があります。
過度なダイエットや運動、ストレスなどが原因で月経不順になっている場合には、これらを改善することで月経周期も元に戻る可能性があります。
一方で月経不順の期間が長い場合など、生活環境が元に戻っても月経不順が改善しない場合もあります。
月経不順の場合には、早い段階からしっかりと産婦人科を受診して相談しながら治療を進めていくことをおすすめします。
生理不順に対して、食事や運動など日常生活で気をつけることはありますか?
適切な食事・運動・睡眠をとり、規則正しい生活を送るようにしましょう。できるだけストレスを溜め込まないことも大切です。
普段の生活では、適切な食事・運動・睡眠をとり、規則正しい毎日を送るようにしましょう。バランスのよい食事を摂取できず栄養障害などになってしまい、急激な体重変化を起こしたり、過度な運動を行っていたりすると、月経周期の異常の原因となります。また、できるだけストレスを溜め込まないことも大切です。
なお、女性のスポーツ選手などを対象とした専門外来を開設している医療機関もあります。日頃から激しい運動を行う機会の多い方などは、受診を考えてみてもよいでしょう。
長期間の無月経は将来的な健康にも影響しますので、症状がある場合にはできるだけ早めに医療機関で相談しましょう。
検査・診断
生理不順のセルフチェックはできますか?
解説欄のチェック項目をご確認いただくか、症状検索エンジン「ユビー」で質問に答えるだけでセルフチェックもできます。
以下のいずれかを満たす場合には月経不順と考えられます。
- 月経周期が24日以内である。
- 月経周期が39日以上である。
- 月経周期の変動が7日以上である。
また、症状検索エンジン「ユビー」で質問に沿って回答を進めるだけで、月経不順かどうかのセルフチェックができます。
ぜひご活用ください。月経不順は、ホルモンバランスの乱れやストレス、過度なダイエット、睡眠不足などが原因となることがあります。
放っておくと将来の妊娠に影響することもあるため、気になる症状がある場合には、早めに婦人科などの医療機関を受診し、医師に相談するようにしましょう。
参考文献
.“女性の病気について”.日本女性心身医学会.https://www.jspog.com/general/details_07.html,(参照 2025-06-30).
.“順調な生理(月経)と不順な生理(月経)との見分け方はなんですか? (3週間ごとに生理が来ています。または、2ヵ月に一度しか生理が来ません。異常でしょうか?)”.日本産婦人科医会.https://www.jaog.or.jp/qa/youth/jyosei180725/,(参照 2025-06-30).
.“正常な生理(月経)の目安を教えてください!”.日本産婦人科医会.https://www.jaog.or.jp/qa/youth/qashishunki5/,(参照 2025-06-30).
生理不順の薬
生理の周期を整える薬はありますか?
女性ホルモンを含む薬を内服することで月経周期が整う可能性があります。
女性ホルモンを含む薬の内服によって、月経周期が整うことがあります。
ただし、低用量ピルなどは、状況によっては使用しないほうがよいこともあります。内服を始める前には医療機関を受診して、月経周期が乱れている原因や使用する薬剤について相談するようにしてください。
生理不順の治療
生理不順の治療や予防方法には何がありますか?
月経不順の治療にはホルモン剤を使用することが一般的でしょう。予防法は原因によってまちまちです。
月経不順の治療法は原因によっても異なります。主な治療法としては以下の通りとなります。
薬物治療
女性ホルモンを補充することで月経周期を整えることが一般的です。低用量ピルなどを内服することでも月経周期が整うことが期待されます。
その他
過度なダイエットやストレス、薬物使用などが原因の場合には、体重の回復や原因薬物の休薬などで月経周期が元に戻ることもあります。一方で長期にわたる月経不順の場合にはなかなか元に戻らないこともあるため、注意が必要です。
特別な予防法はありませんが、過度なダイエットやストレスなどは月経不順の原因になるので気を付けると良いでしょう。
生理不順に関連するその他の質問
40代になると、生理不順はよくあることですか?
40歳代になり閉経に向かう過程で月経不順になることはよくあることです。
40歳代になり、卵巣機能の低下とともにそれまで安定していた月経周期が不順になることは一般的なことです。
加齢とともに最初は月経周期がやや短くなり、その後徐々に月経周期が延びていき最終的に閉経します。
そのため、40歳代になり月経不順になることは、通常の加齢変化と言えます。
一方で、月経不順かなと思っていても、実際には不正出血の可能性があるため、注意が必要です。
いつもと様子が異なると思った場合には産婦人科を受診することが良いでしょう。
生理不順にピルは効果的ですか?
一般的に低用量ピルは月経不順に効果的です。
月経不順の治療に低用量ピルも効果的と考えられます。
製剤によっても異なりますが、低用量ピルを内服中は月経が来ずに休薬期間(あるいは休薬に相当する期間)に月経が来るようになることが多いでしょう。
そのため低用量ピルを内服することで28日程度で安定して月経が来るようになることが期待されます。
なお、日本においては低用量ピルの保険適用は月経困難症や子宮内膜症に対する治療となるため注意が必要です。
避妊や月経周期の移動などは保険適用外となります。
参考文献
.“女性の病気について”.日本女性心身医学会.https://www.jspog.com/general/details_07.html,(参照 2025-06-30).
.“順調な生理(月経)と不順な生理(月経)との見分け方はなんですか? (3週間ごとに生理が来ています。または、2ヵ月に一度しか生理が来ません。異常でしょうか?)”.日本産婦人科医会.https://www.jaog.or.jp/qa/youth/jyosei180725/,(参照 2025-06-30).
.“正常な生理(月経)の目安を教えてください!”.日本産婦人科医会.https://www.jaog.or.jp/qa/youth/qashishunki5/,(参照 2025-06-30).
初潮(初めての生理)は何歳までに来ますか?
多くの女性が15歳までに人生初の生理(初潮)を経験します。
多くの女性が15歳までに初めての月経(初潮)を経験します。15歳になっても月経が来ない場合には「初経遅延」、10歳未満で月経が来た場合には「早発月経」と言います。
数年にわたって生理不順になる病気には何がありますか?
徐々に月経周期が乱れてくる原因としては、更年期に伴う変化などが考えられます。
40~50代前半にかけて徐々に月経周期が乱れてくる原因として、更年期が考えられます。卵巣機能の低下に伴い、月経が遅れたり、逆に頻回に月経がきたりする場合もあります。
なお、数年にわたる慢性的な体調不良、体重変化、ストレス、薬剤使用など、更年期以外の原因でも、徐々に月経周期が乱れてくる可能性もあります。
生理不順に関連する病気・症状
この記事の監修医師
金沢 誠司 先生
産婦人科・産科・婦人科
産婦人科専門医・医学博士。新潟大学医学部卒、東北大学大学院修了。 国立成育医療研究センター等の高度周産期施設で胎児診療や臨床研究に従事したのち、Ubie株式会社にて医療AI開発を通じた医療のDX化を推進。 現在は、臨床の最前線で胎児超音波や出生前診断を専門としつつ、これまでの臨床知見とAI開発経験を融合。女性がライフスタイルに合わせて健康をデザインする「マタニティ・ストラテジスト」として活動。全女性が根拠ある医療情報を手にし、戦略的に体調を管理するためのメディア [Platform Women's](https://platform-womens.jp/) を主宰している。
- 更新日
- 2026/06/12
- 公開日
- 2025/04/29