N−アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症を放置するとどうなりますか?

放置すると脳障害や命の危険に直結します。

N−アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症を放置すると、アンモニア(体に有害な老廃物)が体内にたまり続け、重い脳障害や命に関わる状態へ進行する可能性が非常に高いです。

この病気では、尿素回路(アンモニアを無害な尿素に変えて体外へ出す仕組み)がほとんど働かないため、治療を行わないと高アンモニア血症(血液中のアンモニアが異常に高い状態)が持続または反復します。アンモニアは脳に強い毒性を持つため、初期には元気がない、嘔吐、眠気、ぼんやりするといった軽い症状でも、次第に意識障害(反応が鈍くなる状態)やけいれんが出現するようになります。

さらに放置すると、脳浮腫(脳がむくむ状態)を起こし、昏睡(深い意識障害)に至ります。特に新生児期に発症する完全型では、治療がなければ生後数日以内に重度の高アンモニア性昏睡に陥り、死亡することも少なくありません。部分的に酵素活性が残る軽症型や遅発型であっても、治療されない高アンモニア血症発作を繰り返すことで、脳へのダメージが蓄積し、最終的に致死的な発作を起こすことがあります。

一命を取り留めた場合でも、知的障害、発達遅滞、運動障害、てんかん(けいれんを繰り返す病気)、行動や性格の変化など、回復しない後遺症が残ることがあります。しかしこの病気は、原因に直接作用する治療薬が存在し、早期に診断して治療を開始すれば、これらの重篤な経過を防ぐ可能性が高いことが分かっています。

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宮城県立こども病院 小児科

谷河 翠 監修

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