「N−アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症」とはどのような病気ですか?

アンモニア処理ができず脳障害を起こす先天代謝異常症です。

N−アセチルグルタミン酸合成酵素欠損症は、生まれつきアンモニア(体に有害な老廃物)を十分に処理できず、高アンモニア血症を起こす先天代謝異常症です。尿素回路(アンモニアを無害な尿素に変えて体外に出す仕組み)の最初の段階が機能しないことが原因です。

原因はNAGS遺伝子の異常で、ミトコンドリア(細胞内のエネルギー工場)にあるN−アセチルグルタミン酸合成酵素の働きが低下または欠如します。この酵素が作るN−アセチルグルタミン酸は、CPS1(尿素回路の最初の反応を行う酵素)を動かすために必須の“スイッチ”です。そのため、この酵素が働かないと、尿素回路が実質的に停止し、たんぱく質の分解で生じた窒素がアンモニアとして体内に蓄積します。

アンモニアは脳に強い毒性を持ち、脳浮腫(脳のむくみ)、意識障害、けいれんを引き起こします。重症型では生後24〜72時間以内に哺乳不良、嘔吐、ぐったりする状態、呼吸が速い、けいれんなどを呈し、治療が遅れると昏睡や死亡に至ることがあります。一方、軽症型では乳児期から成人期に、感染や高たんぱく摂取、手術、特定の薬剤(例:バルプロ酸)をきっかけに、頭痛、嘔吐、運動失調、行動変化、意識障害を繰り返すことがあります。

遺伝形式は常染色体劣性遺伝(両親からそれぞれ病気の遺伝子を受け継いだ場合に発症する遺伝形式)です。原因に直接作用する治療薬(N-カルバミルグルタミン酸)があり、早期診断と継続治療により、神経予後と生命予後は大きく改善します。

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宮城県立こども病院 小児科

谷河 翠 監修

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